
世古口 凌がひもとく押田 岳の「役と、素顔と」BLショートドラマ『今世も落ちる、恋ならば。』特別対談
「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てているnumanで、数多くの女性向け作品に出演し、多くのファンをときめかせている俳優・世古口 凌さんのインタビュー連載企画がスタート!
その名も、『世古口 凌がひもとく「役と、素顔と」』。世古口さんが共演者へインタビューを敢行。作品や役への思いについて触れるだけでなく、「共演者に聞きたい10の質問」で共演者の素顔にも迫ります。

第1回目のゲストは、現在「BUMP」にて配信中のオリジナルBLショートドラマ『今世も落ちる、恋ならば。』で世古口さんとW主演を務める押田 岳さん。「記憶に残るくらい話し合った」と話すほど本作の撮影で絆を深めた押田さんと世古口さん。
有料エリアには、「世古口さんが押田さんに聞きたい10の質問」のほか、自然体な表情のソロカットと2人の仲の良さが伝わってくる2ショットと、撮り下ろし写真を7枚掲載! 和やかな雰囲気の中で進んでいった特別対談をお届けします。
(取材・執筆=阿部裕華、撮影=上野留加、
ヘアメイク=新地琢磨、杉田智子、スタイリスト=金野春奈、世良 啓)

■『今世も落ちる、恋ならば。』あらすじ
1983年、レコード店で初めて出会って恋に落ちた大学生の染井蒼と夏野凪は、一緒にタイムカプセルを埋めるも悲劇的な最期を迎える。1999年、世紀末オカルトブーム真っ只中に、高校生として転生した二人は、思春期特有の主従関係で甘美な時を過ごすが、とある陰謀で再び犠牲に。
そして2025年、すべての記憶を持って劇伴作家となった蒼のもとにシンガーの凪が現れる。悲劇を繰り返したくない蒼は、凪との恋を避けようとするが、二人の間には強い引力が働いていた。
運命から逃れられるのか、それとも再び悲劇は繰り返されるのか—。
なぜか惹かれ合う、不思議な感覚を持ち続けていた
世古口 凌(以下、世古口):
『今世も落ちる、恋ならば。』は異なる時代に転生を繰り返すお話だけど、僕が演じる凪は時代は違っても「蒼を想っている」という一貫性がある役だったんだよね。BL作品だからこそ、とにかく「“好き”という気持ちが伝われ!」と心がけていて。転生という大きなイベントがある中で、そこの気持ちはブレないように心がけていたんだけど、岳くんはどうでしたか?
押田 岳(以下、押田):
蒼は排他的というか、攻撃的なセリフが多かったんだよ。人を寄せつけない人間なのに、なぜか凪を自分の近くに置いてしまう。セリフと行動が逆の役だから、「こいつの良いところが分かんないのに、なんでこんなに惹かれるんだろう?」と疑問をずっと持っている状態を意識して演じていたかな。

世古口:
蒼も凪も時代によって、記憶があったりなかったりするから、「なぜか惹かれ合う、不思議な感覚」はお互いに持っていようという認識で演じていたよね。何を覚えていて、何を覚えていないかを整理して演じるのは難しかったけど。
押田:
僕も蒼を演じるのは難しかったな。ショートドラマで長い会話が続くシーンが少なくて。会話のストロークがすごく短いから、分かりやすくお芝居するように意識した。あと、凪と違って蒼は、転生した時代によって3パターンくらい違いがあるんだけど、3割自分(押田 岳)の要素を残せば蒼としての繋がりを持たせることができるだろうと思いながら演じた。

世古口:
いろんな難しさはあったけど、時代ごとの蒼との掛け合いは楽しんでいた。
押田:
そうだね。撮影期間自体は短かったけど、(のむらなお)監督と凌と僕の3人で記憶に残るくらい話し合った気はしている。ドライ(リハーサル)を何回も見返しながら、撮影のセッティングが終わるまで、いろんなことを話し合えた。とにかく僕ら2人が、監督の世界観にどれだけ飛び込めるかがキーだったから。
世古口:
最初の本読みでなんとなく「こうなっていたらいいな」という蒼と凪の距離感や関係値が掴めたから、それを現場に持って行ったけど、ガッツリ話し合えたのは転生した時代の中でたぶん一番長い学生時代の撮影の時だった気がする。疑問を抱えずに、「まずは信頼しよう」と思いながら話し合ったおかげで、スムーズに撮影が進んだこともあって。学生時代は共演者の皆さんも多かったからこそ、蒼と凪の関係性をより深く理解できる時間だった。

