見出し画像

ガチ腐女子が選ぶ【春を感じる】BLコミック4選。『春虎くん』青春の痛みが眩しく尊くオタクは拝みました…『そんな目で見てくれ』はツッコミが追い付かないよ!

桜が咲き、気分も新たに春シーズン到来。春と言えばボーイミーツボーイの季節。桜並木を見ていると、運命に繋がるような新しい出会いを果たしたあのキャラやあのキャラを想い出しちゃいますよね…。

そこで今回は春が印象的な作品や、春にまつわるエピソードのあるBLコミック4作品を、ガチ腐女子ライターの私が独断と偏見で厳選しご紹介します♡


【1】ちょっと待とうよ、春虎くん:両片思いっぷりに萌え転がりました


高校生の粋(スイ)はゲイであることが周囲に知れ渡って以来、マスクで表情を隠しながら男子寮でいじられキャラを演じている。2年生に進級し、春虎という新入生と同室になった粋。春虎の素直な性格と、部活にまっすぐ打ち込む姿に惹かれていき……!?
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

(コミックスあらすじより)

「俺、恥ずかしがるスイ先輩ツボみたいです。」
【カップリング属性】高校1年生バスケ部期待の後輩男子×高校2年生マスク先輩男子

青春BL界の新ホープ・あめきり先生のセカンドコミックスにして大ヒットした本作。進級がきっかけで始まる青春ものの本作は、「アオハル感」が眩しくて……まさに春の読書にオススメです。

ゲイがバレてから自らいじられキャラになって、沢山傷ついてきたスイ。そんな気持ちを隠すようにマスクをしている姿が切ない! 寮の相部屋もひとりで過ごしていたスイを思うと胸がぎゅっと締め付けられます。

『ちょっと待とうよ、春虎くん』1巻(新書館)

ゲイいじりのせいで常に人の顔色を窺い、自分の気持ちよりも相手の気持ちや周りの反応を気にしてしまうスイは、誰よりも健気なのに周囲から否定され続けてきたせいで恋愛にも臆病になってしまうのが切なかったです。

自分の心に蓋をしてきたそんなスイの元に、進級した四月にひとつ下の春虎が入寮してきて、素直で真っ直ぐに思ってくれる春虎にスイは沢山救われます。スイが春虎に出逢えて本当によかったなと思わず泣いてしまいました。

この春虎はとにかく素直で、謙虚で、思いやりがあってめちゃくちゃいい子! 相手の言葉をまっすぐに受け取ることができて、他人の痛みを想像できるところも推せみを感じます。たまにまっすぐすぎて天然なところもあるけれど、そこも含め本当に可愛いのです。読みながらまぶしいほどピュアな二人にときめきが止まりません。

バスケ部期待の新人でもある春虎を、スイはスイなりに一生懸命協力したり励ましたりする姿もまた健気で可愛くてキュンキュンします。純粋な二人が少しずつ距離が縮まっていく様子や、お互いにお互いのことが大好きなのに思いやり合い過ぎて逆にすれ違っている完璧な両片想いっぷりがもう最高で萌え転がりそうになりました。

『ちょっと待とうよ、春虎くん』2巻(新書館)

なかでもいちばん胸に刺さったのはスイの泣き顔。一生懸命ふだんは周りに合わせたりムリをしているスイが春虎の前でだけ見せた素の表情というか、さらけ出した感情が切な過ぎて読みながらもらい泣きしてしまいました…!青春の痛みがまぶしく尊く、ページに向かって手を合わせ拝むオタクでした。

思春期の恋愛の酸いも甘いもの全部が詰まっていて高校生っぽいドキドキ感と爽やかな絵柄が素敵な作品で、何度読み返しても面白くて楽しい本作。春にぴったりな、多幸感いっぱいで満足感に浸れる作品です。

また今月1日には本作の続きが読める待望の新刊、2巻も発売! あめきり先生の描く青春BLの甘酸っぱい胸キュンのその続きを、ぜひ堪能していただきたいと思います。

【2】カメレオンはてのひらに恋をする:出会うべくして出会った唯一無二の2人

俳優の藤永(大学3年)は演技が大好きだが、オーディションに落ち続けて自信を失っていた。そんなときに先天性難聴のケイト(大学1年)が入学してきて出会い、手話でお礼を言われる。藤永は手話に初めて触れるものの、これまで「伝えたい」という気持ちを人一倍持って演技し続けてきたため、手の動きを一目見ただけで読み取ることができた。そして、手話を身振り手振りでやってみることになるが、ケイトは藤永の感情表現を見てその才能に驚かされる。――これは“伝えたい者同士”が手話で心を通わせていく、優しくて温かい恋の物語。

(コミックス1巻あらすじより)

