見出し画像

知ってた? 綾野剛、板垣李光人…「仮面ライダー」ブレイク俳優はヒーローだけじゃない。“敵なのに人気だった”俳優たち

若手俳優の登竜門と称される「仮面ライダー」シリーズ。同シリーズにおいて、視聴者の支持を獲得してきた俳優たちは、正義の仮面ライダーを演じていた俳優ばかりではありません。「良い作品は悪役で決まる」という言葉があるように、中には、主人公と敵対する怪人役や悪の仮面ライダーを演じたことで、大きな人気を獲得した俳優たちも数多く存在しているのです。

今回は、そんな「仮面ライダー」シリーズで敵キャラクターなのに人気を博した俳優たちをご紹介します。


綾野剛『仮面ライダー555』スパイダーオルフェノク

敵キャラクターなのに人気を博した俳優と聞いて、特撮ファンが真っ先に思い浮かべる存在と言えば、やはり綾野剛さんでしょう。特撮界隈以外のファンにはあまり馴染みがないかもしれませんが、実は綾野さんにとっての俳優デビュー作は「仮面ライダー」だったのです!

『仮面ライダー555(ファイズ) Blu-ray BOX 2』(TOEI COMPANY,LTD.)

綾野さんは、2003年から2004年にかけて放映された「平成仮面ライダー」シリーズ第4作『仮面ライダー555』にて、敵怪人となるスパイダーオルフェノク=澤田亜希役に扮しました。

養護施設「流星塾」卒業生の一人で、後にオルフェノクに覚醒。同じくオルフェノクの記号を埋め込まれた者たちの中では唯一覚醒に至りましたが、その身体は完全に順応できておらず、次第に身体が蝕まれていきます。

劇中では中盤の最重要キャラクターとして機能し、物語を撹乱。幹部クラスのオルフェノクたちが徒党を成した「ラッキークローバー」の一員になったりと、敵怪人としての活躍も印象的ですが、演じる綾野さんの退廃的で儚げな演技とアウトサイダー的な存在感が相まって、どこか勧善懲悪では片づけきれない魅力も携えたキャラクターでした。

そんな綾野さんは、その後のキャリアにおいても少し癖のある尖った役柄を演じることが多く、どこか当時の余韻を感じさせるような役柄に挑んできました。『クローズZERO Ⅱ』(2009)、「新宿スワン」シリーズ、『怒り』(2016)などの映画で魅せた演技が特に印象的です。

綾野剛 写真集 『 胎響 』(ワニブックス)

さらに、映画『日本で一番悪い奴ら』(2016)では、10kg以上の体重を増減させ、顔に酒を塗り浮腫ませるという徹底した役作りを敢行し、第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞しました。近年ではNetflixオリジナル『地面師たち』でも圧倒的な演技を披露し、大きな話題となりました。

デビュー作である『仮面ライダー555』での経験がその後のキャリアに活かされていると言っても過言ではないのです。


板垣李光人『仮面ライダージオウ』タイムジャッカー・ウール

近年活躍が目覚ましい「仮面ライダー」出身俳優も実は当時、敵キャラクターを演じていました。

2018年から2019年にかけて放映された「平成仮面ライダー」シリーズ第20作『仮面ライダージオウ』にて、敵グループ・タイムジャッカーの一人であるウール役を演じた板垣李光人さんです。

『仮面ライダージオウ Blu-ray COLLECTION 1』(TOEI COMPANY,LTD.)

板垣さん演じるウールは、少年のような無邪気さと狡猾さで主人公たちを翻弄。しかし、どこか悪になり切れない側面も有しており、最終的には仲間の一人を守るために、主人公らに助けを求めます。けれども、その行動が後に悲劇を生むことになるという、「仮面ライダー」シリーズの中でも少々不遇な扱いを受けたキャラクターのように感じます。

当時から両性具有な魅力を発揮していた板垣さんは、終始キュートな存在感を放っており、ウールが持つ純粋無垢な側面を見事に体現した演技を披露してくれました。

板垣李光人 20th Anniversary Photobook Interlude(SDP)

そんな板垣さんは、その後のキャリアでもキュートな少年のような魅力が衰えることはなく、映画『約束のネバーランド』(2022)、TVドラマ『マルス -ゼロの革命-』、映画『ババンババンバンパイア』(2025)など、話題作に数多く出演。その可愛らしさは、日清「どん兵衛」のCMでも健在でしたね!


