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「伊藤潤二作品はすみっこにいる人たちの教科書」声優・堀江 瞬が推しホラーマンガ家・伊藤潤二に聞く、創作秘話【推しに会ってみた】

「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnumanでは、誰かの推しとなり得る人が、自身の推しに会いに行く特別企画をスタートします。

その名も【推しに会ってみた】。記念すべき第1弾は、24年10月クールのTVアニメ『合コンに行ったら女がいなかった話』(浅葱役)や『妖怪学校の先生はじめました!』(神酒凜太郎役)などに出演する人気声優の堀江瞬さんと、堀江さんの推しであり世界中のホラーファンを魅了するホラーマンガ家・伊藤潤二先生の特別対談を敢行

伊藤潤二&堀江瞬
numan公式Instagramには記事未掲載カットを公開中!

「幼少期からホラーが好き」など共通点が多いおふたり。実は23年1月よりNetflixにて配信、2024年7月にはTVアニメが放送されていた伊藤潤二作品20タイトルを全12話で描くアニメプロジェクト「伊藤潤二『マニアック』」でも関わりが……。同作内の『トンネル奇譚』では、主人公・五郎を堀江さんが演じています。

しかし、今回の対談が初対面とのこと。少し緊張気味の堀江さんですが、伊藤先生作品について語り始めると愛が止まりません!

伊藤先生の代表作である『富江』をきっかけに、学生時代から伊藤先生を推していた堀江さん。「伊藤先生の作品はすみっこにいる人たちの教科書であり、“一筋さす光明”」と並々ならぬ思いを語ります。そんな堀江さんの言葉を聞いた伊藤先生も「私自身がすみっこで生きてきたので、堀江さんのお話を聞いて逆に共感しました」と明かします。

堀江さんの“伊藤潤二愛”に迫る中、推し作品である『溶解教室』『地獄星レミナ』についての贅沢な創作秘話を伊藤先生からもたっぷりお話いただきました。

numanでしか読めない話が詰まった1万字超のロングインタビュー。伊藤潤二ワールドを表現したような写真と共にお楽しみください。

※2024.10.10に公開した記事を一部編集のうえ、転載しています

「伊藤潤二作品は、すみっこにいる人たちにとっての“一筋さす光明”」

――おふたりは今回が初対面ですか?

堀江 瞬(以下、堀江):
(少し緊張気味に)はい、初対面です……!

伊藤潤二(以下、伊藤):
そうなんです。『トンネル奇譚』を含め、「伊藤潤二『マニアック』」のアフレコ現場には一度も伺えなかったので……。今日はよろしくお願いします。

堀江:
よろしくお願いします……!

推しを目の前に少し緊張気味の堀江さん
推しを目の前に少し緊張気味の堀江さん

――堀江さんは伊藤先生をいつから推しているのでしょうか。

堀江:
学生時代から推しています。伊藤先生の作品で初めて読んだのが『富江』で、そこから伊藤先生の作品を追うようになりました。

自分と同じく日陰で独特の道を歩んできた人で、「シンパシーを感じるな」と思う人たちとお話すると、伊藤先生の作品を挙げられることが多いんですよね。気持ちのベクトルが陰(いん)に向いている人にとって、伊藤潤二作品は外せない。すみっこにいる人たちの教科書というか、“一筋さす光明”だと思っています。

伊藤:
私自身がすみっこで生きてきましたので、今のお話を聞いて逆に共感しました。堀江さんがすみっこで生きてきたとは思えませんが(笑)。

堀江:
いやいやいや……。僕は幼少の頃から、学校の休み時間にグラウンドでサッカーをしている子たちが読むような王道のマンガにのめり込めなくて。当時から親の本棚にあった、絵のタッチが不気味だったりホラーテイストだったり、厭世的な表情をするキャラクターが描かれていたりするマンガを勝手に読んでいる子どもでした。

王道マンガが好きな子たちから「こんなに恐ろしいマンガを読んでいるの?」と言われてきたぶん、同じ趣味嗜好を持った同志に出会った時に「お前も……伊藤潤二作品が好きなのか!」と絆が深まると同時に、「人と違うものが好きでもいいんだ」と思えました。大人になっても交流が続いているくらい強固な絆なので、陰でできた結びつきはすごいなと思います(笑)。

伊藤:
(笑)。

――伊藤先生は幼少期にどんなマンガを読まれてきたのでしょうか?

堀江:
気になります……!

伊藤:
堀江さんの話を聞いて、私の幼少期と似ていると思いました。

幼少期は田舎に住んでいたこともあり、書店も町に1軒しかなくて。私も王道の「スポ根」と言われるマンガや青春ラブコメに触れる機会があまりありませんでした。さらに、家にあったマンガは楳図かずお先生や古賀新一先生の作品で。ホラーマンガばかりに興味を持っている子どもでした。

堀江:
へえ……!

