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心が浄化される…ガチ腐女子が選ぶ“バレンタイン”に読みたいBL4選。なにこれ「可愛い、KAWAII!」と悲鳴を上げそうになりました

本日2月14日はバレンタイン♡  そこで今回は、BLコミック3000冊を所有するガチ腐女子のライターが「バレンタイン」をテーマにしたBL作品からコミック2冊、小説2冊をご紹介します。彼らのバレンタインにまつわるエピソードで悶絶しましょう。

※2025.02.14に公開した記事を一部編集のうえ、転載しています


【1】山田と少年:浄化される…二人のピュアさにモダキュン!

「山田と少年」(プランタン出版)

“クリスマスの夜、仕事帰りの山田(26)は、泣きながら酔っ払っている男子高校生・千尋を拾う。彼は、同性に惹かれてしまうことを悩む少年だった――…。ノンケの社会人と、ゲイの高校生。偶然出会った二人が性別を超え少しずつ心の距離を縮めていく。”

(あらすじより)

「男に興味ないはずなのに、この子が愛しいとかへんだな…」
【カップリング属性】今どきのふつうなノンケ社会人×同性が好きな男子高校生

クリスマスの雪の夜、建設業の作業員でまだ若いのにちょっとくたびれた風貌のノンケ山田は偶然のきっかけで、自分がゲイであることに悩む男子高校生・千尋と出会います。

最初こそポロポロと抱える悩みを打ち明ける千尋の話を聞き、初詣では『自分の恋愛運を千尋に回してもいいからあいつが幸せになれますように!』と祈る山田でしたが、その飾らぬ人の良さに惹かれ始めてしまった千尋は『気になる人に渡したいバレンタインのお菓子を山田のアパートの台所を借りて試作したい』と言います。

耳たぶをバラのように真っ赤にして自分と話す千尋を見て、健気で愛しいと思い始めた山田。その少しずつ心の距離が縮まっていく様子がピュアで自然体でなんとも可愛い! 女子だらけのバレンタイン売り場へ二人で出向き、恥ずかしがる“おじさん”の山田と熱心にラッピングなどを選ぶ千尋の対比が面白すぎて笑えます。

うすうす自分のことを千尋は好きなのではと、確信が持てないながらも平静を装う山田の様子のおかしさっぷりもですが、美味しそうに仕上がったチョコブラウニーを山田に渡すことなくしれっと帰っていく千尋が意外でびっくり!

渡されると気負っていた山田は拍子抜け。ところがポストの音がカタンと鳴り、千尋は山田に手渡すのが恥ずかしいあまりにポストに入れようとしていたのでした。

一見しっかり者でひとり親家庭ゆえ、兄弟の面倒も頑張ってみている千尋の、かわいいエプロンが実は好きだったり、山田と話すと耳たぶをバラのように赤くするピュアさだったり、完成したチョコ菓子を手渡せずポストに入れようとしたり、そんな健気で意外な可愛い一面を知った山田は“愛しい”や“好きかもしれない”と思い始めることになるのでした。

全編にわたってゆったりと時間が過ぎ、もどかしいほどお互いを純粋に思いやる二人の恋の流れは柔らかくほんわか。そのなかでもバレンタインエピソードの場面はモダキュンで、読みながら自分の中にある汚れが浄化されるような気持ちになりました! 優しい線画と優しいセリフを心ゆくまで堪能していただきたい一作です。


【2】春と夏となっちゃんと秋と冬と僕:可愛い!KAWAII!!

「春と夏となっちゃんと秋と冬と僕」(ふゅーじょんぷろだくと)

“どこにでもありそうな田舎に暮らす、どこにでもいそうな男子学生のシマとナツオ。だけど彼らの恋は世界にただ一つだけの、特別で幸せな恋。毎日を愛しんで暮らしたくなるような、自然溢れる小さな町で四季折々の変化を感じながら、ただひたすらにシマとナツオの恋愛を傍観できる。甘さに悶え、切なさに涙し、ページを捲るごとに染み渡る、萌えの塊。”

(あらすじより)

カシャンと割れそうな程にあやうくて美しい日々。
【カップリング属性】デレデレで大好きが隠せない男子高校生×何でも受け止めてくれる男前な男子高校生

『オールドファッションカップケーキ』がドラマ化され大ヒット作となった佐岸左岸先生のデビュー作である本作。男子高校生のシマとナツオというラブラブな愛でしっかりと結ばれているカップルの姿を一年間、四季折々の景色を通してたっぷり描かれているこの作品は一ページ基本四コマでまとまっています。

内容によっては次の四コマにも繋がれているので、ぶつ切り感はまったくない見事なストーリーの流れ! 今回のテーマ『バレンタイン』については二月の出来事として描かれています。

