
続編はあるか? 水嶋ヒロ、加藤和樹ら『仮面ライダーカブト』から大躍進した俳優たち。当時から感じた彼らの“爆発的な“表現力を特撮オタクが紹介する【特撮×推しメン×白書】
特撮ドラマにおける推しメンたちの活躍を振り返りながら、その後のキャリアを辿っていく【特撮×推しメン×白書】が月1連載でスタート!
若手俳優の登竜門と言われている「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラマン」の‘‘三大特撮ドラマ’’。キャストの成長を一年間という放送期間の中で見守ることができ、一つの醍醐味となっています。さらに、すでに名を馳せているベテラン俳優や人気声優たちの新境地を見られることも。
そんな俳優や声優らの活躍を、長年特撮を見続けてきた筆者が当時を振り返りつつ、紹介する本連載。今回注目する作品は、2006年から2007年にかけて放送され、SNSでは続編を期待する声も多い『仮面ライダーカブト』is.

水嶋ヒロ(天道総司=仮面ライダーカブト)
人間に擬態する宇宙生命体・ワームとの熾烈な戦いを繰り広げる仮面ライダーカブトこと天道総司。自称「天の道を行き総てを司る男」である彼は、典型的なオレ様キャラで、自らが世界で一番偉いと思っている人物。
常に傲慢な性格が目に付くキャラクターですが、血の繋がりがない妹の樹花や洋食店で働く少女・ひよりらの成長を見守る姿や人一倍正義感に溢れている面など、なぜか憎めない。「おばあちゃんは言っていた…」から始まる名セリフの数々は「天道語録」としてファンに愛されています。
まさにそれまでの「仮面ライダー」の歴史には存在しえなかった型破りなキャラクターを演じたのが、何を隠そう、水嶋ヒロさんです。
水嶋さんは、低めのトーンの声色と表情をあまり変えない静かな演技で、天道のオレ様ぶりをクールに体現。あまり感情の起伏がないキャラクターであるため、時折、感情を爆発させる瞬間は恐怖さえも覚えてしまいます。水嶋さんの表現力の高さがうかがえます。
そんな水嶋さんは、『仮面ライダーカブト』放送終了後、数多くのイケメン俳優たちが夢の共演を果たしたテレビドラマ『花ざかりの君たちへ ~イケメン♂パラダイス~』に難波南役で出演。キャストの中でも屈指のカッコ良さを発揮し、人気が爆発しました。
その後は、『メイちゃんの執事』(2009年)を初めとしたテレビドラマから、『ドロップ』(2009年)、『BECK』(2010年)、『黒執事』(2014年)といった映画までジャンルにとらわれない作品に出演。

もともと語学に堪能だった水嶋さんは、2016年、海外ドラマ『GIRLS/ガールズ』にも出演。見事、アメリカ進出も果たしています。
近年は本格的な俳優活動を行っていないものの、2010年に小説『KAGEROU』でポプラ社小説大賞を受賞したほか、2019年からはYouTuberとしても精力的に活動中です。
佐藤祐基(加賀美新=仮面ライダーガタック)
人類に牙をむくワームに対抗するため組織された「ZECT」の隊員として活躍する、もう一人の主人公・加賀美新。荒々しい性格のガタックゼクターに選ばれ、後に仮面ライダーガタックへと変身します。その性格は天道とは真逆で、感情の起伏が激しく、常に前だけを見続ける熱血漢。その向こう見ずな性格から失敗をすることも多々ありますが、それでもめげずに立ち向かう姿がとても好印象でした。
シリーズ序盤は割と負け犬キャラとして機能していた加賀美が、次第に天道と肩を並べるほどの強さを醸し出していく、その変遷がなんとも小気味いい。それも演じる佐藤祐基さんの真っすぐな演技があってこそなのです!
佐藤さんは、本作の2号ライダーという立ち位置でありながら、主人公の影に隠れることなく、むしろもう一人の主人公として常に光を放ち続けたのです。この卓越した存在感と親しみやすい演技で、誰からも愛されるキャラクターを作り上げました。
佐藤さんは、その後、『白と黒』(2008年)や『ヴォイス ~命なき者の声~』(2009年)などで主要キャストに抜擢されると、次々にテレビドラマや映画の脇役として存在感を発揮。現在に至るまで息の長い俳優人生を送っています。

2018年の『仮面ライダージオウ』では、水嶋さんに代わり、『仮面ライダーカブト』の代表として加賀美新を再演。時を経ても変わらない真っすぐな魅力を発揮してくれました。
徳山秀典(矢車想=仮面ライダーキックホッパー)&内山眞人(影山瞬=仮面ライダーパンチホッパー)
若くしてZECT精鋭部隊「シャドウ」を率いるエリート隊員の矢車想は、「パーフェクトハーモニー」を信条に、調和のとれたチームプレーを得意とする完璧主義者。仮面ライダーザビーへと変身し、部下からの信頼も厚い頼れる男でした。しかしながら、次第にカブト抹殺という命題に取りつかれるようになり、肩書きもザビーに変身する資格もすべてを失ってしまいます。
このままフェードアウトしてしまうのかと思いきや、なんと!かつてのエリートの姿形を微塵も感じさせないやさぐれた姿で再登場。今度は仮面ライダーキックホッパーとして、同じく闇落ちした影山瞬=仮面ライダーパンチホッパーと「地獄兄弟」を結成しました。
そんな『仮面ライダーカブト』陰の立役者とでも言うべき役割を果たした矢車役に扮したのは、徳山秀典さん。
劇中では、矢車の持つエリートとアウトサイダーの二面性を実に見事に演じ分け、その変わり様をエキセントリックに体現して魅せました。徳山さんの魅力的な演技があったからこそ、今日まで語り継がれる名キャラクターが誕生したのだと言えるのではないでしょうか?
徳山さんは、『仮面ライダーカブト』の他、2008年からは『炎神戦隊ゴーオンジャー』に須塔大翔=ゴーオンゴールド役で出演し、「スーパー戦隊シリーズ」への進出を果たしました。