塚本高史『仮面ライダーガヴ』ランゴ・ストマック

ここまで「平成仮面ライダー」シリーズを中心に、魅力的な敵キャラクターを演じた俳優たちを紹介してきましたが、現在、放送中の「令和仮面ライダー」シリーズ第6作『仮面ライダーガヴ』にも評価がうなぎ上り中の敵キャラクターがいます。

かつてイケメン俳優として名を馳せ、近年は実力派俳優としての地位を欲しいままにしている塚本高史さんが扮するランゴ・ストマックです。

『仮面ライダーガヴ Blu-ray COLLECTION 1』(TOEI COMPANY,LTD.)

塚本さん演じるランゴは、主人公と敵対する組織・ストマック社の社長として君臨。人間を誘拐し、お菓子のスパイスにするという極悪非道なキャラクターです。しかしながら、物語が後半に差し掛かると、指示を出す側から仕入れ担当へと格下げになり、ネット上で大きな話題となりました。序盤から中盤にかけては、やや出番薄な印象だったランゴですが、クライマックスに向けて、活躍の場が急激に増えており、本領を発揮しつつあるのです。

塚本さんは圧倒的な存在感と貫禄ある演技で序盤のランゴ役を体現し、格下げ後のランゴの姿はどこかストマック家長男としてのプライドや会社を乗っ取られたことに対する静かな怒りを滲ませた演技を披露しており、そこはさすがのベテラン俳優。キャリア初期から脇役俳優への憧れを抱いていた塚本さんらしい、実に緩急自在の演技を見ることができるのです。

大剣を手にした戦闘スタイルと絶対防御の合わせ技でもはや太刀打ちできないほどの強さを発揮するランゴですが、ネット上ではセリフを引用した‘‘ランゴ兄さん構文’’も話題に!かつての檀黎斗のように、独特な言い回しが人気を博しているようなので、これは、今後のランゴの扱い方にも注目せざるを得ません!

岩永徹也『仮面ライダーエグゼイド』檀黎斗/仮面ライダーゲンム

「仮面ライダー」の悪役といえば、この人を忘れてはいけません! 近年、最も魅力的な悪役像を築き上げ、その後のシリーズでも引く手あまたの存在となっている、檀黎斗こと岩永徹也さんです。

岩永徹也 ファースト写真集 『 Messenger 』

岩永さん演じる檀黎斗は、2016年から2017年にかけて放映された「平成仮面ライダー」シリーズ第18作『仮面ライダーエグゼイド』にて初登場を飾りました。

「仮面ライダーエグゼイド Blu-ray COLLECTION 2」( TOEI COMPANY,LTD.)

ゲームをモチーフにした同作において、物語の核となるゲーム会社「幻夢コーポレーション」の社長兼CEOとして序盤は活躍。その後、多くの犠牲者を生んだパンデミックを引き起こすなど、悪役としても活躍。しかしながら、本当のラスボスを倒すために、主人公らと手を組むことになるという非常に複雑なストーリーラインを辿ったキャラクターでした。

そんな檀黎斗の名前が一躍有名になったきっかけは、やはり岩永さんの‘‘クセ強’’演技の数々でしょう。時には半裸で仮面ライダーに変身したり、奇声をあげながら詰め寄ったり、相手を見下した独特な笑い声をあげたりといったような個性的な演技を披露。劇中のセリフを引用した‘‘檀黎斗構文’’としてネットミームまで誕生するほどの人気を博しました。

あまりの人気の高さからその後の仮面ライダー作品にも引っ張りだこのキャラクターで、TTFCオリジナル『仮面ライダーアウトサイダーズ』などでも大活躍を見せています。

岩永さんは憧れの俳優としてレオナルド・ディカプリオの名前を挙げており、世界的に活躍するハリウッド俳優に近づくために、演技をひたむきに探求する姿が実に好印象な俳優さんです。IQ148以上という頭脳を活かして、今後も幅広い活躍を期待したいですね。

蕨野友也『仮面ライダードライブ』ハートロイミュード

2014年から2015年にかけて放送され、竹内涼真が主演した「平成仮面ライダー」シリーズ第16作『仮面ライダードライブ』は、主人公だけでなく、悪役までもが魅力的として大きな話題となりました。

人類に対し牙をむく機械生命体・ロイミュードたちを束ねるリーダーであるハートロイミュードがその最たる例と言えるでしょう。

「仮面ライダードライブ Blu-ray COLLECTION 1」(TOEI COMPANY,LTD.)

