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松坂桃李の“貫禄ある存在感”は特撮時代から健在。千葉雄大、志尊淳ら歴代「スーパー戦隊」レッド俳優から成功術を学ぼう【特撮×推しメン×白書】

特撮ドラマにおける推しメンたちの活躍を振り返りながら、その後のキャリアを辿っていく【特撮×推しメン×白書】(月1連載)。

若手俳優の登竜門と言われている「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラマン」の“三大特撮ドラマ”。キャストの成長を一年間という放送期間の中で見守ることができ、一つの醍醐味となっています。さらに、すでに名を馳せているベテラン俳優や人気声優たちの新境地を見られることも。

今回は、「全スーパー戦隊展」が大きな盛り上がりを見せている中、「スーパー戦隊」シリーズの花形であるレッド役を演じた人気俳優たちをご紹介。絶対にブレイクするという確証がない芸能界という世界で、彼らはどのような才能と個性を発揮してきたのでしょうか? 彼らからその成功術を学んでみましょう。


松坂桃李『侍戦隊シンケンジャー』志葉丈瑠役

影を纏った演技:★★★★★
実力派イケメン俳優:★★★★★

今や日本を代表する俳優へと成長を遂げ、大御所俳優の貫禄さえ漂わせている、松坂桃李さん。そんな松坂さんの俳優デビュー作は、2009年から2010年まで放映された「スーパー戦隊」シリーズ第33作『侍戦隊シンケンジャー』でした。

『スーパー戦隊シリーズ 侍戦隊シンケンジャー コンプリートBlu‐ray』1(TOEI COMPANY,LTD.)

劇中の敵怪人である外道衆と戦い続けてきた志葉家の十八代目当主である志葉丈瑠役を一年間にわたり見事に演じ切りました。おなじみの低音ボイスで、侍たちをまとめあげる殿様っぷりを表現した松坂さんは、この頃からすでに貫禄に満ちた存在感を発揮していました。

そして、何と言っても特筆すべきは、物語が進む中で、実は本当の当主ではなく、実は影武者だったということが明らかになる衝撃展開! 

撮影序盤から松坂さんには真実が伝えられていたといいますが、共演者もとい家臣たちに気取られないように努めた松坂さんの努力が、そのまま演技にも乗っており、どこか物憂げな陰のある表情が素晴らしいの一言に尽きます。

その後、松坂さんは映画『アントキノイノチ』(2011)や『ツナグ』(2012)での演技が高く評価され、若手実力派俳優として頭角を現していきます。その隠しきれないカリスマ性から、やはりチームのリーダー格を演じることに長けている印象で、2013年には実写版『ガッチャマン』で主演を務めたのも大きな話題となりました。

2018年からは俳優として怒涛の快進撃が始まり、『不能犯』(2018)、『娼年』(2018)、『孤狼の血』(2018)、『新聞記者』(2019)、『孤狼の血 LEVEL2』(2020)といった作品で数々の賞を受賞。特に「孤狼の血」シリーズでは二度の日本アカデミー賞受賞の快挙を成し遂げており、自身の代表作となりました。

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2025年に大ヒットを記録したテレビドラマ『御上先生』における演技もさることながら、松坂さんは、あえて演技に影を纏わせることで、内に秘めた揺るがぬ意思を表現。どこかミステリアスな雰囲気が松坂さんの人気の秘密かもしれませんね。

千葉雄大『天装戦隊ゴセイジャー』アラタ役

あざと可愛い:★★★★★
キュート系イケメン俳優:★★★★★

『侍戦隊シンケンジャー』の放送終了後、次作として放送がスタートした『天装戦隊ゴセイジャー』にて、主人公・アラタ役を演じた千葉雄大さんも、近年、活躍が目覚ましい俳優さんですね。

DVD『天装戦隊ゴセイジャー ファイナルライブツアー2011』(TOEI COMPANY,LTD.)

