
なぜ違う?『るろうに剣心 京都動乱』国内外で異なる反応。日本では賛否、一方海外では最大級の称賛!「漫画史上、最高の瞬間の一つ」
2024年秋アニメとしてスタートし、現在も2クール連続放送中となっている、テレビアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱』。
満を持して製作された『るろうに剣心』リブート版アニメの第2期となる本作ですが、実は日本のファンと海外のファンとでは少しばかり評価が二分されている模様…。一体なぜこのような現象が起こっているのでしょうか?
今回は『るろうに剣心』新アニメ版に対する日本と海外のファンの反応を比較検証していきたいと思います。

2025.02.06に公開した記事を一部編集のうえ、転載しています
日本では否定的な声も。一方、海外ではポジティブな意見多数
『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』は、1994年から1999年まで「週刊少年ジャンプ」にて連載された和月伸宏先生によるマンガを原作としています。
1996年には一度アニメ化されており、オリジナルのストーリーなども随所に織り込まれる形で展開。2012年からは佐藤健さん主演による実写映画シリーズも製作され、まさに歴代ジャンプ作品の中でも、同誌の代表作品と言っても過言ではない作品です。

そして、2023年からはより原作に準拠したストーリーが繰り広げられる新アニメ版の放送が開始。第2期となる「京都動乱」では、神谷薫に別れを告げた緋村剣心が京都へと赴き、そこで“人斬り抜刀斎”の後継者でもある志々雄真実と対峙する姿が描かれます。
ファンにとっては待望となる「京都編」に突入するとあって、今期は日本だけにとどまらず、海外での注目度も大きなものとなっています。しかしながら、どうやら日本のファンと海外のファンとでは本作に対する印象が正反対のようなのです。ここで、双方の意見を検証してみましょう。
まずは本国・日本での意見を見てみましょう。もともと日本では今回のリブート版に対する評価があまり良いわけではないようで、やはり「旧アニメ版の方が良かった」という意見をチラホラ目にします。

