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ランキング首位を連発! 圧倒的熱量を生む「実写BLドラマ」ヒットの仕掛け人たち

「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てているnumanによる、女性向けエンタメの裏側に迫る連載企画『エンタメビジネスの裏側:沼の作り手たち』。ユーザーが愛するコンテンツがどのような想いで作られているのか、制作の裏側に迫ります。

今回は、空前のブームを巻き起こしている「実写BLドラマ」の仕掛け人たちにインタビュー。お話を伺ったのは、FANY:Dランキング1・2位独占など異例のヒットを連発するBL特化レーベル『nooto.PICTURES』より、レーベルを立ち上げた株式会社vivito代表の辻 慶太郎さん、企画・脚本から品質管理まで全体を統括するプロデューサーのRYOTA(リョタ)さん、現場に近い立場でキャスティングやクリエイティブを担うプロデューサーのNOERU(ノエル)さんの3名。

前半の無料パートでは、まだ見ぬ若手俳優たちが羽ばたく「登竜門」としての実写BLの可能性やレーベル立ち上げの熱い思い、ほかジャンルとは一線を画す「実写BL」の圧倒的な熱量についてたっぷりと語っていただきました。

そして有料パート(300円)では、「キャスティング」へのこだわり、縦型ショート動画ならではの“フェチ”を刺激する撮影方法や「続きが気になる」構成の裏側に迫ります。さらに海外の世界的ヒットメーカーをベンチマークとしたレーベルの大きな野望とは――。貴重なヒットの裏側をお届けします。

(取材・執筆:阿部裕華)


【お知らせ】nooto.PICTURESオリジナルドラマ『義理の兄は推し小説家!?』イベント開催決定!

nooto.公式YouTubeにて公開中のオリジナルドラマ『義理の兄は推し小説家!?』のイベントを、2026年4月4日(土)に開催することが決定しました。

『義理の兄は推し小説家!?』

出演者と一緒に見れる上映会や特別抽選など特典付きプレミアムチケット販売中!

■イベント概要
開催日: 2026年4月4日(土)
会 場: 東京都内
出演者: 安藤勇雅、一ノ瀬太陽、黒田昊夢
チケット販売サイト: https://nooto.base.ec/

■イベント内容
公開中の本編を出演者と共に作品を振り返りつつ、裏話トークや作品内で登場した小道具が当たる抽選会、出演者と一緒に記念撮影できるなど盛りだくさんの予定!

専門レーベル誕生の理由は、BLドラマの圧倒的な「持続力」

――BLドラマに特化したプロダクションレーベル『nooto.PICTURES』を立ち上げるに至った経緯をお伺いできればと思います。

辻 慶太郎(以下、辻):
映像制作会社として近年、BL作品の実写ドラマ化の盛り上がりの凄まじさを感じています。テレビ局さん主導の企画が増えている一方、求められているニーズ、つまり視聴者からの需要に対して、まだまだ供給のバランスが取れていない。弊社も去年(2025年)くらいからBL作品を作っていくなか、現場でそれを強く感じていました。

株式会社vivito代表 辻 慶太郎さん

構造的な課題だと思っているのですが、このジャンル(BL)はまだ見ぬ役者たちが羽ばたく登竜門やカルチャーとしての大きな可能性を秘めているのに、未知のジャンルであるがゆえに足踏みしてしまう俳優さんがまだまだ多いという現状があります。だいぶ浸透してきているとは思いますが、業界全体で見るとまだ多少の偏見もある。そういった課題感を踏まえ、「僕らのような供給側に立つ人間が、可能性の機会を作っていってもいいんじゃないか?」「それなら専門レーベルとして腹を括ってやろう!」と『nooto.PICTURES』を立ち上げました。

RYOTA:
実際にBLドラマを作ってみて驚いたのが、ほかのジャンルとの熱量の違いです。BL以外の作品は、リリースから1ヶ月くらいはランキング上位に入っているのですが、新しい作品がリリースされると、その作品が上位に上がり、旧作はランキングが下がっていきます。しかし、BL作品は長い期間、ランキング上位に残るんです。

『nooto.PICTURES』プロデューサー RYOTA(リョタ)さん

『nooto.』は単発ヒットを狙うではなく、BLでIP・俳優・クリエイターを横断的に育てて、それをしっかりと設計することでBLのブランド化に繋がって、女性だけでなく男性も楽しんでもらえることが大事と思ってます

――BLドラマは“持続性”が高いということですね。

RYOTA:
はい。熱量の高いファンが多くいる、“持続的なエンタメコンテンツ”になっていると感じます。 例えば、FANY:Dさんで配信された『君を王子にするまであと30日』という作品は、去年6月に配信されて以降、去年いっぱいランキング上位にいましたし、12月にシーズン2が配信された相乗効果でまた上位に入りました。11月に配信された『待てが出来たらご褒美を。』という作品も、配信から4か月経った現在まで多くの方に視聴されています。そのため、基本的には半年くらいの期間、継続的に視聴されている感覚があります。

さらに、SNSの切り抜き動画などの総視聴回数が初動で100万回再生を突破したケースもありました。以前、別のジャンルでショートドラマを作ったときは、ネームバリューのある俳優さんに出演いただいたことで視聴数が伸びましたが、BL作品は若手俳優さんであっても圧倒的に視聴されるんです。初速も強いし、持続性も強い。どちらも兼ね備えているのが最大の強みだと思います。