#2月14日→#ゾンビ→#本命チョコと連なるコマの中で、放課後の教室でシマが女子から義理チョコをもらったことにナツオは猛烈にヤキモチを焼いて怒っています。黒板消し係のシマを背後の教壇に座って足で挟み込みプンスコ怒るナツオ。

なにこれ可愛い! かわいい! KAWAII! と悲鳴を上げそうになりつつもコマを追っていくと、その後帰りのバス停でバスを待つ間シマは怒っているナツオに本命チョコ(ナツオが食べたかった種類の!)をさりげなく渡すという男前な攻め様っぷりを発揮! ナツオはあれだけ女子からの義理チョコにヤキモチを焼いていたのに、なんと恋人シマへのチョコは用意していません…!

それに対しサラリと「期待してないよ」と懐の深さを見せるシマ。そのあとのコマのやりとりが尊すぎて、恋する高校生のストレートな気持ちにきゅんきゅんします。本作は幼なじみらしくじゃれ合ったり、ケンカしたり、いろんな呼び名で呼び合ったり。

二人が、ただ仲のいい幼なじみから恋愛関係に踏み越えた、まさにそのきっかけやポイントは描かれていないけれど、その辺を想像する余地がある所もまた味わい深いです。周りの他の友達とは違う、二人だけの甘酸っぱい恋の世界が広がっていて、尊いとはまさにこのこと。

四季を描いた田舎のほのぼのした風景が、優しい懐かしさのようなものも感じさせてくれます。その魅力を余すところなく伝えてくれる佐岸左岸先生の画力の高さは、とてもデビュー作とは思えません!

素晴らしい才能とセンスあふれるこの作品は、本当にページを読み進めるごとに心のすみずみに染み渡る萌えの塊。甘酸っぱいバレンタインエピソードとともに、本当に毎日を愛しんで暮らしたくなるような各月ごとの景色や可愛いシマナツも、心ゆくまでご堪能ください。


【3】妄愛ショコラホリック:激重な妄愛が引くほどスゴイ

「妄愛ショコラホリック」(白泉社)

“三軒茶屋でカフェを営む佐倉頼朋の前に、突如舞い戻った由利高晴。超イケメン&世界一のショコラティエとなったその男は、昔、頼朋がバレンタインにこっぴどく振った、冴えない後輩だった。驚愕の独善解釈で十有余年想い続けていたという高晴は戦慄もののド変態で、疎遠中も謎のルートで頼朋の写真や物品を蒐集、コレクション部屋を作り、それを守る番犬の名はヨリトモ(アフガンハウンド)――はたして頼朋は一途な男の妄愛をかわしきれるのか?!”

(あらすじより)

この超イケメン世界一ショコラティエが、過去にフッたアイツ!?
【カップリング属性】超一途で純情一直線イケメン世界一ショコラティエ×ほだされ美人のカフェオーナー

この小説は主人公・頼朋(27)が中学三年だった時のバレンタインデーから始まります。なんだかダサくて、イモっぽい後輩・高晴がド緊張しながら手作りのなにやら異臭を放つ最悪のチョコを差し出してくるので憐れに思いひと口かじると、ネトネトしたとんでもないシロモノが…キレた頼朋は決死の告白とともに迫るダサイモ後輩・高晴に頭突きを喰らわし…と散々なオープニングです。

しかし、ダサかった高晴、その後は先輩の拒否の言葉を前向きに受け取り、愛する先輩に認めてもらう男になろうと決意して世界的なショコラティエにはなり、見た目もちゃんと鍛えて格好良くなり、あれこれ勉強して片っ端から資格や技術を会得し、洗練されたショコラトリーを開店させ…というかなり高スペックな仕上がりに。

冴えない攻めが猛烈に、行き過ぎレベルで努力した結果とんでもないパーフェクトな男として再び登場。今はカフェオーナーとして祖父から引き継いだ店を切り盛りする頼朋の前に現れたのでした。

十年以上も頼朋を想い続けた高晴は、どれだけ見た目やスペックが変わったといえど何といっても頼朋への執着が凄まじいのです! 執着というか妄執というか、もう軽く引くぐらい突き抜けています。

中高の制服はもちろんのこと、タオルやパンの袋、壊れたシャープペン…。写真に等身大抱き枕なんかもある。その妄愛ぶりは十年以上もしっかり続き、むしろ中学生だった当時よりも激重感情で大人になった今の頼朋を呆れさせたり困惑させたりマイペースで“推ししか勝たん”全開です。