レビューサイトFilmarksに投稿されているレビューを見てみても、「約30年前の旧アニメ版を今の技術をもってしても超えられなかったと言っているようなもの」や「作画も配役もこれじゃない感」といったようなネガティブなものが多くなっているよう。
こういった点も「京都動乱」編があまり大きな話題となっていないところに関係しているのかなとも思ってしまいます。
シリーズにおいても屈指の見どころが多い「京都編」に突入しただけに残念で仕方ないのですが、日本を飛び出して海外のレビューを見てみると、意外にも、比較的ポジティブな意見が多く見られるのです。
演出と作画に絶賛!「大きな成長を遂げた」「美しい振り付け」
アニメのレビューを多数掲載している「Lost in Anime」には、第2クール開始を知らせる第13話「蒼紫 対 翁」のレビューが掲載されており、そこには「2週間の休憩を経て、演出がスタイリッシュになり、オープニング、エンディング共に音楽も良くなって、大きな成長を遂げている」と書かれております。
日本のファンの間では、「技術の進歩を感じさせない」や「旧アニメ版の劣化版」といった厳しい意見が多いのとは逆に、海外ファンは演出力の高さを褒めたたえており、さらには「東京編から京都編への移行でどんどん良くなっている」とさえ綴られているのです。
同エピソードの核となる元御庭番衆の四乃森蒼紫と葵屋の主である翁のバトルシーンに話が及ぶと「いろいろな意味で悲劇的な戦い。シリーズ中で最も残忍なものの一つ」と例え、その中でも「美しい振り付けとアニメーションであったとしても…」といったように、やはり作画の素晴らしさに太鼓判を押しています。
そして同レビューは「このリブート版の中でも最高なパフォーマンスの一つだった千葉繁の翁を観られなくなるのは寂しい限り」と締めくくられており、キャスティングへの評価も惜しみません。
1期の頃から今回のリブート版への評価が海外では高い印象で、「名作が力強くノスタルジックに帰ってきた!」と題されたレビューが掲載されていた本作。思うに、海外での知名度が比較的高い『るろうに剣心』ですが、海外ファンの間ではそこまで旧アニメ版に対する“思い入れ”のようなものが強い古参ファンは、それほど多いわけではないのかもしれません。
約30年前の作品ということもあり、ここ数年、とりわけコロナ禍以降、さらに増加傾向にあるアニメファンの中には、「タイトルは知っているけど、しっかりと観たことがない」という若いファンも多いように感じます。そのファン層の違いが、こういった評価の二分化を生み出していると言えるのではないでしょうか。
CV中村悠一に海外ファンからの意外な反応?
続いて、「京都動乱」第2クールの大きな見どころの一つである第15話「生と死の間で」における剣心が飛天御剣流・奥義を継承する場面。
同じく「Lost in Anime」のレビューには「少年ジャンプの歴史の中でも最高のチャプターであることは疑問の余地がない」と、やはり注目度の高いエピソードであることを承知の上で視聴したことが伺えます。
ここでまず論点となるのが、比古清十郎について。ご存じ、声優を務めているのは『呪術廻戦』五条悟や『僕のヒーローアカデミア』ホークス役などでおなじみの中村悠一さん。
日本の声優界隈を見渡しても、間違いなく人気声優の一人であり、今回の比古清十郎役に対しても好意的な意見が多いように感じていますが、どうやら同レビュワーはあまり好みではないようで「比古役の中村悠一も含めて、一部のキャスティングに満足していないが…」という前置きが施されているのです。
どうにも、日本と海外とでは感じ方が真逆のように感じてしまうのですが、それでも「全体的に良くなってきている」と続いていきます。
九頭龍閃のシーンには「エレガントで詩的」と最大限の賛辞
同エピソードにおける剣心の過去パートへの評価も忘れておらず、「『るろうに剣心』は何を隠そう剣心の物語なのだ。本作が不朽の名作だと言われる所以は、彼の過去、現在、未来の人生とそれに付随する膨大な悲哀のおかげ」とし、「剣心の世話をしてくれた3人の若い女性は奴隷として一緒に連れていかれた。彼女たちとは1日だけの仲だったという物語は、これまで観たことがなかった」と、新鮮な印象を大いに受けた様子。
ついに比古が剣心の前で「九頭龍閃」を披露する場面においては「ライデンフィルムスはアニメーションから振り付け、サウンドデザインに至るまで素晴らしい仕事をした」と高評価。
最終的に剣心が比古の「九頭龍閃」を打ち破る場面に対しては「これはマンガの歴史の中でキャラクターが神格化された最高の瞬間の一つであり、エレガントであり、詩的でもある」と最大限の賛辞を送っています。
「自分自身の命を大切にするという考えは、日本の少年マンガや時代劇ではあまり触れられてこなかった。それが飛天御剣流の究極奥義の背景にあるというのは実に的を射ている。天翔龍閃の力の源は生への願望。剣心のこれまでの物語はこの瞬間のために構築されていたのだ」と、日本の創作における“命”の扱い方にまで話が及ぶ壮大な文言で同レビューは締めくくられています。
筆者のSNSのタイムライン上には、今回の奥義継承の場面に対しても否定的な意見が散見でき、どうしても旧アニメ版との比較を念頭に置いたレビューが多いように感じるのですが、今回ご紹介した海外ファンのレビューは、リブート版はリブート版で良いものがあるということを教えてくれているように感じました。
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確かに、メリットとデメリットはあるかもしれませんが、原作を忠実に映像化している点や時代経過による技術の進歩、作画のレベルアップなど、海外ファンの意見を聞いた後に、もう一度視聴するとまた違った見方ができるかもしれませんね。
第2期となる「京都動乱」も間もなく佳境へと差し掛かる、テレビアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。ここから海外ファンのように、日本のファンの心もガッチリ掴んだ作品になれるのか、大いに注目していきたいと思います。
(執筆:zash)
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