見出し画像

庄司浩平と水嶋ヒロにある“ミステリアス”という共通点。『仮面ライダーガヴ』出演俳優は先輩にどう続く?【特撮×推しメン×白書】

特撮ドラマにおける推しメンたちの活躍を振り返りながら、その後のキャリアを辿っていく【特撮×推しメン×白書】(月1連載)。

若手俳優の登竜門と言われている「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラマン」の“三大特撮ドラマ”。キャストの成長を一年間という放送期間の中で見守ることができ、一つの醍醐味となっています。さらに、すでに名を馳せているベテラン俳優や人気声優たちの新境地を見られることも。

今回は、「令和仮面ライダー」第6作である『仮面ライダーガヴ』が、1年間の放送を無事に終えたことを記念して、主要ライダーの3人を演じた若手俳優たちに注目。彼らは先輩のライダー俳優にどう続いていくのか、ブレイク俳優のキャリアを例に、彼らの将来に想いを馳せてみましょう。

Blu-ray『仮面ライダーガヴ ファイナルステージ』(TOEI COMPANY,LTD.)

知念英和(ショウマ・ストマック=仮面ライダーガヴ役)=瀬戸康史

『仮面ライダーガヴ』の主人公であるショウマは、グラニュート界から人間界へとやってきた青年で、劇中では自らの素性や運命に翻弄されながらも、やがて多くの仲間たちに恵まれ、自分らしく生きることの大切さを学んでいくようなキャラクターでした。

右も左もわからない状態から多くのことを学んでいく人物像は、まるで子供が大人へと成長していく過程を表しているかのようであり、歴代の主人公たちの中にも類を見ない存在感を放ちました。

そんなショウマを小気味よく体現したのは、知念英和さん。弱冠20歳の新星は、本作が初の大役でありながらも、抜群の感性でショウマ役を見事に演じ切りました。

知念英和『ひでのよんな~らいふ。』(ワン・パブリッシング)

お菓子を口にした際の幸せそうな表情、幸せな瞬間が訪れた際の無邪気な笑顔、そして敵(グラニュート)と相対した際の信念の強さを表現したキリっとした表情。可愛らしくも、カッコ良いところはカッコ良い、そのギャップ萌えが最大の魅力だったと言えるでしょう。

これまでの「仮面ライダー」作品で、そういったギャップ萌えを魅力としていた俳優として、真っ先に思い浮かぶのは、『仮面ライダーキバ』の瀬戸康史さんではないでしょうか。

瀬戸さんは、同作で普段は人見知りで気弱な性格でありながら、他人を思いやる気持ちは人一倍強く、敵と対峙した際には眼光鋭い表情を浮かべる紅渡役に扮し、童顔でキュートな魅力を振りまきながらも、ヒーローとしての強さもしっかりと体現した演技を披露しました。

ショウマと渡というキャラクターに目を向けてみても、どちらも人間と敵種族とのハーフである点や自らの運命に翻弄される展開、さらには孤独だった青年が物語を通して、周囲の世界に受け入れられていく様子など、似通っている点が非常に多いのです。

瀬戸さんは『仮面ライダーキバ』出演時より、テレビドラマ『恋空』に主演するなど、積極的にヒーロー俳優とは異なるイメージを作り上げており、その後も『アタシんちの男子』や『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』などで、あざと可愛い魅力を醸し出しながらも、やる時はやる男らしさも同時に感じさせる存在感で、一気に人気俳優の地位を確立していきました。

なので、まだまだキャリアは浅い知念さんですが、瀬戸さんのような可愛らしさと男らしさを良い塩梅で使い分けながら、スター俳優への道を歩んでもらいたいなと勝手に思っています。

日野友輔(辛木田絆斗=仮面ライダーヴァレン役)=赤楚衛二

『仮面ライダーガヴ』の2号ライダーである辛木田絆斗は、18年前に母親をグラニュートに連れ去られてしまい、以降の人生はフリーライターとして母の行方を追っている、壮絶な過去を携えたキャラクター。

さらには、師匠と呼んでいた存在もまたグラニュートの魔の手に落ち、失意に暮れる中で仮面ライダーになるための改造手術を受け、実は手術を施した男には利用されていたという何とも不憫すぎる人生を歩みました。しかしながら、ショウマを初めとした良い仲間たちと出会うことで、笑顔溢れる穏やかな人生を歩むようになり、仲間思いで熱い性格のキャラクターとして魅力的なキャラクター像が築き上げられました。

そんな絆斗役を演じた日野友輔さんは、アイドルグループ「Hi☆Five」のメンバーと俳優の二刀流で活動を続ける若き俳優さんです。

日野友輔 1st写真集 『 hiSTORY 1 』(ワニブックス)