頼朋の存在が高晴の行動原理で、行動のすべてが頼朋に繋がるという徹底した“待てができるようになった”変態狂犬っぷりがコミカルで読みながら思わず吹き出してしまいました。

印象的な場面として、かつてのバレンタインデーでは散々な手作りチョコレートを渡してきた高晴でしたが、十年以上を経た今では努力の結果世界一の称号を持つショコラティエと成長しているので、再び妄愛している頼朋に贈られたのはつややかで宝石のように美しい手作りチョコレート。

文句を言いながらもひと口かじれば驚くような美味しさで、風味も豊かで贅沢な“世界一ショコラティエ”が創り上げた芸術品のような仕上がりに黙るしかなかった頼朋なのでした。

物語はその後、頼朋に様々な困難が待ち受けている展開なのですが、“推ししか勝たん”高晴の奮闘と併せて読み応えのある内容となっているのでぜひご一読をオススメします。


【4】タフ2 Valentine Kids :ネタバレ回避で結末を見て!

「タフ2 Valentine Kids」(リブレ)
「タフ2 Valentine Kids」(リブレ)

“凶暴かつ横暴、プラス傲慢な刑事、神蔵響。好奇心と向こうっ気だけは人一倍強い天然トラブルメイカーの平間シンゴ。8年間の絶縁と過去の傷を無視するように、強引に距離を詰めてきた響は事件解決に助力した貸しをちらつかせ、シンゴの部屋に転がり込む。抵抗しつつも拒みきれず、不本意な同居生活を続ける中、またまた起きた事件を通して二人の距離は縮まって…。”

(あらすじより)

再来週の日曜は空けておけよ。――二月十四日?俺の誕生日。
【カップリング属性】凶暴かつ横暴プラス傲慢な危険な刑事×超絶美人で天然トラブルメイカー

8年間の絶縁と過去の傷を無視するように、強引に距離を詰めてきた凄腕刑事・神蔵響と好奇心と向こうっ気だけは人一倍強い天然トラブルメイカーのグラフィックデザイナー・平間シンゴ。この二人を中心にストーリーが進んでいく岩本薫先生の小説『タフ』シリーズはEXTRA編も入れると全7巻というボリュームのある作品。

トラブル体質の小悪魔系美青年シンゴと野獣系の刑事響が巻き込まれる、日常のちょっとした事件を背景に、男二人因縁こじらせ系カップルの腐れ縁ぶりをじれながら鑑賞するタイプの小説です。一話完結もので、世相を反映していたり、料理のシーンも多いので、「きのう何食べた?」の形式に近いかもしれません。

今回ピックアップしたのは第2巻のうち『Valentine Kids』の章。響とシンゴの前に響の同僚でシングルマザーの女性刑事・斎田かおりとその息子・大地が登場します。一見コワモテの響ですが、シンママ刑事斎田の息子・大地には良く懐かれている様子で、仲が良いさまを見て、なんだか胸がツキッとくるシンゴ。


「タフ1 Troublemaker」(リブレ)
「タフ1 Troublemaker」(リブレ)

そんなシンゴに響は「再来週の日曜は空けておけよ。メシを食いに行こう」と日にち限定で誘ってきます。その日は二月十四日、バレンタインデーであり、なおかつシンゴの誕生日当日でもありました。ですが、響に懐いている子ども・大地の誕生日も偶然にもシンゴと同じバレンタインデー!

当日は響と自分の母親・斎田かおりと三人で遊園地に行きたいと言いだし、響は先約があるからと断っても大地は“とあるこだわり”がありガンとして譲りません。それどころか大地はシンゴに「響兄と母をくっつけて、二人に結婚してほしい」とナイショで打ち明ける純粋さ。

当の本人、響はシンゴとの約束を取りつけたため「先約がある」と、出かけたい思いでいっぱいの粘る大地に大人げないほどに冷たくはねのけます。

代々警察関係者の由緒あるけれど家族関係が冷えた家庭で育ってきた響にしてみれば、大切なシンゴが二月十四日・バレンタインデーの日に生まれなければ出逢えなかった特別な日…そんな誕生日を一緒に過ごすことに特別な意味を見いだそうとしていたのかもしれません。

必死に頼みこむ子ども・大地に遠慮してシンゴは「俺はいいよ、遊園地に行ってきなよ」とお人好し丸出しな部分が響をイラつかせます。その後の展開はかなり意外なもので、読み応えも甘さも充分! ネタバレ回避でぜひこの結末を読んでいただければと思います!

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

2月14日は「バレンタインBL」をじっくり読んでみるのはいかがでしょうか? 甘々だったり、素朴だったり、一途な想いのこもったBL作品からもバレンタインの気配を感じてくだされば幸いです!

(執筆:加藤日奈)

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