過去には『ビーファイターカブト』と『ウルトラマンマックス』の2作品に端役で出演していることもあり、「仮面ライダー」「ウルトラマン」「スーパー戦隊」「メタルヒーロー」の‘‘四大特撮ドラマ’’への出演という偉業も成し遂げています。まさに、特撮の歴史に欠かせない人物なのです。
その後も、映画『タナトス』(2011年)や『花ざかりの君たちへ ~イケメン♂パラダイス~ 2011』などで活躍する傍ら、『仮面ライダーディケイド』(2009年)や『仮面ライダージオウ』で矢車役を再演し、ファンを喜ばせました。近年は、舞台やミュージカルでの活躍が顕著です。
そして、矢車と同じように「シャドウ」を率いる存在でしたが、後に資格を剥奪され、矢車と共に「地獄兄弟」を結成する、影山瞬。こちらもエリートからの転落人生を歩み、仮面ライダーパンチホッパーとして派手な戦いぶりを見せました。
演じる内山眞人さんの、目的のためなら手段を厭わない狂気じみた表情と、どんなに嫌いな相手にでも泣きつく腰ぎんちゃく演技、この2つが非常に際立っている印象を大いに受けます。
本日はシルヴィアの爪痕、御来場頂きまして誠にありがとうございました。
— 内山 眞人 x00日後に熟成されるワイン (@uchiyama_masato) July 12, 2024
残り3日間6公演各チーム、日替わりゲストの皆様も共に全力で怪我なく頑張ってください‼️
そして皆さん是非現地で応援してください🫡
エクスは次のエクスへ
南さん❗️宜しくお願い致します🙇#シル爪 pic.twitter.com/8HwCmArUno
そして、内山さんも徳山さん同様に、特撮作品に非常に所縁のある俳優です。2005年放送の『ウルトラマンネクサス』では、ネクサスに変身することができるデュナミストの千樹燐役を演じています。
その他にも、『仮面ライダー555』(2003年)、『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』(2007年)への端役出演、『仮面ライダーディケイド』、『仮面ライダージオウ』でのカムバック出演。

さらには横浜のローカルヒーロー『横浜見聞伝スター☆ジャン』シリーズや千葉テレビ放送の特撮アクション『センチネル』シリーズにもレギュラー出演しており、もはや特撮と共に俳優人生を歩んでいると言っても過言ではありません。
加藤和樹(風間大介=仮面ライダードレイク)
ZECTに所属せず、半ば強制される形でワームと戦う、フリーメイクアップアーティストの風間大介。「女は花」という言葉を座右の銘のようにしている女たらしで、男相手にはかなり当たりが強く、そのメイク術はどんな女性でも美しくしてしまいます。優美でお洒落なキャラクター性は、無骨なイメージの強かった仮面ライダーに新たな可能性をもたらしました。
風間大介役に扮した加藤和樹さんは、一つ一つの所作がとにかく洗練されており、メイクアップアーティストとしての説得力が凄まじい! 独特なファッションセンスを披露しているキャラクターであるにもかかわらず、そのファッションすらも似合ってしまうのは、もはや加藤さんだからこそなのではないでしょうか。
そんな加藤さんは、2007年に映画『仮面ライダー THE NEXT』で風見志郎=仮面ライダーV3役も演じており、仮面ライダーと縁のある俳優さんでもあります。
一方で、もともと『ミュージカル テニスの王子様』跡部景吾役で大ブレイクしたそのキャリアを活かして、2014年にはミュージカル『レディ・ベス』にてヒロインの相手役を演じるなど、舞台やミュージカルでの活躍も印象的です。

さらに近年は声優としての活躍も顕著で、アニメやゲーム、海外ドラマの吹き替えまで幅広く仕事をこなしています。特に2018年より吹替声優として参加している海外ドラマ『S.W.A.T.』におけるディーコン役は、仮面ライダー時代の息吹を感じさせる正義感あふれる声色が特徴的で、ファンなら思わず鳥肌ものです。
2025年には映画『ベルサイユのばら』にて、ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン役に抜擢されました。
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2026年で放送開始20周年を迎える『仮面ライダーカブト』。アニバーサリーイヤーに備えて、現在、巷では続編製作説が囁かれています。
当時の『仮面ライダーカブト』関係者がSNS上に続編を匂わせる投稿をしていることから拡散中のあくまでも噂レベルの情報ですが、もしも、製作が公式決定されれば、盛り上がることは必至。
オリジナルキャストの再登板、特に水嶋ヒロさんの天道総司再演は実現するのか? 期待は高まるばかり。今後も『仮面ライダーカブト』の推しメンたちの活躍に注視していきましょう。
(執筆:zash)
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