伊藤:
雑誌を読む習慣もなく、当時連載中だった『あしたのジョー』の話を友達がしている中、怪奇マンガの単行本ばかり買っていたので、友達とマンガの話はあまりできなかったです。

堀江:
僕と同じだ……。

伊藤:
田舎で同級生も100人足らずだった中、ホラーマンガが好きという友達はごくわずか、幼馴染に無理やり読ませていました(笑)。

堀江:
布教活動ですね!(笑)

伊藤:
そうですね(笑)。なので、同好の士に出会うのは私も難しかったです。根っからのホラー好きという友達に出会ったのは、高校生になってからでした。

堀江:
僕の学生時代は「オタク文化好き」を公言すると、少し遠巻きに見られるような時代だったのですが、伊藤先生の学生時代もホラーやSFを読んでいる人たちが敬遠されるような風潮はあったんですか?

伊藤:
敬遠されるというか、そもそもそういったものを好きな人が少なかったという感じです。今の若い人たちの方がホラーやSFといった、私たちの世代ではニッチだったジャンルが好きだと公言している方が多いですよね。

堀江:
たしかにそうかもしれません。

伊藤:
堀江さんもお若いと思うのですが……堀江さんの時代でも遠巻きに見られることがあったんですか?

堀江:
僕の時代もまだまだそんな感じでしたよ。最近出会う10、20代の若い人たちと話していると今や「オタク文化=オシャレ」になっていて。アニメやホラー、SFなどのニッチなジャンルに傾倒していないと馴染めないという話を耳にします。僕としては、時代が良い方に流れているなと感じます(笑)。

――それこそ現在は、TikTokを中心に「富江メイク」が若い子の間で流行っていますよね。

堀江:
そうそう。TikTokですごく流れてきます!

伊藤:
本当に意外でした。「富江」は、「男たちにバラバラにされても再生する」という非常にグロテスクなキャラクターなので(笑)。おしゃれな女子の皆さんに受け入れていただけるなんて……。

堀江:
「富江」を含め、伊藤先生作品の美しいキャラクターたちは絶対に関わってはいけない予感がします(笑)。ただ、伊藤先生の作品を読んでいると「不気味とエロスって紙一重なのかもしれない」と思わされるんですよ。それは女性キャラクターだけでなく、男性キャラクターにも感じます。『溶解教室』のお兄ちゃんもすごく色男じゃないですか。だけど、やっていることはヤバいですよね(笑)。

伊藤:
悪魔と繋がっていますからね(笑)。

堀江:
顔の整った人たちがヤバいことをしているというアンバランスさが不気味なんですよね。

『富江』をきっかけに伊藤先生へハマった堀江さん。せっかくなので富江風の写真を撮影
『富江』をきっかけに伊藤先生へハマった堀江さん。せっかくなので富江風の写真を撮影

――そのアンバランスさは狙って描かれているんですか?

伊藤:
『溶解教室』の場合は、秋田書店さんの女性向けマンガ雑誌「もっと!」で連載していた作品だったんです。なので、イケメンを出さなきゃいけないなと、あのキャラクターが生まれました

堀江:
そうだったんですね……! 読者層に合わせていたとは。

伊藤:
マーケティング的な意図というのもありますが、美少年美少女を描いている方が楽しいというのはあります。

堀江:
恐ろしいものを描いている方が楽しまれているのかと思ったので、意外です。

伊藤:
私は中間のキャラクターを描くのはあまり得意じゃないのですが、美少年美少女か化け物か……その両極端は描いていて楽しいなと感じます。

いかに「かわいい少女」「美しい少女」を描くかは自分なりに挑戦しながら描き進めています。作家によると思いますけど、もともと漫画家は「どれだけ美少女をかわいく描くか」に挑戦する傾向があるんですよね。

堀江:
美しさやかわいさの価値観の基準って、その時々の流行によってどんどん更新されていくと思うのですが、各時代の“かわいいの基準”を意識して描かれているのでしょうか?

伊藤:
意識はそんなにしていないです。ただ、無意識的に「富江」の顔も時代によって変わってはいます。最初はちょっと面長だったのが、だんだん丸顔に近づいているとか。流行を追っているわけではないですけど、無意識的にその時代の美意識みたいなものが反映されているのだと思います。

堀江 瞬厳選! 推し伊藤潤二作品①『溶解教室』創作秘話「謝りすぎる自分に腹が立って…」

――ここからは堀江さんの特に好きな伊藤潤二先生の作品を挙げていただきつつ、その作品の創作秘話を伊藤先生にお聞きしていきます。

堀江:
たくさんあるので、かなり悩んだのですが……2作品に絞ります!

まず1作目は先ほども話題に出した『溶解教室』です。悪魔に魅入られた青年・夕馬と、史上最凶の妹・ちずみの兄妹がいろんな街で事件を起こし、町を転々としていくお話。本作の主人公は兄妹2人なのに、各話一人の被害者が登場し、その被害者たちの観点で物語が進んでいきます。

堀江:
僕が出会ったことのない構成だったから、斬新でとても面白かったです。毎話始まるたびに、「今度はこの人たちが犠牲になるんだ……」と思いながら読んでいました。

伊藤:
被害者視点にしたのは、兄妹視点だと怖さが出せないかもしれないと思ったことが理由です。

1話完結のお話だったため、兄妹が行く先々で必ず被害者が出てひどい目に遭うという構成にしました。主人公の兄妹は悪魔と契約したという設定になっているのですが、基本的に少し謎めいた存在として描きたくて。被害者の立場からすると、「あの謎めいた兄妹は何者なんだ?」と思うように描きたかったんです。

堀江:
なるほど。夕馬くんが謝ると周りの人間が溶けていく、という設定が生まれたのはどんな理由があったんですか?

