
2024年「アニソン界隈」はどうだった?ミセスらJ-POPの参画で名曲がより生まれ、キタニタツヤは中島健人らとの化学反応を起こした
まもなく2024年も終わり。ガチオタ兼約10年のミュージシャン歴も持つ音楽ライターの曽我美なつめが「アニソン2024」を振り返ります。
今年を彩った様々なアニメ主題歌を思い返しつつ、その中でも特に注目ポイント・アーティストを解説していきましょう。
※2024.12.28に公開した記事を一部編集のうえ、転載しています
ヒゲダン、ミセス…J-POPアーティストの参画がより強化
近年アニメ界のみならず、日本の音楽シーン最前線でもアニメ主題歌、いわゆるアニソンが大きな支持を得ているのは周知の通り。十数年前と比べても、アニメそのものやアニソンという音楽自体が、オタクと呼ばれる人たちのものだけでなく、世間一般の人々にも馴染みあるものともなっています。
そんな中で近年よりその傾向が高まっているなと感じるのは、音楽シーン第一線で活躍するJ-POPアーティストたちによる、アニソンタイアップの多さ。

昔であればアニソンは専門の歌手・アーティストによる曲が大半で、いわゆるヒット曲と呼ばれるものは、CMソングやドラマ・映画の主題歌から出てくるケースが定石でした。
ですが今や一般人気の高いミュージシャンたちも、数多くのアニソンを手がけるようになっています。今年2024年も、アニソン界に留まらず誰もが知るJ-POPアーティストたちが、たくさんのアニソン大名曲を生み出した年だったとも言えるでしょう。
2019年に映画主題歌「Pretender」が大ヒットし、今や誰もが知る国民的バンドとなったOfficial髭男dism。これまでも「Cry Baby」や「ホワイトノイズ」、「ミックスナッツ」「SOULSOUP」など。数々のアニソンを手がけた彼らによるアニメ『アオのハコ』主題歌「Same blue」も、直近で各所から大きな話題を呼びました。
また彼らと同様ポップバンドであり、今若者を中心に絶大な支持を得ているMrs. GREEN APPLEも、アニメ『忘却バッテリー』主題歌「ライラック」を担当。彼らがアニメ主題歌を手がけるのは、アニメ『炎炎ノ消防隊』主題歌「インフェルノ」以来5年ぶりだそう。両曲ともに今やアニソンの大名曲として、なくてはならない音楽となっています。
また過去に「猫」のビッグヒットで紅白歌合戦へ出場したDISH//も、2024年夏クール注目作のひとつだったアニメ『逃げ上手の若君』にて、主題歌「プランA」を担当。DISH//は過去、アニメ『銀魂』や『僕のヒーローアカデミア』の主題歌実績も有り。それらと地続きになる、ジャンプ作品アニメの主題歌という点も注目ポイントでしたね。

この他にも、アニメ『ダンジョン飯』2期の主題歌を務めたBUMP OF CHICKENによる「Sleep Walking Orchestra」。
またMY FIRST STORYとの激熱コラボも話題を集めたアニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』主題歌「夢幻」「永久」や、自身のバンド・L'Arc~en~Cielでもアニメ「BEYBLADE X」の主題歌「YOU GOTTA RUN」を担当するなど、音楽シーンの大御所・HYDEの活躍も、アニソン界の大きなトピックのひとつでした。
こうして見ると世間一般に人気のJ-POPアーティストにとっても、アニメ主題歌の担当はCMソングやドラマ・映画主題歌と同じくらい、重要なタイアップとなっている様子です。
2024年アニソンの代表格は世界的ヒットのCreepy Nuts!
多彩な人気曲が生まれ、大勢の豪華アーティストによりにぎやかな盛り上がりを見せた2024年のアニソン界。ですがそんなシーンの中でも、特に今年大きな活躍をしたと言えるアーティスト二大巨塔。そのうちの1人として、2024年のアニソンを語る上でやはりCreepy Nutsの名を欠かすことはできません。
日本国内のみならず世界中に彼らの名を広く知らしめるメガヒットとなった、アニメ『マッシュル-MASHLE-』主題歌「Bling-Bang-Bang-Born」。その人気の高さは、もはや語るも野暮と言うべきでしょう。

