
REAL AKIBA BOYZ「アニメへの愛がハマった瞬間にドカンと沸く」アニソンで踊ることの楽しさとこれまでの歴史を聞いてみた
「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnuman。2024年9月の深堀りテーマは“音楽”。
うれしい時、悲しい時、幸せな時。そして、ちょっぴりつらい時も。いつも私たちに寄り添ってくれる…「音楽を推す」特集を実施中です。

本稿ではREAL AKIBA BOYZ(リアルアキバボーイズ)にインタビュー!
レペゼン秋葉原! アニメソングなどに合わせてダンスパフォーマンスを繰り広げるチーム・REAL AKIBA BOYZ(リアルアキバボーイズ/以下、RAB)が17周年を迎えました。
RABの9人のメンバーは全員、世界でもトップクラスのダンサー。確かなスキルに裏打ちされたコミカルな動きとアクロバティックなテクニックが融合されたスタイルは圧倒的で、唯一無二の魅力を放っています。さらにRABは、オタク文化とダンス文化を融合した先駆者で、新しいジャンルの開拓者でもあります。
10月4日には大きな目標だった武道館単独ライブも控えているRABから、結成時からのオリジナルメンバー・涼宮あつきさんと、オーディションを突破して2019年に加入したゾマやかじゃない!さん(以下、ゾマ)にご登場いただき、RABのこれまでの歴史から「アニソンダンス」の魅力や難しさまで語っていただきました。

※2024.09.20に公開した記事を一部編集のうえ、転載しています
白い目で見られていた結成当時。オタク+ダンスの先駆者になれた
――まずは武道館単独ライブの開催、おめでとうございます! この17年間、RABはダンス文化をオタク、アキバ文化と融合した活動をしていますが、おふたりの“オタク歴”と“ダンス歴”を教えてください。
涼宮あつきさん(以下、あつき):
アニメは小学生の頃から大好きで、同級生が観ていないようなアニメも観ていました。ただ、はっきり“オタク”と自覚するようになったのは2007年。『涼宮ハルヒの憂鬱』にハマって、グッズも買い漁るようになってからですね。
でも、小学校5年生の頃からアニメイトに通い続けていたんで(笑)、何かのきっかけがあればいつでも本格的なオタクの世界に進んでいた気がします。ダンスに出会ったのは中学生の頃です。
ゾマやかじゃない!さん(以下、ゾマ):
僕は高校生になってブレイクダンスを始めたんですが、その時の1年下の後輩がめちゃくちゃオタクだったんです。彼の影響でニコニコ動画を観るようになり、アニメも観るようになりました。『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』をDVDで観て……そこからなのでオタク歴は高2からですね。ダンスもオタクもどちらも歴で言うとほぼ15年。今32歳なので人生の半分はブレイクダンスとオタクです。

――早い時期からダンスとオタクを組み合わせる感覚はありましたか? それとも、ダンスはダンス、アニメはアニメでそれぞれ別物として好きという感覚?
あつき:
そこが多分、自分とゾマで年代によって違うと思うんです。僕がブレイクダンスをメインにやっていた2006~2007年頃は正直、オタクとダンスは区別している意識でした。
今“ROOTS”と呼んでいるRABのオリジナルメンバーの5人が集まったのが2007年で、そこから徐々にブレイクダンスをやりつつオタクも前面に出していくという方針になりました。当時はオタク+ブレイクダンスを披露していたのは、間違いなく僕たちだけだったと思います。その一方で、風当たりも強かったです。
――「B-BOYにオタク文化を持ち込むな」という空気もあったそうですね。
あつき:
ありましたね。正直、当時の僕らはブレイクダンスの世界ではそれぞれ“期待の若手”だったんです。世界レベルの大会でも活躍しているメンバーがオタクを前面に出していたパフォーマンスをすることに対して、白い目で見られましたし、実際に注意されたこともありました。
――ゾマさんの世代でもそういう感覚はありましたか?
ゾマ:
B-BOYはどちらかというとアンダーグラウンドな世界なので、そこでオタク性を出しにくい雰囲気は多少、感じてはいましたね。でも、僕らはそれこそRABの先輩たちの活動を見ていたので「そういうの、やっていいんだ!」という気持ちになれた世代is.

