
アニメライターが独断で選ぶ【2024年ベストアニメ】6選。『僕ヤバ』足立…お前いい奴すぎるよ…『来世は他人が』は石田彰の“あのセリフ”に狂喜乱舞した

2024年も終わりに差し掛かり、2025年のアニメ情報が多く発表されるようになりました。そんな2025年を迎える前に「推し活総決算」として、筆者が独断と偏愛で推す【2024年のベストアニメ】6選をご紹介します!
※2024.12.24に公開した記事を一部編集のうえ、転載しています
『僕の心のヤバイやつ』足立...お前いいやつすぎるよ!
まずは劇場版の制作も決定し、原作も安定の盛り上がりを見せる『僕の心のヤバイやつ』。二期はどこまで描いてくれるのかとドキドキしていましたが、まさに理想通りの描かれ方で大満足でした!

1期の時点ではまだ友達?といった感じでどこかぎこちない2人でしたが、今期では両片思いの距離感で、付き合うか付き合わないか葛藤している部分も含めてもどかしい気持ちで観ていました。本当に付き合ってないのか!?と思う描写もあり、そのツッコミの空気も含めて原作通りで、原作ファンとしては嬉しい限りです。
筆者が個人的に注目しているのが、市川の友人である足立。両者どちらも山田のことが好きなのですが、今期でとうとう足立と市川の騎馬戦でのタイマンが実現しました。
山田と市川が想いあっているのはわかっているけど、それでも自分を納得させるためにタイマンを申し込む足立。騎馬戦の最中とは思えないほど激アツな口喧嘩を繰り広げ、最後足立が市川に飛び掛かり鉢巻を奪って二人とも倒れこみます。
騎馬戦で負けた市川と、市川の額に書かれた「きょう」の文字を見て負けを悟った足立。足立と市川の想いの強さや、お互いの悔しさがダイレクトに伝わってきて、ここまで丁寧に描いてくれるなんて...!と感激でした。
山田と市川の話が主軸ではあるものの、世界に二人しかいないわけではなく、周囲の人間の力を借りてあるいは認めさせて二人の関係性を築いていく。
今期は山田と市川だけでなくその周囲の協力関係や友人関係にスポットを当てた話も多いです。いろいろな壁が立ちはだかる二人の関係性を大きく進めるきっかけとなった回なのではないでしょうか。
『響け!ユーフォニアム3』裏切らないことの残酷さを知る
2つ目はとうとう完結を迎えた『響け!ユーフォニアム』シリーズ。元吹奏楽部の筆者は1期から映画も含めてリアルタイムで追い続けましたが、毎シーズン胃が痛くなりながらも視聴を終えることができました。

今シーズンのなによりもの見どころは、原作小説とは違う展開となった久美子のソリストオオーディションを描いた12話です。「裏切らない」ことを約束してきた久美子と麗奈が迎えた結末は残酷で、目を覆いたくなるようなものでした。
1期では逆の立場から同じようなことをしたからこそ、立場が違うからと言って裏切ることはできない。久美子と麗奈だけでなく、視聴している私たちも両立する二つの気持ちにがんじがらめにされるようで、その悔しさと高潔さに涙しました。
「この気持ちも、頑張って誇りにしたい」1期からは想像もできない久美子の成長ぶりに、そういう面でもホロリ。
京都アニメーションらしい美しい描写もさることながら、久美子役の黒沢ともよさんの演技は圧巻の一言です。泣きそうになるときに詰まりがちになる声から、感情が爆発して叫び出し、声の最後に嗚咽が漏れてしまうところまで、ここまで苦しい気持ちになる演技はなかなか目にすることができないと思います。
ぜひ、最初から最後まで己の信念を貫いた北宇治高校吹奏楽部のフィナーレを見届けてほしいです。
7年ぶりの再会!『黒執事 -寄宿学校編』はシュールさも楽しかった
2024年には大人気漫画『黒執事』のアニメがとうとう帰ってきました! やったー! 2017年の劇場版アニメ『黒執事 Book of the Atlantic』から実に7年ぶりの再会でした。
ダークで耽美……なイメージの『黒執事』ですが、『黒執事 -寄宿学校編』はシエルとセバスチャンの、どこかちぐはぐな学園生活は単純にギャグとしても楽しめました。

