
2025夏アニメは“ボカロP”出身者が大活躍! 話題騒然のsyudou、ピノキオピー…物語を彩る注目の楽曲9選
猛暑の到来と共に始まった2025年夏クールアニメ。人気アニメの2期放送や、注目マンガを原作とした新アニメ等々。今期もたくさんの話題作が続々登場しており、アニメ好きにとってはさっそく充実した夏となっているのではないでしょうか。
アニメの世界観を左右する物語と同時に、注目しておきたいのはやはり作品主題歌! 今期もさまざまなアーティストによる楽曲が各アニメのストーリーを彩っていますが、近年はやはりVOCALOIDシーン出身クリエイターによるアニソンが多数話題を集めている印象もありますね。

7月に放送の始まった夏アニメにも、実はボカロP出身アーティストや、今なお現役でボカロPとして活躍しているクリエイターによる注目のアニメ主題歌が多数。
そこで今回はガチオタ兼約20年のミュージシャン歴も持つ音楽ライター・曽我美なつめが、VOCALOIDをルーツとする今期注目のアニメ曲について、その魅力をトコトン語りたいと思います。
『光が死んだ夏』ふたりの物語を落とし込んだ楽曲に称賛
毎クール放送されるアニメの中でも、特に人気の原作マンガを持つ作品は、放送前からビッグタイトルとして大きな注目を集めがち。その視点で言えば、夏の時期にぴったりなホラーでもあるアニメ『光が死んだ夏』は、間違いなく放送前から大きな注目を集めていたビッグタイトル作と言えるでしょう。
ビッグタイトルと呼ばれるアニメには、やはり気合いの入った主題歌が付き物です。今作のオープニング「再会」を担当したのは、今や国民的アーティスト・Vaundy。
そしてエンディング「あなたはかいぶつ」を手がけているのが、元々john 名義でボカロPとしても活躍していたソロプロジェクト・TOOBOEです。
john名義のボカロ曲としては、2019年に投稿された「春嵐」が現在YouTubeでは5000万回再生を超える大ヒット。TOOBOEとしても過去にはアニメ『チェンソーマン』エンディング曲のひとつとなる「錠剤」を担当しており、かわいい作中キャラクター・パワーのED映像と併せて人気を呼んでいましたね。
今回『光が死んだ夏』のエンディングとなった「あなたはかいぶつ」も、物語の内容をダイレクトに想起させる曲題に大きな期待を寄せていたファンも多かったはず。
主人公・よしきと、“かいぶつ”になってしまった親友・光。曲題のとおり2人の関係性の葛藤をしっかりと落とし込んだ歌詞に、アニメファンからも多くの賞賛が集まる楽曲となっています。
『薫る花は凛と咲く』青春ものを歌わせたら随一! キタニタツヤの鮮やかな楽曲
また『光が死んだ夏』と同様、人気マンガ待望のアニメ化として注目を集めている今期ビッグタイトルのひとつが『薫る花は凛と咲く』です。
主題歌「まなざしは光」を手がけたのはキタニタツヤ。今やボカロカルチャー出身アーティストの中でも、特に大勢から熱い支持を得るヒットメーカーの一人と言えるでしょう。物語の主人公・凛太郎と薫子の男女二人を中心に織り成される、純粋でまっすぐな青春物語が大きな魅力でもある本作。
怖そうなルックスでこれまでたくさんの誤解を受けてきた凛太郎と、彼を見た目で判断せずその人柄に正面から向き合う薫子の温かな関係性に、「二人の物語の先を見届けたい」と思う人もきっと多いことでしょう。
主題歌となった「まなざしは光」は、そんな2人のピュアでハートフルな関係を彩り鮮やかに描いた楽曲として、すでに数多くの視聴者から絶賛の声が挙がっている様子。
これまでにも数多くのアニソンを手がけてきたキタニタツヤですが、彼の一大ヒット作となった「青のすみか」とも併せて、「青春モノを歌わせたら最強!」という声も一部では見受けられていますね。
江口夏実の最新作『出禁のモグラ』OPは「うっせぇわ」syudou。EDもボカロPを抜擢
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このように、今クールのビッグタイトルと呼べる複数のアニメに主題歌が起用されているVOCALOIDシーン出身のクリエイターたち。ですが彼らの活躍はこれだけに留まりません。
今期注目作のアニメの中には、なんとオープニング&エンディング両方にボカロP出身者を起用している作品もあるんです。
それが過去に人気作『鬼灯の冷徹』を手がけた漫画家・江口夏実先生の最新作である『出禁のモグラ』! 今作は過去にさまざまな事情からあの世を出禁になった男・モグラを中心に織り成す、非日常を描いたドタバタオカルト作品となっています。
今回の2025年夏クールで、ファン待望のアニメ化となった本作。オープニング「神頼み」を手がけたのは、今やシンガーソングライターとして八面六臂の活躍を見せるsyudou。エンディング「喧騒 feat. Aile The Shota」は、ボカロP・椎乃味醂が制作を担当した1曲となっています。