人間への強い復讐心と仲間たちを信頼し、相手に対して真っ向から立ち向かう潔さ、その対照的な二面性が混在し、主人公の泊進ノ介=仮面ライダードライブを好敵手と認め、友と呼べるほどの関係性を構築。最終的には激しい肉弾戦を繰り広げるも、手を取り合い共に巨悪を滅すという胸アツ展開までもが描写されました。

演じる蕨野友也さんのとにかく‘‘ハンサム’’という言葉の権化かと思わせるほどの整った顔立ち、カリスマ性あふれる存在感、堂々とした演技の3つの要素が功を奏し、魅力的な悪役像が出来上がったと言えるでしょう。

さらにハートの物語は、これだけでは終わらず、スピンオフ『ドライブサーガ 仮面ライダーマッハ/仮面ライダーハート』では、仮面ライダーへと変身を遂げるなど、もはや敵怪人ではなく、最初からハートはヒーローだったのかもしれないと錯覚させるほどに多くの魅力を兼ね備えたキャラクターでした。

そんなハート役を演じた蕨野さんは、その後、2023年から2024年にかけて放映された『ウルトラマンブレーザー』にて、主人公ヒルマゲント役を演じ、なんと!ウルトラマンに変身。

ハートとゲント隊長、どちらもリーダーであるという共通点があり、当時と変わらない圧倒的な存在感を発揮しました。これにより、「仮面ライダー」と「ウルトラマン」両作品で変身を遂げるという快挙を成し遂げたことになります。

蕨野さんには「スーパー戦隊」シリーズのキャスト候補に挙がっていた過去もあるため、近い将来、三大特撮作品での変身という偉業を達成する日が来るかもしれません。

馬場ふみか『仮面ライダードライブ』メディックロイミュード

『仮面ライダードライブ』敵怪人役の中には、もう一人、高く評価された俳優がいました。ロイミュード幹部の紅一点であるメディックロイミュード役に扮した馬場ふみかさんです。

「仮面ライダードライブ Blu-ray COLLECTION 2」(TOEI COMPANY,LTD.)

メディックは、ハートに対する愛ゆえに超進化を遂げ、常にそばに寄り添い続ける、一途な心を持った敵キャラクター。劇中ではバレエのような可憐な動きと艶やかな表情の数々を披露しており、演じる馬場さんの表現力の高さを伺うことができます。

メディックもまたハート同様、仮面ライダードライブに協力する形でフェードアウトし、最後の最後までハートを想い続けながら消滅するという非常にドラマティックな結末を迎えました。

馬場さんは、その後、モデルとして活動する傍ら、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズや『深夜のダメ恋図鑑』といった作品で女優としても活躍。

「 馬場ふみかフォトブック ふみかのまんなか」 (集英社)

特に、2019年の『百合だのかんだの』では体当たりの熱演も披露し、高い評価を得ました。同年、『ねぇ先生、知らないの?』では赤楚衛二との‘‘仮面ライダー共演’’も特撮界隈で話題となりました。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「仮面ライダー」シリーズにおいて、敵キャラクターとして印象を残した6人の俳優たち。

各々が役柄を深く掘り下げ、その可能性を引き出してくれたおかげで、実に魅力ある悪役像が築き上げられたと言えるでしょう。

その経験がまた彼ら俳優自身にも良い影響をもたらし、その後のキャリアにおいても様々な役柄を演じる際の引き出しとなっていることが伺えます。

「仮面ライダー」シリーズを視聴する際は、ぜひとも敵キャラクターにも注目してみてください!

(執筆:zash)

いいなと思ったら応援しよう!

numan(ヌーマン)@推し深掘りメディア よろしければ応援お願いします! より読者の皆さんへ喜んでもらえるコンテンツ作りに還元します!