YouTubeのコメントを見ても、日本が1番多いですが、中国や台湾などのアジア圏からの声も多く、同じ方が何度も観てくださるなど非常に熱量の高さを感じています。

NOERU:
ファンの皆さんの熱量に関して言うと、「能動的に動いて情報を拾いに行ってくださる人」がとても多い印象を受けます。

『nooto.PICTURES』プロデューサー NOERU(ノエル)さん

昨年末に『nooto.PICTURES』のYouTubeチャンネルを開設し、オリジナルBLショートドラマを配信しているのですが、大きな宣伝活動はしていなかったんですね。にもかかわらず、最新作『義理の兄は推し小説家!?』は総再生数16万回、『俺がコイツに恋するなんて! - 地味経理はときどきホスト!?-』の総再生数は28万回(2026年3月時点)を突破。おそらく新しいBLドラマ作品を求めている方たちが、検索を駆使して探しているのではないかと思います。

また、役者やストーリーだけじゃなく、「そのカップルごと好き」という箱推しの人が多いので、一度作品にハマっていただくと常に情報を追ってくださる。それもほかジャンルとBL作品の違いではないかと感じています。

レーベル名に込められた「余白」を楽しむ日本独自のカルチャー

――『nooto.(ノオト)』というレーベル名の由来やコンセプト、フクロウのロゴに込められた思いを教えてください。

辻:
名前には「〜の音」という意味もあるのですが、最初は「余白」という言葉をコンセプトにしていました。「余白を楽しもうぜ」と。BLの楽しさや面白さって、女性サイドから始まっていて、日本発祥の素晴らしいカルチャーだと勝手に思っているんです。でも実写ドラマという意味では、タイや台湾などアジア圏の作品が先行して世界を席巻している印象を受けます。だからこそ、日本発のBLドラマ作品も負けていられないという強い思いがありました。

海外作品の情熱的で直接的な表現とは異なるアプローチとして、「日本独自の“余白的”なカルチャーにフォーカスしていこう」というところから「nooto.(ノオト)」になりました。日本のファンの皆さんの考察力って凄まじいですからね。

ブランドロゴのフクロウは、完全に僕のフクロウ好きという趣味ではあるのですが……フクロウ自体が神秘的で、それがBL作品を観るときのちょっと秘密めいた神秘性に似ているなと感じたことが理由です。

――「日本発のBLドラマ作品も負けていられない」という思いがあったとのことですが、「日本独自の武器」をどのように捉えているのでしょうか。

RYOTA:
日本独自の武器という点で言うと、日本の文化的な部分ですね。例えば、制服、侍や工芸品など、日本のカルチャーは最大の武器だと思っています。BLドラマにも、日本独自のカルチャーを取り入れたら、海外へ広がる可能性があると感じています。今、インバウンドで外国のお客さんがたくさん来ていますが、ヨーロッパなどは日本の制服にすごく魅力を感じているそうで、それを見るために日本へ来る方もいるのだとか。学生同士の恋愛作品に制服を上手く取り入れられたら、そういった方たちへの訴求も可能だと思っています。

NOERU:
伝統文化的なカルチャーを取り入れるのはもちろん、マンガやアニメをはじめとした日本独自のサブカルチャー作品においては、繊細な感情表現がとても武器になると思っています。日本語も一つの言葉に対していろいろな意味を持つこともあれば、一つの意味でいろいろな言い回しもある。そういった細やかな表現も強みではないかなと感じています。

『nooto.PICTURES』オリジナルドラマ『センセイはオレに甘すぎる〜レモンキャンディは恋の味〜』

原作者と原作ファンを裏切らない作品づくり

――作品を選定する際や実写化するにあたって、制作陣として大切にしている基準やルールはありますか?

RYOTA:
作品を選ぶ際は、ドラマの視聴だけで終わらない作品かという観点を常に持っています。例えば、グッズ化しやすいか、ファンイベントをやったときに成立するかといった2次展開の可能性にも重きを置いています。

NOERU:
シンプルに「自分が面白いと感じられるか」という感覚は大事にしています。自分が感情移入できないと制作においても熱量が乗らないので。個人的にはラブコメやヒューマンドラマなど、好きなジャンルは幅広いのですが、感情の機微が描かれている作品は特に魅力的に感じます。

RYOTA:
そして、いざ実写化する際に絶対に欠かせないのは、当たり前のことではありますが、「原作者とファンへのリスペクト」です。これがなかったらいくら素晴らしい原作も作品としてダメにしてしまうので、私自身だけでなく監督や脚本家とも全員で認識を合わせるようにしています。「原作者がどんな思いで作っているのか」「ファンがどこを見て楽しんでいるのか」をしっかり理解して、世界観を崩さないように実写としてどう面白くするかを考えています。

NOERU:
RYOTAの話と重複しますが、原作者さんの意図を大切にしています。ドラマ化することによって、多かれ少なかれ原作者さんが傷つく可能性がある。なので、実写化による解釈の違いで傷つかないよう、コミュニケーションはより大事にしたいと思っています。

――原作の意図を守る上で「キャスティング」は非常に重要だと思います。重視しているポイントを教えてください。

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