Ado「うっせえわ」の制作者として一躍脚光を浴びたことで、ボカロP・syudouの存在を知った人もきっと多いはず。彼の作品である「ビターチョコデコレーション」「キュートなカノジョ」といった人気ボカロ曲は、投稿から数年経った今なお多くのボカロ好きに聴かれ続けています。
また最近ではボカロPとしてだけでなく、数多くのアニソンも歌唱していますね。アニメ『チェンソーマン』週替わりエンディングのひとつでもあった「インザバックルーム」。またアニメ『月が導く異世界道中』主題歌「ギャンブル」は、今なお彼自身のライブの定番曲として熱い支持を得ているようです。
一方、エンディングを手がけるボカロP・椎乃味醂については「あまり名前を聞いたことがないかも…」と思う人もいるかもしれませんが、ボカロシーンの中では今や名前を知らない人はいないほどの人気クリエイター。
重厚感あるエレクトロサウンドとダンサブルなビートで、耳の肥えた大勢のボカロリスナーから確かな支持を得るボカロPの一人でもあるんです。
今回の楽曲では、AAAのメンバーでありラッパーとしての活躍も目覚ましいあのSKY-HIに音楽性を見込まれた、渡邉翔太ことAile The Shotaをボーカリストに迎えています。一見畑がまったく違うように見える二人それぞれの才能が、この楽曲においてどう融合しているのかも必聴のポイントと言えるでしょう。
アニメ『出禁のモグラ』のイメージとも親和性のある、ややダークな世界観の楽曲制作を強みとするsyudouと椎乃味醂。彼らの生み出すサウンドが、どのように物語を彩っているのか。ぜひアニメ本編とあわせて、両主題歌にもしっかり耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
ほかVTuber・P丸様×ピノキオピーら人気ボカロPが揃う今期の“注目アニソン”はこれ!
この他にも、今期夏アニメの主題歌にはVOCALOIDカルチャーをバックボーンとするクリエイターによる注目の曲が満載!
今でこそ自分で歌唱するアーティストも多くなりましたが、元々のボカロPの本分は楽曲制作のみに徹す、るいわば音楽の“黒子役”。ここからはそんな黒子として、楽曲提供のみをボカロPが担当する今期アニメ主題歌を一気にご紹介しましょう。
まずアニメ『嘆きの亡霊は引退したい』エンディングテーマとなる「すくりぃむ!」。楽曲を歌唱するのは人気Vチューバー・P丸様。ですが、作詞・作曲・編曲を手がけたのはなんとあのピノキオピーなんです。
「神っぽいな」「転生林檎」などのボカロ曲は、「ピノキオピーの名前を知らなくてもこの曲は知ってる!」という人もいるほどの超人気曲ですよね。
またアニメ『帝乃三姉妹は案外、チョロい。』のオープニング「君にふさわしい奇跡」も、実はボカロPが楽曲制作を手掛けた今期アニソンのひとつ。
アーティストクレジット・日曜日のメゾンデは、音楽プロジェクト・MAISONdesによる、ボーカル・礼衣とさまざまなアーティストによるコラボプロジェクト。今回の「君にふさわしい奇跡」は、yama「春を告げる」でも一躍ヒットを飛ばしたボカロP・くじらが手掛けた1曲となっています。
さらに歌い手出身のシンガー・吉乃が歌唱するアニメ『気絶勇者と暗殺姫』主題歌「天伝バラバラ」も、ボカロP・柊マグネタイトが制作を担当!
直近でも昨年投稿した楽曲「テトリス」がYouTube再生数8000万回と一大ムーブメントを起こしている柊マグネタイト。今回のアニメ主題歌からも、ついつい曲をヘビロテしたくなるようなキャッチーさを感じることができるはず。
そしてアニメ『9-nine- Ruler’s Crown』オープニング「ResoNAnce」も、歌い手出身のアーティスト・あらきが歌唱を担当しています。
熱量のある彼の歌声に負けない楽曲の制作クレジットを見ると、作曲・編曲担当として名を連ねているのは、昔から疾走感あるバンドサウンドに定評のあるボカロP・kemuこと堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)。その名前を見て「やっぱり!」と納得したアニソン好きもきっといたことでしょう。
音楽から新しい世界を発見。この夏話題のアニメを120%堪能しよう
長年シーンを牽引してきた著名なクリエイターから近年で頭角を表してきたプロデューサーまで、実に大勢のボカロPが背後で活躍している今期アニメの主題歌群。気になった曲がある方はぜひ、楽曲を制作したボカロPや曲を歌唱しているシンガーの過去曲もあわせてチェックしてみては。
きっと今まで知らなかった、新たな音楽の世界を開くいいきっかけにもなるはず。アニメ本編の物語ともあわせて楽曲を楽しむことで、制作を手掛けたクリエイターたちの新たな創意工夫もたくさん見つかること間違いなし、です。
ぜひこの夏はさまざまな話題作アニメと、その主題歌となるアニソンに注目してみてはいかがでしょうか。
(執筆:曽我美なつめ)
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