こんなに“目”で聴こえたの初めて。
【カップリング属性】難聴の大学生×売れない俳優

四月、偶然に出会った難聴のケイトと俳優の藤永が友達の距離を超えて、お互いを大切に想うようになるさまが描かれていく作品です。こちらも進学きっかけでスタートする物語で、ほっこりと温かい気持ちになるという意味でもぴったり。

「出会うべくして出会った唯一無二の二人」の物語。それが丁寧に丁寧に描かれて無理がなく、説得力の塊と言えるような作風で「伝えたいもの同士」の二人のあれこれが、読み手にもきちんと伝わってきます。

『カメレオンはてのひらに恋をする。』1巻(スクウェア・エニックス)

ふたりの間には言葉の壁があるのですが、ケイトの真っ直ぐな眼差しとすべてをありのまま受け入れる藤永のまっさらな心が合わさることでその隔たりを感じさせない展開になっているのがとても心に響きます。

耳が不自由でも明るい性格のケイトと、“表現する”ことが大切な夢を追いかける藤永。スクリーン俳優を夢見る藤永ですが、夢見る先では藤永の表現は伝わらず……でも、聴こえないケイトの世界では藤永の表現は伝わっているという状態が絶妙に刺さります。

この2人の物語の軸は障がいの有無という事ではなく「表現する」「伝える」「伝わる」というとても心情を大切に扱った物語なんだなと読み進めるうちに気づいてきます。言葉も声も文字も音も、当たり前には存在しないのだということに改めて気付かされ、それと同時に自分の気持ちを伝える手段は様々でそこには垣根なんてないんだと感じます。

そしてケイトと藤永の近すぎる距離感、心臓がドキドキする音、恋の始まりを感じる瞬間にキュンキュンも止まらない! 表情と口元を見るためですが、ケイトは藤永の顔をのぞき込むようにグイッと距離を詰める。その瞬間のドキッとする藤永の反応が可愛くて口角が上がりまくり。

『カメレオンはてのひらに恋をする。』2巻(スクウェア・エニックス)

ケイトが大きなワンコにしか見えず、藤永と一緒にいるときは見えない尻尾がぶんぶん揺れて見える気がします! ケイトの全身キラキラピカピカで嬉しそうな姿が可愛くて悶え死ぬかと思いました。

手の動き、瞳、表情、体の動き、体の向きすべてが、人に伝えるために必要な要素なんだと改めて教えてもらえるような気持ちになりますし、身長差があるので藤永の上目遣いが可愛いし、ケイトが屈んだりするのが優しくてとてもいい! 

作画も本当に緻密なので身体で表現する動き、表情で伝える想いが受け手に響きます。絵で感情を揺さぶられるような感覚になるのでぜひ体感して欲しいと思えました。この『カメ恋』はまだシリーズが続いているので、今後の展開にも注目です。

【3】そんな目で見てくれ:表紙とギャグのギャップが凄い。ツッコミが追い付かないよ!

各界の令息が通う男子校・私立シリカゲル学園。そんな並み居る御曹司たちの憧れの的である眉目秀麗な生徒会長・大和御門(やまとみかど)は、たまたま入学式で根暗な新入生・根崎春(ねざきはる)の笑顔を見て以来、無口で物静かな彼のことが気になって仕方がない。これはもしや……?!

(コミックあらすじより)

猛烈なギャグセンスでビーがエルするラブストーリーだよっ☆
【カップリング属性】
私立名門男子校のイケメン生徒会長×地味で無口な新入生

まず最初に感じたのは、今まで読んだ中で1、2位を争うほど表紙と内容のギャップがすごい作品です。

誰もが憧れる完璧超人の生徒会長・大和御門は、入学式で新入生・根崎春の笑顔を見て以来、無口で地味な根崎の事が気になって仕方がない。長い前髪で顔を隠し、自分になびかない根崎にしびれを切らした御門は、ある日うっかり根崎の前髪を切ってしまうが――!? スーパー攻め様(仮)のモーレツ初恋グラフィティ!!!

『そんな目で見てくれ』(東京漫画社)

……といったテンション感で1ページごとにみっちりギュウギュウにギャグが詰まっているので、思わず吹き出してしまうコマが連続していて正直電車の中や公共の場で読めないおかしさてんこ盛りです。

ギャグとテンポのセンスが秀逸過ぎて、さすがアニメ化された『魔法少女 俺』の原作者・毛魂一直線先生だなあと涙を流しつつ大納得しながらも、攻めの大和、受けの根崎、大和の弟の景清、みんな愛おしいキャラクターです。

イケメンを描くのも残念なイケメンを描くのもギャグ絵を描くのも上手すぎて驚きますし、大和の背景がバラの時のアゴの長さ、めりこみ顔、寝巻き…ツッコミが追いつくことはまずないと思います。そもそも物語の舞台である高校名がまず“シリカゲル学園”という時点で意味不明です。

