
Da-iCEの「一発屋にはなりたくない」という思い。バイトに借金…苦節10年の末に掴んだ“紅白出場”までの軌跡
年末も近づき、第75回NHK紅白歌合戦の出場者が発表されました。「Bling-Bang-Bang-Born」が世界的にヒットしたCreepy Nutsや、TiKTokで大バズりしたこっちのけんと、心機一転再デビューのNumber_iなどなど…。
話題の初出場組は数あれど、個人的には苦節の末にメジャーデビュー10年目で初出場を決めた「Da-iCE」を推したいところ。今回はDa-iCEの歴史とメンバーのキャラクターや実力などを深堀してみたいと思います。

※2024.12.29に公開した記事を一部編集のうえ、転載しています
派遣バイトに借金の過去…結成13年の絆を感じるメンバー
Da-iCEは、2011年に結成し、2014年に1stシングル『SHOUT IT OUT』にてメジャー・デビューした5人組のダンス&ボーカルグループ。メンバー最年少は30歳の和田颯さん、最年長は37歳の岩岡徹さんや工藤大輝さん、という大人の色気もあふれる面々is.
巷にあふれるボーイズグループは多々あれど、そのどれにも括られていない存在であることが、Da-iCEの地味ながらも注目すべきポイントでしょう。
結成のきっかけは、のちにマネージャーとなる所属事務所(avex)のある社員が夢だったダンス&ボーカルユニットを作るために自発的に立ち上がったことだそう。そのための特別なオーディションもなく、avexの練習生やコンテスト優勝者に声をかけるなどして選抜されました。つまり、事務所がavexであること以外、何もないところから集まった5人組なのです。
結成後は多くのライブハウスやメジャーアーティストのオープニングアクト、インディーズレーベルでの楽曲の発表など、華々しさはないものの地道な活動からスタート。その頃、メンバーたちは同居生活や、派遣のバイトや借金など、相当の苦労を強いられる日々だったそうです。
そんな苦難を乗り越えた経験があるからこそ、年齢や性格もバラバラ、それぞれのアイデンティティの強さがあるにもかかわらず、自然と一体感や深い絆を感じさせるのでしょう。結成以来13年、メンバーの脱退加入もなく、大きな問題もない(小さな恋愛スキャンダルはありましたが……)というのは、珍しいことかもしれません。
恋愛ゲームやバラエティでも奮闘!ファンを大事にする一面も
ダンスも歌も折り紙付き、実力派グループのDa-iCEですが、2014年のデビュー後はメンバーの「顔面偏差値75」というキャッチフレーズで、ビジュアルの良さを売りにしていたんです。
本人たちは「不本意な部分はあった」と言うものの、それをきっかけに動画をチェックしてくれたらいいという思いで受け入れ、握手会やめちゃイケのアイドル運動会出演などの活動にも積極的に参加。
Da-iCEの動画見放題アプリで配信されるバラエティ番組『ロクメン学園』では、制服姿などでわちゃわちゃと企画に奮闘する姿も見られます。また、『Another story of Da-iCE~恋ごころ~』なるメンバーと恋愛できるゲームアプリもあり、メンバーたちの普段着の画像や甘いボイスを堪能することもできます。
パフォーマンスはもちろん、作詞作曲、振りつけ、セルフプロデュースもできるアーティストではありながらも、アイドル的なファン活動もいまだ忘れない彼ら。それだけ、謙虚でファンのことを大切にしていることが分かります。
その後、フジテレビ系TVアニメ『ONE PIECE』の主題歌(「DREAMIN' ON」)や、人気マンガのドラマ化『極主夫道』の主題歌(「CITRUS」)、声優の木村昴さんとコラボした仮面ライダーシリーズの主題歌(「liveDevil」「Dance Dance」)などでアニメ等のサブカル層にもその名を知られるようになりました。そして努力が実り、紅白に出場するまでに至ったのです。
個性豊かなメンバーの「注目ポイント」をあらためてご紹介!