伊藤:
当時、私がよくいろんな人に謝っていたのが癪に触り、自分に対する腹いせに生まれた設定です(笑)。

マンションのベランダから物干し竿を落として1階の人に謝りに行くなど、いろいろと謝りに行くことが多かったんですね。もちろん自分が悪いのですが、そんな謝っている自分に腹が立っていて。マンガで八つ当たりしたいなと(笑)。『溶解教室』に限らず、その時々の自分の気持ちが、作品の設定を生み出す素になっています。

堀江:
おもしろい! 最終話では、全国放送の記者会見の場で夕馬くんがカメラの前で「申し訳ございません!!」と謝ってしまうじゃないですか。今までは少数の被害で済んでいたけど、最後の最後で全国に被害が広がってしまう残酷なオチがまた好きなんですよね。

カメラの前で観ている人のことを考えながら「謝る、謝るぞ……」と読み進めて、いざ謝った瞬間に「うわ、謝った!」とゾッとさせられる。「謝ると溶ける」という設定の伏線回収の仕方に、鳥肌が立ちました。

伊藤:
『溶解教室』は主人公(夕馬)がやたら謝る設定を、自分では「斬新だ!」と思っていたのですが、あとからほかのマンガでもそういう話があると分かり、少しモチベーションが下がってしまって……モチベーションが下がりきる前に終わらせました(笑)。

堀江:
先生のモチベーションが下がりきる前に終わってよかった(笑)。

――実際、『溶解教室』連載当時の反響はどうだったのでしょう?

伊藤:
ファンレターを少しはもらったかもしれないですけど、10年くらい前なので記憶が……。

堀江:
女性向け作品ということでしたけど、怖すぎて泣いちゃう人がいたかもしれないですよね。

でも、9割くらいむごたらしくて残酷なのに、残りの1割くらいに希望もあると思っています。犠牲になった人たちが何とも言えない汁に溶けてしまうんですよ。その中で、拘束されていた男の子が汁を潤滑油の代わりにして、「これでヌルヌルするからきっと縄が解ける……!」と助かる可能性を見出す。あのシーンにわずかながら希望を感じました。

まあ結局、その男の子は殺されちゃうんですけど(笑)。全部が全部絶望ではないところは、もしかしたら女性読者を意識されてのことだったのかなと思ったのですが、どうなのでしょう?

伊藤:
そうかもしれないです。今、堀江さんに言っていただいて思い出しました(笑)。

本当に救いのないストーリーを描いていると自分も嫌になってしまうんですよ。だから、どんなに恐ろしい内容のホラーマンガを描いていても、スパイスとしてどこかにギャグを入れたり、少しの希望を入れたり……「100%嫌な話にはならないようにしよう」と、意識的にも無意識的にも取り入れています。

堀江 瞬厳選! 推し伊藤潤二作品➁『地獄星レミナ』創作秘話「編集者のアイデアから生まれた」

――それでは、堀江さんのもう一つの伊藤潤二推し作品は?

堀江:
『地獄星レミナ』ですね。突如出現した未知の惑星が、すべての惑星を呑み込みながら地球に接近してくるというお話で、同作も「ここからどう生きていけばいいんだよ……」というオチではあるんです。けれども、絶望ではない終わり方をしている。伊藤先生の「スパイスとして少しの希望を入れている」というお話を聞いて腑に落ちました。

伊藤:
そうですね……。助かる可能性はわずかですけど、「何か奇跡が起こって助かるかもしれない」という救いの余地を残しました。

堀江:
僕は宇宙やSFに思いを馳せると、ちょっとゾッとしてしまうところがあるんです。だだっ広い宇宙空間のカプセルの中に閉じ込められた自分1人だけが放り投げられる。点よりも小さい点になって存在する自分の図を想像するとゾッとしてしまう。

未知への恐怖と、化け物に遭遇した時のような気持ち悪さ・不気味さの恐怖という2つの恐怖の「ゾッ」が奇跡的に融合しているのが『地獄星レミナ』なんです。 ハリウッドで実写化されてもいいくらい、とってもスペクタクルで迫力満点に描かれている。ホラーマンガとしてもアドベンチャーSFマンガとしても、素敵な作品だと思っています。そういう意味で、『地獄星レミナ』は忘れられない作品の一つです。

伊藤:
ありがとうございます。『(地獄星)レミナ』は、私自身が幼少期からSF好きというのもありますが、当時の担当編集者のアイデアから生まれた作品なんです。

編集者から「宇宙の果てから惑星を食べる星が来て、地球をガリガリ食べちゃう話はどうですか?」と提案されたんですね。最初は「そんな馬鹿な話……」と思っていました(笑)。

伊藤:
ですが、堀江さんがおっしゃったように、宇宙は想像すると無限で果てしなく、夜空を見ていると身が縮こまるような恐怖を私も感じることがありました。また、「(ハワード・フィリップス・)ラヴクラフト」というクトゥルフ神話の創始者が、宇宙をホラーとして描いていたため、「宇宙ものでホラーもいけるだろう」と考えを改めました。