放送開始当初は粗削りな演技が目立っていたものの、回を重ねるごとに演技が研ぎ澄まされていき、終盤では絆斗の光と影を見事に演じ分けられるようになっていきました。こういった若手俳優の成長を追いかけられるのは、まさに特撮最大の魅力ですね。

過去の「仮面ライダー」を振り返ってみると、絆斗のように大切な存在を救おうとする姿や誰かを亡くし復讐に走る姿を見せてきたキャラクターは、『仮面ライダーフォーゼ』で吉沢亮さんが演じた朔田流星を初め、数多く存在してきました。

そこに‘‘熱さ’’という点をプラスすると、最も記憶に新しいのは『仮面ライダービルド』で赤楚衛二さんが演じた万丈龍我ではないでしょうか。心の中の炎が燃え盛りすぎて、時折、暴走する点なんかも類似しているかもしれません。思い返せば、赤楚さんも当初は粗削りな演技が目立ちながらも、次第に表情や声のトーンなどの引き出しが見る見るうちに増えていった印象を受けました。

赤楚さん自身も日野さんと同じく東海地方でアイドルグループの一員として活動していた時期があり、キャリア初期の活動も似通っているのです。

赤楚さんはその後、熱いキャラクターというよりも、落ち着いた雰囲気の好青年キャラへとシフトチェンジし、『ねぇ先生、知らないの?』や『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』といった作品で着実にキャリアアップ。近年は主演が多いものの、仮面ライダー卒業当初は脇役をこなしている作品も多く、地道な活動を通してスキルアップを図っていた印象さえあります。

日野さんは今後も熱血漢キャラを継続していくのかはわかりませんが、赤楚さんのように落ち着いた雰囲気を醸し出すことで見えてくる新たな景色というものもあるのかもしれません。

庄司浩平(ラキア・アマルガ=仮面ライダーヴラム役)=水嶋ヒロ

当初は敵方の仮面ライダーとして登場したラキア・アマルガですが、次第にショウマたちと仲間になっていき、『仮面ライダーガヴ』に欠かせない存在となりました。

ラキアは、そもそも人間の血は一切入っていない完全なるグラニュート。弟の仇を打つために、グラニュート界を牛耳るストマック家の手下としてショウマたちに襲い掛かります。ところが、ショウマたちと利害が一致したために、ストマック家の悪事を止めようと活躍していくキャラクターでした。

長身のスラッとしたモデル体型に、クールかつミステリアスな性格も相まって、抜群のカッコ良さを発揮。これもひとえにラキア役の庄司浩平さんの表現力にしてできた役どころだったと言えるのではないでしょうか。

『庄司浩平写真集 だから、ぼくは』(KADOKAWA)

過去には『魔進戦隊キラメイジャー』へのレギュラー出演もあった庄司さんですが、同作の頃とは異なる魅力を体現。どんな衣装でも似合ってしまい、気だるそうな表情にも吸い込まれてしまう、この人は本当にモデルさんなのではないかと思ってしまいました。

そんなラキア役の庄司さんがこれから目指すべき俳優像は、勝手ながら『仮面ライダーカブト』に出演していた水嶋ヒロさんなのではないかと思います。

モデルのような高身長イケメンであることもさることながら、表情の一つ一つに影を落とした演技ができるという点で、水嶋さんと重なって見えてしまうのです。さらには、単に顔が良いだけではない、どこか危険な香りを漂わせている雰囲気が水嶋さんを彷彿させ、ただそこに立っているだけで絵になる男なのです。

そういった意味ではオダギリジョーさんにも通じるものがあり、彼らのようなミステリアスな存在感を放った俳優へと進化を遂げそうな予感がします。

水嶋さんは、『仮面ライダーカブト』出演の翌年に『花ざかりの君たちへ ~イケメン♂パラダイス~』へ出演し、一気に人気俳優の地位を確立しましたが、庄司さんも『仮面ライダーガヴ』ですでに大きな人気を獲得しつつあります。ゴールデンタイムの地上波ドラマにでも出演する機会があれば、一気にスターダムを駆け上がりそう!

◇ ◇ ◇

『仮面ライダーガヴ』は、キャスト陣があまりにもキャラクターとベストマッチしており、キャスティングが完璧だった印象です。

ヒロインの甘根幸果役を務めた宮部のぞみさんも、快活さと強さと可愛らしさで、これまでの「仮面ライダー」シリーズにはいなかった視聴者のオアシス的役割を完ぺきにこなし、注目の存在でした。

主演の知念さんを初め、彼らが今後どのような飛躍を遂げていくのか、本当に楽しみは尽きませんね!

(執筆:zash)

>>連載まとめ読みはこちら


いいなと思ったら応援しよう!

numan(ヌーマン)@推し深掘りメディア よろしければ応援お願いします! より読者の皆さんへ喜んでもらえるコンテンツ作りに還元します!