推しは生きる活力。現代人のメンタルヘルスに与える影響とは?【オタクの“あるある”を心理学で解説 #8】
偏愛カルチャーWEBマガジンとして、さまざまなコンテンツの魅力を届けているnuman。この度、オタクが推し活の中でなんとなく感じている“心の不思議”を紐解く新連載、「オタクの心理学~オタクの“あるある”を解き明かす~」をスタートします。
「なぜ推しに惹かれるのか?」「この感情の正体は何なのか?」――そんなオタクの心の内を、臨床心理士・公認心理師である二宮有輝先生の視点で紐解いていく本連載。今回は、「推し」という存在が現代人のメンタルヘルスに与える影響について聞きました。
自分でも気づかなかった感情の正体や心の仕組みを知ることで、毎日の推し活がさらに楽しく、味わい深いものになるはず!
<プロフィール>
二宮有輝(にのみや・ゆうき)
臨床心理士・公認心理師/名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 講師。学生相談や公立中学校の常勤スクールカウンセラーでの勤務を経て現職。主に青年期の精神的健康およびwell-beingに関わる諸現象などについて研究を行っている。
推しとは、正解のない社会を生き抜くための軸である
――2021年に「推し活」が新語・流行語大賞にノミネートされるなど、今や推し活は私たちの日常に浸透しつつあります。このように誰かを応援することは、現代人のメンタルヘルスにどのような影響を与えているとお考えでしょうか?
二宮有輝(以下、二宮):
推し活が私たちに与える影響としてまず挙げられるのは、生きていく活力になることです。大げさなことではなく「明日も仕事を頑張ろう」と思えるほか、人によっては自分の人生の背骨のようになっている方もいると思います。「誰かに癒してもらいたい」などといった思いは誰しもが持っていますが、推しがそうした願望を叶える役割を担ってくれることで、生活や人生が豊かになるのだと思います。
特に現代は、「いい学校・いい会社に入れば幸せになれる」といった正解がなく、自分で見つけて決めていかなければなりません。どう生きたらいいか迷う中で、自分が生きていくことを支えてくれる存在が必要であり、それを推しに求めているのではないでしょうか。
さらに、推しを通じてさまざまな仲間に出会い、コミュニティに属することで孤立を防ぐという社会的な意味もあると思います。特に思春期の真っ只中にいる人たちにとっては、アイドルやロックバンドなどに熱中することが「自分自身を形成していく」という重要な役割も果たしており、その経験がその後の生き方に大きく影響することもあるでしょう。
――逆に、推し活が与えるネガティブな影響についてはいかがですか?
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