堀江:
『レミナ』の誕生には、そんな理由があったんですね。

伊藤:
その後、設定を詰めている時、編集さんに「地球がガリガリ食べられて三日月みたいになってしまい、三日月の端っこで主人公が『あー!落ちるー!』ってなっている話はどうですか?」と言われたんですよ。そこで私はまた、「そんな馬鹿な」と思いました(笑)。

堀江:
あはは(笑)。

伊藤:
「地球を齧ったとしても三日月ほどの原型はとどめないだろう」と私は考えたので、そこは三日月にはしなかったです(笑)。

また、「地球が食べられるだけ」だとストーリーを膨らませることができないので、主人公が拷問にかけられたり空を飛んでみたりする話を付け加えました。

堀江:
主人公が空を飛ぶシーンは絵から躍動感が伝わってきて……膨大な予算で作られたハリウッド映画のワンシーンを見ているような感じがしました。

また『地獄星レミナ』では、人間の浅ましさがしっかり描かれているところも好きです。最初に主人公・(大黒)麗美奈を「助ける」と言っていたお金持ちの息子(峰石邦弘)が、結局麗美奈を押しのけて「俺が助かるんだ!」と自分よがりになる描写に「人間の浅ましさがでているな」と思いました。

ほかにも、「これからこの惑星でどうなるのか分からない」とレミナ星に漂着した人たちが感じる恐怖を、自分自身も感じられる。『地獄星レミナ』はいろんな怖さを1つの作品の中で味わえるから、何度も美味しさを感じます。

解像度の高い猫エッセイ『よん&むー』は結婚しなければ生まれなかった?

――堀江さんが猫さんと暮らしていることもあり、愛猫について描かれた伊藤潤二先生初のコミックエッセイ『伊藤潤二の猫日記 よん&むー(以下、よん&むー)』の創作秘話もお聞きしたいです。堀江さんは『よん&むー』は読まれていますか?

堀江:
もちろんです! 僕も猫を飼っていますので、猫好き、そして伊藤潤二作品推しとして『よん&むー』は外せません

伊藤先生の描かれる動物は、猫に限らず解像度が高いですよね。動物の本能に対する焦点の当て方は、「前世でそういう生きかたをしてきたのではないか……?」と思うほどリアリティを感じます。例えば、『ギョ』に描かれている気味が悪い魚もそうですが、人間とはまた違ったアグレッシブさがありますよね。

動物の動きや本能について、普段から意識して観察をされているのですか?

伊藤:
実は……私は動物を描くのが得意ではないので、写真を参考にしながら描いています。

人間はいろんなモデルさんがポーズをとっているデッサン用のポーズ写真集があり、よくデッサンしていたから得意なのですが、動物はあまり描いたことがなかったんですね。

でも、妻が結婚と同時に猫を連れてきまして。妻が猫ブログを書いていて、そのブログに写真がたくさん載っていたので、それを見て猫を描いていました。

堀江:
結婚した時に、奥様が猫と一緒に来なかったら……。

伊藤:
猫を飼うことも『よん&むー』が生まれることもありませんでした
ね。妻が連れてきたのがヨンスケという名前の猫で、背中にドクロの模様があったり、よく脱走をしたり、焼き魚を狙ったりする本当にやんちゃな猫でした。いろいろと振り回されて……マンガのネタになる子だったんですよ(笑)。

伊藤潤二
伊藤潤二

伊藤:
猫を飼い始めて生態が少しわかってきたから、『双一シリーズ』というマンガに猫を登場させたんですね。そしたら、私が猫を飼い始めたというのを担当編集さんが察知して、「エッセイを描きませんか」と声をかけてくれました。いろいろと猫に事件を起こされていたので(笑)、「ネタもあるし!」と思って楽しんで描き始めましたね。

堀江:
身近にモデルがいたからこその躍動感だったんですね!

伊藤:
ええ。猫じゃらしとかで飛び跳ねている猫など、躍動感がある絵はよく観察しないと描くのが難しいんですよね。

昔、「手塚治虫先生や動物が出てくるマンガを描く先生方は、1日中動物の出てくる映画を観ながらデッサンをしていた」と聞いたことがあります。私はその話を聞いて、「みんな対象物をよく見て、たくさんデッサンをして自分のものにしていったんだな」と思いました。

――猫がものすごく好きだからこそリアルに描けるのかと思っていました。

伊藤:
猫のことは好きですし、かわいいとも思います。飼っていると愛情が出てきますけど、「猫好き」と言われると少しむず痒いです(笑)。

堀江:
そうなんですね(笑)。そういう好き嫌いは絵のタッチに出るものなんですか?

伊藤:
絵にする時は対象の好き嫌いが絵のタッチに影響されることはないですね。嫌いなものもたくさん描きました。ゴキブリとか……(笑)。

堀江さんは猫好きなんですよね?