あつき:
後輩を救いました(笑)。
ゾマ:
はい(笑)。本当に先駆者として道を拓いてくれたと思います。
ゴリゴリのB-BOYが、実はアニメ好きと知ってソワソワ…
――RABは最初、オフ会の感覚で集まったそうですね。
あつき:
そうですね。ブレイクダンス界隈で知り合ったメンバーですが、最初は集まって一緒に踊ろうという意識はなくて。「どうやらK-TAN(現在のけいたん)って奴がオタクらしい」とか「マロンって奴が実はアニメが好きらしい」とか風の噂で耳にして連むようになって、当初は本当に秋葉原で一緒に買い物するとか、ダンスは関係なしに友達感覚で活動していました。
――当時の雰囲気からすると、お互い「実はオタクなんだ」と言い出しづらかったりしたことも?
あつき:
最初は探り探りでしたね。たとえばオリジナルメンバーのDRAGONは当時からイケイケの若手で、ブレイクダンス界で注目される存在。僕はDRAGONとダンスバトルで戦って何回も負けていたので、当時は彼のことが嫌いというか(笑)、勝手にライバル視していました。
ある日、風の噂で「DRAGONもどうやらアニメが好きらしい」って聞こえてきて……にわかに信じられませんでしたね。そんななか、あるブレイクダンスの大会でDRAGONが控え室にひとりでいたので、「アニメ好きなの?」って勇気を出して話しかけたんです。そしたら「いや……実は好きなんだよね」って。そこから意気投合しました。

ゾマ:
僕の世代だと、それこそRABの先輩たちが作りあげてきた「アニソンで踊るダンス」がすでに確立されている状態でした。アニメ好きかつダンス好きが集まるイベントもあったから、自然と「みんな仲間」という意識です。探り合うような瞬間はあまりなかったですね。
とはいえ、普通のブレイクダンスのイベントで会ったゴリゴリのB-BOYが、実はアニメ好きと知って何だかそわそわ……みたいな感覚はありましたけれど(笑)。
――オタク仲間だったRABがチームとして一緒に踊るようになったきっかけは?
あつき:
それも遊びの延長で始まったところがあって。オタク友達とはいえブレイクダンス界では注目されているメンバーだったから、「このメンバーでダンスバトルの大会とかにも出てみる?」みたいな軽いノリで決まったんです。
当時のブレイクダンス界からすると「何でこのメンバーが組んで大会に出てるの?」という感覚で反響もありましたけれど、僕らとしては「ただアニメ好きで集まっただけだけど?」って(笑)。
――期せずしてドリームチームが結成されたわけですね。
あつき:
そうなりますね、結果として。でも、当時は今のようにいかにもなオタクファッションもしていなかったし。よく見るとアニメTシャツを着ているとか、その程度でした。
「アニソンでダンスを踊るのはめちゃ難しい!」
――現在のスタイルが確立されていくなか、アニソンダンスとストリートダンスの違いを意識することはありましたか?
ゾマ:
ありますね。普段のストリートで踊っている時は(曲の)ビートを追うとか、自分が練習してきた動きをネタとして披露することが多いんです。そこにアニソンが加わると、まず歌詞が日本語っていうことで表現が広がる。それは大きいのかなと思いますね。歌詞に動きを合わせたり、そのアニメの内容にちなんだ動きを入れたり、アニメのワンシーンをダンスに落とし込んで音にハメたり。