以前から世界で先んじてトレンドになり始めていた、ジャージークラブという音楽性を取り入れている点からも、この曲が世界で流行ったのは“必然”だった、と言う人も多数。
また元よりCreepy Nutsの魅力でもあった、ラッパー・R-指定のリスナーを飽きさせない変幻自在なラップスキルも、大勢の耳を惹きつけたポイントでした。
TikTokを中心として楽曲に合わせた「BBBBダンス」動画がきっかけともなり、わずか2週間で「Bling-Bang-Bang-Born」のYouTube公式動画再生数は1000万回を突破。
各国のヒットチャートでも軒並み1位を獲得し、リリースから約2か月後にはBillboard JAPANにおけるストリーミング1億回再生を記録。今年1年、特に上半期はまさに世界中で特大のバズを巻き起こした1曲ともなりました。
続く下半期も、放送開始前から大勢の注目を集めていたアニメ「ダンダダン」へ主題歌「オトノケ」を提供。こちらもYouTube公式PVが、公開からわずか2ヶ月弱で3200万回再生を突破しています。その破竹の勢いからも、彼らがもはやワールドワイドな人気を獲得するHIPHOPユニットとなったことが見て取れるでしょう。
2024年のアニソンシーンでそんな数々の功績を打ち立てたことから、「Bling-Bang-Bang-Born」は数々の国内外における日本楽曲チャートで年間1位の称号を獲得。またCreepy Nutsも、今年初となる紅白歌合戦への出場が決定しました。
『戦隊大失格』『【推しの子】』キタニタツヤも立役者に
さらにもう一人、今年のアニソンシーンを盛り上げた立役者の一人。それがキタニタツヤis.
アニメ『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変』主題歌「青のすみか」の一大ヒットで、2023年にその人気を確立させた彼。2024年も、様々なアニメでそのソングライティング力を遺憾なく発揮していました。

アニメ『戦隊大失格』主題歌「次回予告」も秀逸なアニソンでしたが、それ以上に今年の彼の活躍として目立ったのは、多彩な才能を持つ他アーティストとのコラボ楽曲! その代表格が、やはり中島健人とのビッグユニットとなったGEMN「ファタール」です。
アニメ『【推しの子】』の主題歌としてリリースされた本作。当初GEMNは正体不明の二人組ユニットとして登場し、その正体が明かされた際は二人それぞれの人気と、その意外過ぎる組み合わせが、アニメシーンのみならず多くの界隈から注目を集めていましたね。
アニメの魅力を十二分に詰め込んだ、妖しさとスタイリッシュさが共存する楽曲。そしてアイドルとVOCALOIDという、一見非常に遠いカルチャーをそれぞれルーツとする二人の生み出した、まさに化学反応と呼ぶべきシナジー。そういった点が、本曲の絶大な支持にも繋がったのでしょう。

リリースから約5か月経った今、YouTubeの公式PVは再生数約4200万回を記録。またアニメのノンクレジットオープニング映像も再生数2800万回を突破し、楽曲に関連する2つの動画の総再生数は7000万回を超える数字に。
また楽曲のストリーミング累積再生数も、直近でリリースから半年を待たずしてついに1億回を突破したとのこと。今回の1曲のみで終わるには、あまりにも勿体ないほどの記録を打ち立てたGEMN。来年以降の二人それぞれの活躍にも注目したい、そんなユニットともなりました。
また続く2024年秋クールでも、キタニタツヤはなとりとのタッグでアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱編』主題歌の「いらないもの」を担当。
インターネットカルチャーが生んだ、稀代のシンガー二人によるコラボ。まだチェックできていないという方は、現在放送中のアニメと併せてぜひこちらもお忘れなく。
2025年もアニソンが日本の音楽シーンを牽引するはず
大勢のトップアーティストたちの活躍によって、今年も国内外から大きな注目を集めたアニメ主題歌の数々。
やや気が早いかもしれませんが、来年年明けから放送される2025年冬クールのアニメ主題歌にも、すでに次々とビッグネームなミュージシャンたちが名を連ね始めています。
週刊少年ジャンプで現在も絶賛連載中、待望のアニメ化となる『SAKAMOTO DAYS』は、主題歌「走れSAKAMOTO」をVaundyが担当。また過去に大きなマンガ賞の受賞歴もある『メダリスト』は、かねてから原作のファンであったという米津玄師が、主題歌を逆オファーしたことも話題を呼んでいました。
そしてこちらも大勢が待っていたアニメ『薬屋のひとりごと』2期はYOASOBIのボーカル・ikuraこと幾田りらが、ソロアーティスト名義で主題歌を歌唱。YOASOBIの楽曲とはまたひと味違う、彼女の魅力をぜひこの曲から感じてみては。
思い返せば、様々な名アニメ&名アニソンが世に放たれた2024年。来年2025年のアニソンシーンも、すでに盛り上がりの期待大! 今後の動向からも、引き続き目が離せなさそうです。
(執筆:曽我美なつめ)
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