堀江:
そうなんですよ。愛猫のダイフクに対しては、「この子は本当に幸せなのかな」「本当にこの家に来てよかったと思ってくれているのかな」とか考えるほど好きです。

伊藤:
そこまで考えるんですね。

堀江:
実際には生きているのですが、夢の中で亡くなっているダイフクがお盆の時期に帰ってきてくれて……遠くの方でダイフクの声が聞こえて探す、という複雑な夢を見ることもあります(苦笑)。

伊藤:
夢ってそういうところがありますよね。夢で聞こえているダイフクちゃんの声が、実は実際に近くで泣いていた本物の声で、それが夢の中で聞こえているとか(笑)。 複雑な夢を見た時は、目が覚めて「あー、よかった……!」ってなるんですか?

堀江:
なります。「よかった、生きてる!」と猫を抱きしめます(笑)。そういう夢を見なくても、「君はどう思っているんだい」「もっと大切にするから、これからも一緒に生きていこうね」「化け猫になってもいいから一緒にいてね」と普段から抱きしめています。

伊藤:
本物の愛猫家ですね。私はそこまで思ったことはないかもしれない……。餌をあげる時も「どうだ、ありがたいだろう」みたいな感じですから(笑)。

堀江:
ははは! 僕は、「我々人間は猫様より下」と考えています(笑)。

堀江:
ちなみに、今伊藤先生の話を聞いていて思ったのですが、『ギョ』を描くきっかけは魚を飼い始めたとかですか?

伊藤:
それは違います(笑)。『ジョーズ』という映画が怖くて、「サメが陸に上がってきたら嫌だな」と思って描き始めた作品です。

子どもがお祭りですくってきた金魚を飼ったことはありますけど、『ギョ』は金魚を飼う前に描いた作品なので関係はないですね(笑)。

堀江出演『トンネル奇譚』は五郎を通して伊藤先生の幼少期を演じていた

――せっかくなので、アニメ「伊藤潤二『マニアック』」第2話Aパートにて、堀江さんが主人公・五郎を演じた『トンネル奇譚』のお話もお聞かせください。

伊藤:
『トンネル奇譚』は実体験をもとに描いた作品です。私の実家は田舎の山間の町なのですが、使われなくなったトンネルの真ん中あたりに、名古屋大学の「坂下宇宙線観測所」という研究所がありました。宇宙線とは宇宙から降り注ぐ、岩石も通り抜けるほどの非常に微細な粒子で、それが山の中のトンネルを通過するのを観測する場所でした。

「大々的に研究所があるわけではなく、ひっそりと拠点が構えられている」という噂を、幼少期に友達のお父さんから聞きまして。

堀江:
大人が噂していたんですね。

伊藤:
そうなんですよ。その噂を聞いて、私を含め友達4人くらいで「 探検に行こう!」と懐中電灯を持って廃トンネルへ探検をしに行きました。カーブになっていてなかなか先が見えないのですが、進んでいくとコンクリートの壁で塞がれている地点にたどり着きました。真ん中にドアがあり、すりガラスになっているドアの窓から光が見えて、電気の付いた部屋に誰かがいる気配を感じたことを覚えています。

堀江:
すごい! 本当にあったんですね。

伊藤:
当時はまだ研究していたみたいですが、研究所から誰かが出てくることもなく、私たちもすぐに帰ってしまったので詳細は分かりません。その研究所も今はもう廃墟になっていて、使われなくなって久しいようです。

ただ、その思い出を「マンガにしたいな」とずっと思っていたことから、『トンネル奇譚』を描きました。

――主人公の五郎はどういった経緯で生まれたキャラクターなのでしょう。

伊藤:
『トンネル奇譚』はトンネルに人々が吸い込まれて人がどんどんいなくなってしまう「孤独」がテーマの1つにあったので、五郎も孤独で友達が少ないというキャラクター設定にしました。

思い出の話なので自分に重なるところも多少はあります。私も友達が少なかったので。

堀江:
孤独か……。僕は、五郎を通して伊藤先生の幼少期を演じていたのかもしれないということですね。

伊藤:
堀江さんは、五郎の孤独感を見事に演じてくれました。

堀江:
嬉しいです。アニメのアフレコって作品に限らず、どれだけ楽しみにしていてもすごくあっけなく終わってしまうんですよ。「伊藤潤二『マニアック』」は各話30分尺の中で伊藤先生の2つのお話が描かれています。『トンネル奇譚』に関しても15分尺なのですが、普通のTVアニメの30分尺でもすごくあっけなく感じるのに、その半分だったのでなおさら「あっという間だったな」と思いました。

伊藤:
そうだったんですね。

堀江:
収録も非常にスムーズだったんです。何度もディスカッションを重ねるわけではなく、監督の田頭(しのぶ)さんとのイメージ共有が早い段階でできていたことがあるかもしれません。おそらく1時間かかっていないくらいだったかと思います。

堀江:
また、コロナ禍での収録ということもあり、分散して少人数でのアフレコでした。僕はマリ役の嶺内ともみさんと一緒にアフレコできたのですが、ほか「伊藤潤二『マニアック』」作品の出演者の方たちとお会いすることもなかったので、個々の戦いではありましたね。

加えて、伊藤先生の作品に関われるという喜びもあったので、収録が終わってスタジオを出たあとに「短い夢の時間だったな」と感じた記憶があります。

――五郎を演じる上で意識したことはありますか?