あつき:
アニソンって起承転結がはっきりあるんですよね。アニソンでストリートダンスを踊るのって、実はめちゃくちゃ難しいんです。そもそもが曲の速度がめちゃくちゃ早かったり、音数が多かったり、展開も目まぐるしく変わるので、(合わせて踊るのが)難しい。でもその分だけ、アニソンにうまくついていけると内容の濃いダンスができる。だからこそ、アニソンでダンスを踊るってことに人が惹きつけられるのかなとも思います。
ゾマ:
アニソンのダンスバトルで面白いのは、ダンスがうまいだけじゃ勝てないってところで。アニメ作品への愛の表現がハマった瞬間に会場がドカンと沸いて、ダンス自体が相手より下手でも勝つことができるんですよね。ある意味、アニメ作品自体を超えてしまうような瞬間もあります。
あつき:
僕は個人的に「あきばっか~の」というアニソンダンスバトルの大会を開いていますが(2024年で11年目)、今はそこに全国から参加者が集まります。今はアニソンでブレイクダンスを踊る文化が当たり前になっている。
僕らが若かった時代はやはりアニソンでストリートダンスやブレイクダンスを踊るって、人によっては恥ずかしいものという感覚も絶対にあったはずですが、今の子たちは多分その感覚はないと思うんです。アニソンバトルを見てダンスを始めた子たちもたくさんいます。そういう子にとってはもう、「アニソン=踊るもの」になっているんじゃないかな。
――「アニソンで踊る」というみなさんのスタイルが、新しい文化にまで育ち始めているんですね。
あつき:
確かに継承している感覚はありますね。でも正直、偶然の産物という感じはしていて。最初は大きなカルチャーにしようなんてことは微塵も考えていなくて、ただ、自分たちと同じような感覚のダンサーってもしかしたら他にもいるのかもねっていうくらいの気持ちでした。で、フタを開けてみたら「めっちゃいた!」みたいな(笑)。
ゾマ:
(笑)。
あつき:
僕らの思ってる以上にそういう人たちがいたってことが大きいですよね。
うまいだけじゃ響かない。「ニコニコ動画」から教えられたこと
―—そもそも「アニメソングで踊ること」はどんな理由で始めたのでしょうか。
あつき:
これはわかりやすく2011年、日本テレビの『スター☆ドラフト会議』という番組からRABがオファーを受けたんです。素人からスターを発掘する番組でしたが、そこに出演する時に(TV局側から)チェックシャツを渡されて「見た目もオタクっぽく、わかりやすい雰囲気にしてほしい」と。それがまず、現在のユニフォームの始まりです。
その後、僕らが出演した回が番組の瞬間最高視聴率を叩き出したらしく、『らき☆すた』にも出演していた声優の福原香織さんとユニットを組んでCDデビューすることになりました。でも当時は知名度的にも福原さんにおんぶに抱っこの状態で。「このままだと悔しいよね、僕らだけでも何かできないかな」と、アニソンを使った「踊ってみた」をニコニコ動画に投稿するようになったんです。
ゾマ:
その時期、僕は専門学校の学生で、RABの活動をリアルタイムで見ていました。『スター☆ドラフト会議』も「RABが出るんだ」って思って観ましたし、あつきさんが劇団ひとりさんに私物のフィギュアを囓られた事件もOAで見ました(笑)。
あつき:
あったね(笑)。
ゾマ:
ニコ動の「踊ってみた」も毎週のように新しい動画が上がるようになって、「次、何のアニソンで来るんだろう?」みたいなワクワク感がありました。ダンスとしての凄さ、説得力ももちろんあるんですけど、それと同時にコミカルで、「どういう動きになるんだろう?」とか「こう曲に合わせるんだ!」みたいな感覚のパフォーマンスにめちゃめちゃ衝撃をくらいましたから。
だから、のちにRABのオーディションがあるってなった時にはもう迷わず「行こう!」って気持ちになりました。
――動画の反響はいかがでしたか?
あつき:
最初は正直、自分たちがブレイクダンスの中で培った技術をアニソンに乗せるだけでしたけれど、徐々にいろいろな曲にいろいろなアプローチで挑戦するようになって。ニコニコ動画だとコメントで直にみんなの反応が見られるから、それを通していろいろ気づかされることもありました。
たとえば自分たちが難しい技をやっている動画より、面白おかしくやっている動画のほうが反応が大きいんだ、とか。そこからRABの「アニソンで踊るスタイル」ができていったというのはありますね。
――ニコ動という場が大きな影響を与えたわけですね。
あつき:
やはり、もともとアニソンが持っている特徴も大きいと思います。ブレイクダンスってどちらかというと「かっこいい踊り」だと思っていますけれど、「かっこいい踊り」を「可愛い萌えソング」で踊るとなると、やはり合わなかったりする。そこでアニソンに寄り添った結果、今のようなスタイルが生まれたと思います。
武道館公演の次はRABアニメ化を目指す!
――では最後にあらためて、武道館ライブに向けての意気込みを聞かせてください。
ゾマ:
今はようやくリハーサルも始まったところで、まだ自分が実際に武道館でパフォーマンスをする絵があまりイメージできていないです。でも、10月4日という日はもう決まっているので。ROOTSの先輩たちがずっとつないできた夢を、自分たちも一緒に最高の形にできるように。一緒に戦えるように頑張りたいですね。
あつき:
間違いなく人生で最良の日になるだろうと思います。自分がいつか年取って死ぬ瞬間も、この武道館だけは自分自身を褒めたいと思えるような、自分にとって誇れるステージにしたいですね。それと、自分たちがずっと夢と掲げていたのが実は2つあって。武道館ワンマンライブともうひとつは、僕たち自身がアニメになること。
むしろ「僕たち自身のアニメ化」を実現するために武道館を目指したので。武道館とアニメ化――ふたつの夢が叶った先で「リアルアキバボーイズ第2部」がスタートするんじゃないかなと、今は思っています。
(執筆:鈴木雅展、企画・編集:三鷹むつみ)
リアルアキバボーイズ日本武道館-レペゼン秋葉原-

日程:
2024年10月4日(金) OPEN 16:30 / START 17:30
場所:日本武道館
出演:REAL AKIBA BOYZ / REAL AKIBA BAND
ゲスト:オーイシマサヨシ
現地一般チケット・配信チケット発売中!
▼チケットサイト
https://l-tike.com/rab/
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