ここで、Da-iCEメンバーの個々のキャラクターを紹介させてください。
■花村想太(はなむら そうた、1990年8月15日 生まれ )
兵庫県伊丹市出身。4オクターブの高音が魅力のボーカル&パフォーマー。Da-iCEの代表としてバラエティ番組などのメディア出演が多く、音楽番組でもトークを担当することが多い。関西弁で明るく賑やか、気さくな雰囲気ではあるが、裏は意外にもナイーブなところがある。何でもできる天才肌に見えるが、自ら楽器演奏やダンス、作詞作曲の技術を磨いた努力家でもある。
■大野雄大(おおの ゆうだい、1989年4月1日 生まれ )
愛知県豊橋市出身。雄々しくハスキーな歌声が魅力のボーカル&パフォーマー。メンバーの中でも陽キャな、いわゆるボケ担当。かつてハモネプに、腹筋学園というグループで出演したというその名の通り、筋トレなど体力仕事も担当する。釣りや料理が趣味でその腕前はプロ並みだとか。ちなみに中日ドラゴンズの投手・大野雄大選手とはもちろん同姓同名の別人。交流もあり、2023年には中日の試合の始球式と国歌斉唱を務めたことがある。
■工藤大輝(くどう たいき、1987年6月28日生まれ )
北海道小樽市出身。パフォーマー。ファッション、二次元、アイドル等、幅広い造詣を持っている。楽曲の作詞、作曲も担当し、他SexyZone(現timeless)や、OWVへ楽曲提供をしている。他、双子の兄だというclaquepot名義のソロ活動や、Abemaの番組『恋する♥週末ホームステイ』ではMCを担当するなど、マルチな才能を発揮している。アーティスト肌でクールな印象のDa-iCEのリーダーである。
■和田颯(わだ はやて、1994年2月3日生まれ)
群馬県伊勢崎市出身。パフォーマー。最年少ではあるがダンスの実力はピカイチでダンスリーダーを務めている。高校生の頃からDa-iCEの活動に参加し、青春を注いできた。甘いルックス、ふわふわした言動の弟系であるが、いざパフォーマンスとなると男らしいダンスを見せ、そのギャップにやられているファンも多い。他のメンバーと比べるとSNSでの発信が多く、日常や思いを吐露してくれるため、親しみやすい。中山秀征や井森美幸などが所属する芸能人群馬県人会『上州鶴の会』メンバー。猫好き。
■岩岡徹(いわおか とおる、1987年6月6日生まれ)
千葉県千葉市出身。パフォーマー。法政大学卒業。親は医師であり、メンバーで唯一大卒で社会人経験がある。地に足が着いている大人の雰囲気が魅力。ダンスも色気ある雰囲気を醸し出している。『東大王』(TBS)や『潜在能力テスト』(フジテレビ)など、クイズ番組への出演も多数あるインテリ担当である。最年長、クールで知的、どこかツッコミ的な立ち位置ではあるが、「画伯」と呼称されるほどの個性的な絵の能力がある。
「一発屋になりたくない」という思いが掴んだ紅白出場
そんな個性と才能あふれるキャラクターと、確かな実力の5人。しかし、次々出てくる新生ボーイズグループに押され、最近までDa-iCEの知名度はイマイチ浸透していなかったように思えます。
そのためか、「CITRUS」がスマッシュヒットし、その年の2021年第63回日本レコード大賞を受賞した際も、ネット上では賛否が飛び交っていました。
メンバーたちも発展途上を実感していたのか、レコ大受賞アーティストにもかかわらず音楽番組で大野さんが「もっと売れたいです」と発言したことや、受賞の翌年に発表された「スターマイン」の「一発じゃ足りないのかい二発目をおかわりしたい」という“一発屋になりたくない”と思いを込めたという歌詞にも表れています。
しかし、その「スターマイン」が楽曲再生数5億回を記録し、TikTokでもバズり、世間に浸透し、旧ジャニーズの問題で大きく枠が開いたにもかかわらず紅白に落選……。昨年の出場者発表後には、和田颯さんが『悔しいものは悔しい。そう思えるのも大事。次に繋げよう^^』とX上にその気持ちをにじませるほどでした。
だからこそ、今年の活躍や、今回の紅白歌合戦出場は、ファンのみならずメンバーたちにとっても非常に大きい意味あるものであると言えるでしょう。2024年にはドラマ主題歌にもなった「I wonder」がTikTokにて総再生数6億回を突破し、より広くその名が知られるようになりました。
ちなみに、アーティスト名のDa-iCEとは「DANCE」とサイコロの「DICE」を掛け合わせた造語。メンバー5人(5面)にファンを加えた6面で「Da-iCE」が作られるという意味があります。また、その中には愛のあるグループでありたいという願いを込めた小文字の「a-i」が入っています。
そして、多くのファンや関係者の“愛”を受け、10年目に到達した念願の舞台。リーダーの工藤大輝さんは初出場の会見で「Da-iCEはDa-iCEらしく楽しく皆さんの前でパフォーマンスして、大好きな音楽をお届けしたいと思っています」とその意気込みを語りました。
Da-iCEは1回の紅白出場だけで満足するようなグループではないはず。この先、連続出場のみならず、その先にはもっと大きな目標を見据えているのでしょう。
(執筆:小政りょう)
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