堀江:
引き算を意識しました。伊藤先生の絵のタッチ、嶺内さんや小山役の水野(理紗)さんのお芝居が、濃いテイストだったので、主役が1歩引くことによってバランスが取れるんじゃないかなと思ったんです。

なので、五郎を演じる上ではアニメアニメしたお芝居からちょっと離れた感じのお芝居をしました。日常の中に非日常を感じてもらえるように。

伊藤:
堀江さんのお芝居はリアリティを感じました。原作の雰囲気を全く損なうことがなかったですし、堀江さんの声がすごくよかったです。

堀江:
ありがとうございます……!

伊藤潤二&堀江瞬

伊藤潤二のホラーマンガのこだわり「人為的ではなく超自然的な怖さを重視」

――幼少期からホラーが好きなおふたりですが、ホラーを表現する上で意識していること、こだわっていることをお聞きしたいです。まず伊藤先生から。ホラーマンガを描く上で意識していることは?

伊藤:
「誰かのせいで」という人為的な怖さではなく、「何が原因なのか分からない」という超自然的な怖さを1番重視して描いています。

というのも、幼少期にオカルトブームがあったんですね。映画『エクソシスト』(1973年公開)が大ヒットしてオカルトブームに火がつき、超能力者を名乗るユリ・ゲラーが登場したり、『ノストラダムスの大予言』という書籍が出版されたりしました。『ノストラダムスの大予言』には、「1999年7の月人類滅亡の日」と書いてあり、幼い頃の私は「35歳くらいの時にこの世が滅亡するんだ……」と覚悟していました(笑)。

堀江:
信じていたんですね(笑)。

伊藤:
半信半疑でしたけどね(笑)。ほかにも幼少期には、『お昼のワイドショー』で毎週木曜日と夏休みのお盆時期に1週間程度放送されていた『怪奇特集!!あなたの知らない世界』という番組で流れるオムニバスドラマを楽しんで観ていました。一般視聴者が体験した恐怖・心霊体験を再現ドラマや取材などを交えて検証するという、今の『ほんとにあった怖い話』のようなドラマでした。

堀江:
お昼に放送されていたんですね……!

伊藤:
そういった幼少期を過ごす中で、私は怖くてゾクゾクする雰囲気を味わっていましたし、多くの子どもたちは同じ感覚を味わっていたと思います。

伊藤:
だから、自分がホラーを描く立場になり、幼少期の感覚を思い出せるような「ノスタルジーに浸れるホラー」を描くこと、「怖いだけではなく、怖いけどワクワクする」という怖さと楽しさを感じてもらえるマンガを描くことを大事にしてました。

そんな理由から、作品の中にミステリー的な謎を用意しているんです。その中に、事件が起こるのに事件の原因を明かさない……「何が原因なのか分からない」という超自然的な怖さを取り入れるように意識しています。明かしてしまうと、それはホラーではなくただのミステリーになってしまいますから。

堀江:
たしかに「特定の犯人がいて、なぜそんなことが起こったのか」を読者に分からせないまま終わる作品が伊藤先生の作品では多い気がします。「結局これってなんだったんだろう……」という独特の不気味感・気持ち悪さがずっと残り続けるのは、意図されたものだったんですね。

伊藤:
オチがないという風に言われますが(笑)、謎を放置したままにすることが多いです。

――あえて考える余白を残すというということですか?

伊藤:
考える余白を残すというのもありますが、謎の原因を明かしてしまうと、「なんだ、そういうことか」と怖さが半減してしまうと思っているからです。

堀江:
伊藤先生作品は謎が明かされないからこそ、「僕の身近でも起きるかもしれない」と思えて怖いんですよね。謎の原因が分かると、それに対しての解決策みたいなものが自分の中で作られてしまう。「これを回避すれば、怪異や不気味なものと邂逅(かいこう)せずに済む人生が歩めるぞ」と思ってしまう。どうしようもないからこそ「次は僕かも」「この街にもこういうのあるのかも」と不気味な気持ちが残り続けて楽しめるんですね。そこに、そういう意図があったとは……!

また、伊藤先生の作品って人、怪異、惑星などさまざまな怖さを描かれていますよね。

伊藤:
そうですね。私は長編を描くのが苦手で、読み切りが得意だったんです。だから、月刊誌で読み切りを描くことが多くて。そうなると、いろんなタイプのホラーを描かないと読者は飽きるだろうし、自分も飽きてしまう。だから、「人間が怖い」「場所が怖い」など、怖さの趣向を変えて描いていました

伊藤潤二

堀江瞬の芝居のこだわり「客観性を大事にしている」

――堀江さんはいろんな作品を演じている中で、“ホラーだからこそ”意識していることはありますか?

堀江:
ないんですよね。どんな作品でも演じる上で重視しているのは「その役がその瞬間、何を感じているのか」

堀江瞬

堀江:
たしかに幼少期から、ホラーマンガ家は伊藤先生や楳図かずお先生、画家は竹久夢二さんや高畠華宵(たかばたけ かしょう)さん、最近は山本タカトさんなどシュール系やホラー系の作品がすごく好きでした。でも、好きだとどうしてもオタクとしての自分を捨てきることができず、「いや、俺にしかこの良さはわからないから……!」「俺ホラーめっちゃわかっているから」「シュールコメディーわかっているから」とエゴが出てしまう。

だから、役を演じる時はエゴを全て取っ払って、「その役がその瞬間、何をどう感じているか」のただ一点を重視して演じています。ホラーだから、ラブコメだから、とジャンルによって意識を変えることはあまりないです。

――ホラー好きとして、ホラー作品を演じている時、「楽しい」という感覚はあるのでしょうか?