凪とのダンスシーンでは、思わず“押田 岳”が出た
世古口:
岳くんは印象に残っているシーン、ある?
押田:
学生パートの1発目に蒼と凪が出会う海岸シーン。凪の単独カットがキレイすぎて、「いいな……」って思っていました。僕には、あのキレイさを表現できない。
世古口:
髪伸ばせばいけるよ!
押田:
そんなことはない(笑)。凌は?
世古口:
いっぱいあるんだよな……。一つは、僕も学生時代なんだけど、夜の海で捕らわれた凪を蒼が助け出そうとするシーン。あの撮影、雪と雨が降ったあとの夜の海だったから、ものすごく寒くて。みんな凍えながら撮影していたんだけど、凍える蒼のガッツを見て、「よし、頑張ろう!」と現場があったまったんだよね。根性とパワーで押し切っていたところがすごく良かった(笑)。

押田:
(笑)。学生シーンの撮影は長かったから、印象に残っていることも多いよね。あと、僕は3回目の転生をした時のアパートのシーンも好き。最初のアパートのシーンも好きだけどね。

世古口:
どの時代もいいけど、このドラマの世界観を表しているのは、冒頭に蒼と凪がレコード店で出会って、凪の家に連れ去るシーンだと思っていて。ドラマの始まりを感じさせるシーンですごく印象的。

世古口:
そのあと、凪の家で蒼と凪がダンス?をするシーンは苦戦したけど(笑)。動きのパターンがなさ過ぎて、監督にいろいろ提案されながら、何回か練習して完成したんだよね。凪の中にあるリズムに乗って動いている感じだったから、もはやダンスというより舞だね。「凪の舞」。
押田:
僕はなされるがままだったから。蒼のセリフの「怖いです……」は、完全に自分の中から出ていた(笑)。
世古口:
あれは蒼じゃなくて、岳くんだったね(笑)。
押田:
そうそうそう。セリフなのに出ちゃった(笑)。あれが「3割自分(押田 岳)の要素を残す」ってこと。
世古口:
あー、すごく説得力がある! ダンスのあと、凪が蒼へキスを迫っていくシーンも思い入れがあって。BLドラマという前提があるから、2人の関係性がしっかり分かるようにと気を配りながら演じたよね。
押田:
そうね。
世古口:
この作品はとにかく美しく見えることへスタッフの皆さんがこだわりを持っていたから、キレイに見える角度とかを監督含めて話し合いを重ねたよね。
押田:
僕らがキレイに映る角度はもちろん、背景の映り込みにもかなりこだわっていて。カメラの位置はかなりシビアだった。そのあとの庭のシーンも含め、かなりテイクを重ねたよね。

世古口:
庭のシーンは天候の変動もあったから、スタッフさんはかなり大変だったんじゃ……。「大変」という言葉では済まないレベルだったかも。
押田:
でも、それだけ大変だったから良かったかもしれないよね。大変な撮影の中で、徐々にチーム感が出てきて、「全力でやろう!」となっていったのが良かった。
世古口:
撮影時間が限られていたから、その中で「より良いものを作りたい!」という気持ちで、なんとか乗り越えて行けたよね。
押田:
そうそう。キャストもスタッフも同世代が多くて。それぞれ持っているこだわりを合わせながら作品をつくれるようになってきた年齢だと思うから、そういうメンバーで集まって作れたのはすごく楽しかった。
世古口:
そうだね、面白かった。

世古口 凌演じる凪は、人間離れした美しさがある
世古口:
岳くん、シンプルに制服が似合うよね。最初は、「岳くんは男らしさがあるから、学生の役を演じたらどうなるんだろう?」と思っていたらめちゃくちゃハマっていて。
押田:
童顔が功を奏したな……。