美麗で妖艶なキャラクターたちとは対照的に、真面目な顔をして面白展開になる『黒執事』のシュールさについついハマってしまうのです。そんな『黒執事 -寄宿学校編』の見どころは、まさにそのシュールさが前面に出るクリケット大会の回。
容姿端麗で育ちも良い生徒たちが、一人ひとり大仰な技名を言いながら(心の中で)クリケットの試合を展開する様は「えぇ...?」と困惑しつつもハマってしまうこと間違いなしです。
『黒執事』は題材が題材だけに、少しグロテスクな描写も多かったのですが、今シーズンは学校が舞台ということもあってそういったゴア表現は少し控えめ。
今まで観ていたという方はもちろんのこと、これから初めて観るという方にもおすすめできる、再開を飾るのにふさわしいシーズンとなったのではないでしょうか。2025年には『黒執事 -緑の魔女編』も放映されるとのことで、今から楽しみでなりません。
『来世は他人がいい』石田彰の声で“あのセリフ”を聞けた…!
「俺の人生メチャクチャにして」。
2021年に新刊発売告知のCMで石田彰さんが深山霧島を演じたときから、アニメ化を心待ちにしていた『来世は他人がいい』。アニメのキャスト発表で続投が決定したときは狂喜乱舞しました。

理想通りの深山霧島(CV.石田彰)と最高に妖艶でおかん(?)な染井吉乃(CV.上田 瞳)の掛け合いは狂気と狂気のぶつかり合いで、原作の良さがそのままアニメになっています。作者の小西先生の美麗なキャラクターをそのまま動かすのは難しいのかもしれませんが、ギラッギラな二人とも美しい!
筆者が個人的に好きなのが、吉乃のコテコテの「泉州弁」。実は大阪弁ではなく泉州弁であり、監修も入っていることが作者のX(旧Twitter)で語られています。
アニメではそうディレクションされているのかな?と笑ってしまうほどにコテコテな関西弁で吉乃が喋るのですが、より怖さと荒さが際立ってて吉乃の「おもしれー女」度に拍車が掛かっています。
アニメを見ていると、またあの原作の豪華で美麗な絵で『来世は他人がいい』を読みたくなってしまいます。現在休載中ですが、再開を心待ちにしています。
『ダンジョン飯』九井先生の世界観、その再現度がドンピシャ!
そして、実は『ダンジョン飯』の作者である九井諒子先生のファンである筆者。『竜のかわいい七つの子』他2作品、これまで出版された短編集は全て読んでいるほどです。
すこし不思議で、切なくて、恐ろしい。そんな話を抜群の構成力で描く九井先生が連載を開始したと知った時から「九井先生の絵が動くところが見たい!」とアニメ化を待ち望んでいました。

『ダンジョン飯』の世界の独特さと、それに納得感をもたらす設定の緻密さ、なぜそのキャラクターはそういう姿・表情・言動・行動なのか? その隅々までアニメとなって動く様はまさに、ファンが「九井先生の作品をアニメ化するならこうあってほしい!」と思う部分にドンピシャで、毎週原作を読み返しながら観るのが楽しみでした。
九井先生の描く間やテンポ感もそのままアニメになっており、戦闘、食事、日常などの各シーンの緩急が絶妙で、つい同じ回を何回も観たくなってしまう。そんな魅力にあふれたアニメ版『ダンジョン飯』でした。
2期も制作が決定している『ダンジョン飯』。ぜひ最終回までアニメ化してほしいです。
『【推しの子】』アニメなのに舞台のよう。劇中劇が圧巻だった
なんといっても近年のアニメを語るうえで外せないのはやはり『【推しの子】』でしょう。実写ドラマが始まり、原作も最終回を迎えるなど2024年は多くの展開があった本作。二期は主に『東京ブレイド』の舞台稽古を軸にストーリーが展開されました。
その中で楽しみにしていたのが舞台の本番回。劇中劇であることを生かし、舞台の迫力が存分に発揮されており、原作では見逃していた部分にも目が引き込まれましたね…!

特に見たいと思っていたのが、鳴嶋メルトのアクロバティック演技。『東京ブレイド』でキザミ役を演じるメルトの見せ場なのですが、アニメで動きがついたからこそ、よりその苦悩とカタルシスが感じられました。
『推しの子』の舞台に関する描写は割と特殊で、アニメだからこそ表現できるシーンを多く取り入れています。舞台の激しさや鮮やかさだけでなく、演者の情緒の静動もこれでもかというほどに魅せる構成になっていました。
筆者も2.5次元やそれ以外の舞台を観覧することもあるのですが、生の舞台を見ると呼吸を忘れるほどに集中してしまいます。
『推しの子』の舞台における一つ一つの激しいシーンを観ていると、まるで観客席にいるような没頭感を抱きました。今期の『推しの子』は、アニメのような舞台のような、少し不思議な感覚を味わえた1作でした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
以上、2024年に推したいアニメの紹介でした。年末にゆったりと過ごしながら、2024年のアニメを振り返ってみてはいかがでしょうか。そして2025年も、たくさんのアニメを観て推し活に励みたいと思います。
(執筆:宮本デン)
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