堀江:
それもないですね……。特定のジャンルや作品を特別視してしまうと、自分のキモいエゴが絶対にどこかで出ちゃうと思うから。僕自身は、そういう気持ちは持たない方がいいと考えています。それは、作品だけではなく、学生の頃から大好きだった声優さんと仕事をご一緒する時も同じですね。ミーハーな気持ちを殺せるようになりました。

アフレコが終わってスタジオを出てから、「うわ、僕あの人と一緒に仕事をしていたんだ!」「伊藤潤二先生の作品に出れたんだ!」と思うことはあります。だけど、アフレコ中に「伊藤先生の作品だぜ!」と考えないようにしています。

伊藤:
お話を聞いていると、堀江さんはとても客観的にご自分の仕事と向き合っているなと感じます。私も、作品に対して客観性を持ちながら描いているところがあるんですよね。

例えば、ネガティブな気持ちは作品の糧になりますが、ネガティブな気持ちになっている瞬間に描くより、落ち着いてからネガティブな気持ちを思い出してホラーマンガに落とし込んでいることが多いです。

堀江:
その瞬間の気持ちではなく、その後の気持ちを作品にしているんですね。僕の勝手なイメージでは、憂鬱な気持ちや負の気持ちを抱いている時、ホラーテイストのマンガを描いていらっしゃるのかなと思っていました。どういう時に筆が進むのでしょうか?

伊藤:
今までなかったものを描いているな」と思いながら描いている時は、モチベーションが上がりますね。例えば『富江』の場合は、「富江がどの女の子よりもかわいく描けた!」「富江がモンスターになった姿がいい感じに描けた!」と思えた時に、すごく楽しさを感じます。

ただ、「自分が、自分が」という話を描いていると独りよがりな話になって、“読者に伝わらない”なんてことになりかねないので、気をつけるようにしています。堀江さんも1歩引いて自分を見ていらして、とてもプロフェッショナルな方ですよね。客観性は非常に大切だなと改めて思えました。

堀江:
これからもその気持ちを忘れないようにします。

伊藤:
私はその点、近くに編集者がいるので客観性をさらに確保できていると思います。

堀江:
たしかに、マンガ家の方だと編集者さんがコントロールしてくださるのか……。でも、伊藤先生が描く「読者が置いてきぼりになる作品」は読んでみたいです(笑)。

伊藤:
人に見せられるようなものではないので(笑)。描いている時は気付かないのですが、時間が経ってから読み返すと「自分で描いたのに、自分でも意味が分からない作品」が結構あります。マンガ家になる前の作品ですけどね。

堀江:
そういった作品は捨ててしまうんですか? それともずっと保管されているんですか?

伊藤:
保管しています。物持ちがよくて、まだ残っていますよ(笑)。

堀江:
読ませてほしい……!!

「読者あってのマンガ家だから…」世界中から推される理由

――本日、推しである伊藤先生にお会いしてみていかがでしたか?

堀江:
初対面でしたが、こんな僕に伊藤先生がとても物腰柔らかくお話してくださってすごく嬉しかったです。今もこうしてお話できていることが信じられない気持ちです。 下界に降りてきてくださり、本当にありがとうございます!

伊藤:
こちらこそ(笑)。堀江さんは若いのにいろいろ考えていらして、プロフェッショナルな声優さんだなと思いました。

還暦のおじいさんなので、好青年に推していただけてマンガ家冥利に尽きるなと思います。お会いできてよかったです。

なんと伊藤先生、堀江さんの似顔絵をプレゼント……!
なんと伊藤先生、堀江さんの似顔絵をプレゼント……!

――世界中にファンがいる伊藤先生ですが、堀江さんを含め“推されていること”に対してどう感じてらっしゃいますか?

伊藤:
どのマンガも自分なりに妥協せず、「駄作を描かない!」と集中して描いてきたことを評価していただいているんだなと思います。

”読者あってのマンガ家”と思っているので、買って読んでくださる読者の方にはいつも感謝しています。同時に、私もマンガに全力を注いで楽しんでもらえるよう、これからも頑張りたいとも思っています。

堀江:
これだけ世界中からラブコールを一身に受けていると、不気味な要素を一切抜いたラブコメを描いてみたいとはならないのでしょうか……?

伊藤:
半分冗談なのですが、「ラブコメを描きたい」とはほうぼうで言っているんです。実際はラブコメを描こうとしても、最後はホラーになってしまうと思いますが……(笑)。

堀江:
誰かが死んじゃう……!でも、それはそれで読んでみたいです(笑)。

あと、願わくば今も保管されているという「ご自身が好きなように描いた原稿」をいつか読みたいis.

伊藤:
ははは。機会があれば(笑)。

――最後に、せっかくなので推しである伊藤先生に堀江さんから何かお聞きしたいことはありますか?