世古口:
そう、意外と童顔なんだと思って! 僕も童顔なんだけど、ジャンルがまた違う童顔なんだなと。そこで親近感というか、蒼に対して安心感が生まれたんだよね。あと、岳くんは目の力がブレない。目から「今、この世界観に入っているんだ」と思わされる。それくらい目からパワーを感じるから、ずっと「蒼が隣にいる」という安心感がすごくあった。
押田:
凌も凪にすごくハマっていると思っていたよ。台本を読むだけだと凪という役がピンと来なくて、「何、この子?」と思わされる。それが凪なんだけど、凌が演じるといい意味で「もしかしたら凪って人じゃないのかな?」と思ってしまう。そういう人間離れした美しさの魅力があるなと感じた。人間離れした役を人間が演じるのって、すごく難しいと思うんですよ。「本当にこんなこと言う? こういう行動、取る?」と思うことあったでしょ?
世古口:
あったけど、疑問を持たないことが凪を演じる上では必要かなと思った。だから、変にグッと役に入り込むんじゃなくて、ふわっと捉えていようとは思っていたかも。

押田:
そこだよね。疑問を持たずに芝居をするから成り立っていたというか。映像で見た時にそういうキャラ作りをしているんだろうなと思って、そこはすごいなと。あと、人の芝居を汲める役者さんだなとも思った。僕は器用じゃないから、役者と監督だけが気づくようなブレみたいなものがあるんだけど、それをなんとなく汲んで対応してくれる。そういう役者さんはすごいなって思うよ。
世古口:
意識していたわけではないけど、そう言ってもらえるのは嬉しいね。世界観は難しかったけど、僕と岳くんの2人がちゃんと地に足つけていれば大丈夫だと思っていたから。
押田:
たぶん、2人ともやりたいことがすごく多かったら成り立っていなかった。散らかっていた可能性もある。でも、このドラマの真ん中に監督がいて、監督の思い描く世界観に合わせに行くイメージが僕の中にはあったから。凌はどうだった?
世古口:
あったあった!
押田:
最初から最後まで見てる方向が一緒だったから、上手く噛み合ったのかなと思います。

役者を始めたことは“運命”だったのかも
世古口:
『今世も落ちる、恋ならば。』は、蒼と凪が「キスをすると雷に撃たれて転生する」という運命から逃れられない話だけど、岳くんは「運命」って信じる?
押田:
都市伝説とか好きだから、輪廻転生とか運のバランスとか、「運命」的な話にロマンは感じるけど、信じているか信じていないかでいうとどうなんだろうな……。良い出来事に関してだけ、運命はあるだろうと思うようにするかな(笑)。

世古口:
それ、めちゃめちゃいいね。1番平和的な捉え方な気がする。そういう意味で、思い返してみると「これは運命だったな」と思う出来事ってある?
押田:
この仕事を始めたことなのかな。家族は堅めの仕事をしているから、マジで頭になかったんだよね。ダンスはやっていたけど、母親に無理やり入れられただけだったし。だから、なんで役者になったんだろうとは思っていて。「なんで役者を目指したの?」と聞かれると、いつも何かしら理由はつけるんだけど、明確な理由が思い浮かんでいない。だから、もしかしたら運命なのかもしれないよね。僕の遠い先祖に芸事好きがいたから、芸事に縁があったとかね。
世古口:
なるほどね。それはそれでロマンがあるな。僕は決められた運命はなくて、周りの環境で左右されるものだと思っていて。環境が運命を作っていくみたいな。例えば、もともとアニメや二次元コンテンツが好きだったけど、お芝居の仕事を始めてからは真面目に映画やドラマを観るようになっていって。なのに、この歳になって周りを見渡すと、オタクの友達しかいない、みたいな。

押田:
そうなんだ。
世古口:
自分は活力にあふれた人間で友達とは少し違うと思っていたし、そういうコンテンツから少し距離を置いていた時期もあったけど、幼少期に通ってきた環境が地続きになっているんだなって。逃れられない運命だったのかなと最近思っていたところだった。
世古口 凌が押田 岳に聞きたい10の質問!
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