テンションが振り切れているので、もはやBL漫画要素よりギャグマンガとしての側面が大きいのですが、ちゃんと内容はBのLです。バカを通り越してアホの子の生まれるべくして生まれたスーパー美形攻め様・大和ですが、可愛さもあるし一生懸命さもあって読みながら声を出して笑ってしまいました。

とにかく大和の壊れっぷりと勘違いっぷりが清々しいほど面白い!老若男女モテて経験も豊富みたいな設定なのに初恋っぷりを絶大に発揮しているので読み進めるのが楽しくなります。

CD『そんな目で見てくれ』(フィフスアベニュー)

正直ものすごくウザいのですが、それ以上に大和が本心から根崎のことを褒めるかっこ良さや、自分の方を見てもらいたくて張り切る可愛さなどがとても魅力的に描かれているところに先生の力量を感じます。

人生イージーモードすぎた御門が根崎と出会って初めて一つのものに一生懸命になる姿も良く、独特の角度から繰り出されるアピールも面白くて最後は思わず応援してしまいます。

ブッ飛んだキャラや世界観でありつつも入り込めたのは、このギャグに隠されながらも恋愛の過程が丁寧に描かれている部分も大きく、大笑いしながら春のシチュエーションを楽しむのにベストな一作です。

【4】ボーイミーツマリア:「人と人」が恋に落ちる瞬間。温かい思いで満たされます

幼い頃からヒーローに憧れる大河は、高校に入学し運命の女の子と出会う。その相手は、演劇部のマドンナ・通称「マリア」。公演でひときわ目立つマリアに一目惚れした大河は、出会ったその日に自分のヒロインになってくれと告白するも、あえなく玉砕。評判の美女は実は男だった――。

(コミックスあらすじより)

演劇部のマドンナ。彼女は男でした――。
【カップリング属性】
部イチの実力派美女(?)×落ちこぼれ部員

この作品は、好きな子を守れるヒーローになりたいと思う大河の成長物語であり、トラウマや自分の中にある"女"の部分と戦う有馬の成長物語でもあり、本作はキーポイントが「ヒーロー」になっています。

不幸な生い立ちから女の心を捨てきれず、男にもなりきれず、苦しむ有馬と、“過去の出来事”から深く考えるのを止め、ヒーローを目指す大河。そんな大河が有馬を女だと勘違いして恋をします。男だと分かっても消えない胸のドキドキ。

有馬のことをもっと知りたいと、有馬に演技の稽古をつけてもらううち、やがて大河の心に変化が起き、それが有馬の心をも動かしていくという熱い展開に心を揺さぶられました。

『ボーイミーツマリア』(プランタン出版)


 また、作画もPEYO先生は本当に絵が隅々まで上手くて見ごたえがあり、キャラクターが生き生きとリアルに動いているさまに感動します。画力が高いので、体の動きに不自然なところが全く感じられないうえに、いろいろな視点からの構図がひとつひとつ良いのです!

キャラクターの表情の絵がいいのはもちろんですが、背景やコマ割りも含めた画面全体がものすごく上手なのでかなりみっちり描き込んであっても、とても自然で読みやすさを感じます。あわせて有馬や大河と関わる周辺の人物たちの優しさがとてもリアルなことに胸を温かくさせられました。
 
そして読み進めるうちに2人がそれぞれの過去を知り、2人とも幼少期のトラウマから自分を見失っているのですが、関わるうちに世界(視界)が変わり始めるその上で、お互い憧れ、影響し合う2人をみるとなんとも言えない切ない気持ちになりました。

男である事を拒否されて、女にもなれないと自分を見失っている有馬が、大河に男でも女でもなくていいから有馬で居てほしいと言われる場面は何度読み返しても感動させられます。
 
また、異性を好きになるのは当たり前?男らしく、女らしく振舞うのは当たり前?という、まっすぐなテーマも感じ、その上で本作はあえて「男と男」ではなく「人と人」が恋に落ちる瞬間を垣間見れる作品です。

大河と有馬、お互いがお互いのヒーローというのがとても素敵で尊敬と信頼がある関係が濁りない青春の透明感そのもので、まぶしさを感じました。
 
性別は関係ない、それは「男でも女でもいい」というような二択を超越して、「ただあなただから大切なのだ」と言わんばかりの、物語のそんなメッセージ。心に光が差し込むような温かな想いで満たされるので、春に必読な作品とも言えます。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 
上記4作品を「春を感じるBL」としてピックアップしてみました。 瑞々しい春にふさわしく青春の胸キュンだったり、気づきだったり、ギャグだったりとさまざまですが、作品から春の気配を感じてくだされば幸いです!

(執筆:加藤日奈)

いいなと思ったら応援しよう!

numan(ヌーマン)@推し深掘りメディア よろしければ応援お願いします! より読者の皆さんへ喜んでもらえるコンテンツ作りに還元します!

この記事が参加している募集