堀江:
ええ、何だろう……いろいろあり過ぎるけど、時間が足りなくなりそう……。 (逡巡して)好きな歌手は誰ですか?

一同:
あははは!

堀江:
すみません(笑)。でも伊藤先生のプライベートが謎すぎて、どんな音楽を聴くのか、どんなドラマを観るのかが気になってしまって……。

伊藤:
音楽はこの間ラジオでお会いした松任谷由実さんが好きで、よく聴きます。

堀江:
描かれている作品とは対照的に、聴かれている音楽は爽やかだった……!

伊藤:
あとはビートルズですね。音楽の趣味は割と爽やかな方です(笑)。 でも、映画『サスぺリア』の楽曲を制作した「ゴブリン」というバンドの音楽も好きです。

堀江:
僕も『サスぺリア』は好きな映画です……!

伊藤:
いいですよね。なので、音楽はいろいろ聴いていると思います。 堀江さんはどんな音楽を聴かれるんですか?

堀江:
僕も松任谷由実さんの曲が好きです! あとは「人間椅子」Ya「筋肉少女帯」も聴きます。

伊藤:
そういう方向も良いと思います。

堀江:
あと、最近触れたドラマ、小説、アニメなどでおもしろかった作品はありますか?

伊藤:
最近観た作品ではないのですが、『半沢直樹』とインド映画の『RRR』がおもしろかったです。

堀江:
音楽も作品もジャンルにこだわらず触れているんですね。そういった作品が伊藤先生のマンガの糧になっているんですか?

伊藤:
ジャンル関係なく、いろんなところにヒントがある
と思っています。それを無理やりホラーにしちゃうだけなので(笑)。 堀江さんの最近おもしろかった作品もお聞きしたいです。

堀江:
いやいや、僕なんかの好きなものはいいですよ……!

伊藤:
映画などはご覧にならないですか?

堀江:
映画、よく観ます。最近は時間が取れなくて映画館にはあまり行けていないのですが、一時期はオフの日に映画館をはしごして、1日5作品くらい映画を観ていました。

伊藤:
それはすごい。

堀江:
シネコンだけではなく、ミニシアターにも行くほど映画は好きですね。

――そんな堀江さんが最近観ておもしろかった映画は?

堀江:
藤本タツキ先生原作の『ルックバック』の映画がおもしろかったです。 僕は王道な作品や友達にオススメされた作品に対して「染まらないぞ!」となるタイプなんですね。だから、観ないことが多いのですが、『ルックバック』を観て「逆張りは良くないな……」と思いました(笑)。ちゃんとみんなが「良い」とオススメしてくれる作品は素直に受け取るべきなのかもしれないと。

伊藤:
私もだいぶ前にそれに気づきました(笑)。評判になっているものは良いものが多いですからね。

堀江:
意地を張るのはよくないですよね(笑)。

伊藤潤二&堀江瞬

(執筆:羽賀こはく、取材・編集:阿部裕華、撮影:小川遼)

『伊藤潤二展 誘惑 JUNJI ITO EXHIBITION:ENCHANTMENT』兵庫会場 開催概要

伊藤潤二展
伊藤潤二展

■伊藤先生からコメント
今回の展覧会は「原画を展示すること」が1番の目的でした。例えばスクリーントーンの上に墨を塗るなど、私なりの原画の味わいがあると思います。そこを見ていただきたいというのが、1番の希望です。

また、世田谷文学館とは一部、展示内容を変更しています。「辻占の美少年の恋みくじ」コーナーはおみくじのデザインを変更しているため、東京会場へ来ていただいた方でも兵庫会場を楽しんでいただけると思っています。グッズのデザインもカラフルな色合いでアイデアが面白いものばかりです。ぜひお楽しみください。

 ■会期
2024年10月11日(金)~12月22日(日)

■会場
兵庫・市立伊丹ミュージアム 住所:兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-20

■休館日
月曜休館(ただし10/14・11/4は開館、10/15・11/5は休館)

■開場時間
10:00~18:00(入場およびミュージアムショップは17:30 まで)

■料金
一般 1,000円(900円)
大高生 700円(600円)
中小生 400円(300円)
※土日祝・一部の平日は事前予約制。詳細は会場HPをご確認ください。
※( )内は20名以上の団体料金
※学生の方は、学生証をご提示ください
※兵庫県内在住・在学の小中学生は、ココロンカードなどのご提示で無料
※伊丹市内在住の高齢者の方は、証明書のご提示で半額(平日は60歳以上、土日祝は65歳以上)
※障害者手帳をお持ちの方は、手帳のご提示で半額(ご本人と介護者1名)

会場ホームページ:https://itami-im.jp/exhibitions/junjiito/
展覧会公式サイト:https://jhorrorpj.exhibit.jp/jiee/

伊藤潤二プロフィール

伊藤潤二(いとう じゅんじ)
1963年7月31日生まれ、岐阜県出身
伊藤潤二 公式 X(旧:Twitter):https://x.com/junjiitofficial

堀江 瞬プロフィール

堀江 瞬(ほりえ しゅん)
1993年5月25日生まれ、大阪府出身
堀江 瞬 公式 X(旧:Twitter):https://x.com/holy_yell0525

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