事務所に所属して間もない段階でオーディションに挑戦し、見事、主役の座を勝ち取った千葉さんは、劇中でまるで女の子ような可愛らしさを存分に発揮。それでいて、頼りになるお兄さんといった雰囲気を醸し出すことにも成功しており、それまでのレッドにはなかったイメージを作り上げたと言えるでしょう。

その後、千葉さんは映画、テレビドラマ、舞台、CMと多岐にわたって活躍。2016年の『殿、利息でござる!』では日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したほか、映画『帝一の國』では、菅田将暉、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗らと共演。自らの個性を存分に活かした演技を魅せ、人気俳優としての地位を確立しました。

千葉雄大 写真集 『 横顔 』(ワニブックス)


近年は、可愛い系イケメン俳優からの脱却を図っている印象を受け、アマゾンプライムビデオにて配信された『笑ゥせぇるすまん』では、若く見られることがコンプレックスの庵地英治という自虐的な役柄に挑戦し、説得力のある演技を披露しました。

キュートなキャラクター性で人気を博した千葉さんは、俳優として新たな段階を迎えているのです。

竜星涼『獣電戦隊キョウリュウジャー』桐生ダイゴ役

熱血漢:★★★★★
ワイルド系イケメン俳優:★★★★★

一転して、2013年から2014年にかけて放映された『獣電戦隊キョウリュウジャー』からは、ワイルド系の熱血俳優が誕生しました。主人公である桐生ダイゴ役に扮した竜星涼さんis.

DVD『獣電戦隊キョウリュウジャー ファイナルライブツアー2014』(TOEI COMPANY,LTD.)

竜星さんが演じたダイゴ役は、仲間たちから‘‘キング’’と呼ばれるほど、非常に頼りになる存在。「ブレイブだぜ!」の決め台詞で、勇気ある行動を常に心がけている青年でした。劇中では上半身裸になることもあり、「平成」以降のヒーロー作品では比較的珍しい熱血漢ぶりを体現していました。

そんな竜星さんは同作を卒業後、熱い性格のキャラクターを演じることが多く、ワイルドな役柄を得意とする俳優へと成長を遂げていきます。

テレビドラマ『小さな巨人』、『メゾン・ド・ポリス』、映画『シマウマ』(2015)での演技は高く評価され、その後のキャリアにも大きな注目が集まるようになりました。

DVD『ぐらんぶる』(ハピネット)


2020年の映画『ぐらんぶる』ではコメディ演技にも挑戦。ギャグ満載の同作で、ワイルドな魅力をある意味逆手に取った抜群のコメディ演技を魅せました。コメディ作品との相性も良く、俳優として新たな可能性を示しました。

2025年には『ショウタイムセブン』と『九龍ジェネリックロマンス』の話題作2作に出演しており、多忙な日々を送っています。

志尊淳『烈車戦隊トッキュウジャー』ライト役

二面性と美しさ:★★★★★
両性具有なイケメン俳優:★★★★★

竜星涼さんの熱血系主人公の後は、少年のような幼気さを携えた主人公が活躍することとなりました。2014年から2015年にかけて放映された『烈車戦隊トッキュウジャー』にて主人公・ライト役に扮した志尊淳さんは、明るくて前向きなキャラクター像で評判となりました。

Blu-ray『行って帰ってきた烈車戦隊トッキュウジャー 夢の超トッキュウ7号』
(TOEI COMPANY,LTD.)


お弁当が大好きで、いつも腹ペコな明るい一面と、実は10歳の少年が肉体を成人化させられてしまった状態であるというダークな一面、その双方を素晴らしい演じ分けを見せてくれました。

そんな複雑な二面性を表現した細やかな演技は、その後のキャリアでも存分に活かされています。

その最たる例が、2018年に放送されたテレビドラマ『女子的生活』の小川みき役ではないでしょうか。見た目は美しい女性でありながら、実は男性というトランスジェンダーの役どころを小気味よく演じました。

DVD『女子的生活』(NHKエンタープライズ)

志尊さんの二面性を体現した演技と両性具有な魅力が相まって、代表的な役柄となりました。同作での演技は高く評価され、第73回文化庁芸術祭賞を受賞する快挙を成し遂げました。

その他、『半分、青い。』、『らんまん』、『極主夫道』、『フェルマーの料理』といった作品で実力を発揮。
近年は自ら個人事務所を設立し、フリーとして活躍しています。佐藤健さんが主演を務めるNetflixオリジナル・ドラマ『グラスハート』も話題沸騰中です。

樋口幸平『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』桃井タロウ役

芯の強さ:★★★★★
個性派イケメン俳優:★★★★★

ここまでは、芸能界を代表するスター俳優たちを紹介してきましたが、ここで、ネクストブレイク必至の「スーパー戦隊」レッド俳優をご紹介。

2022年から2023年にかけて放映された「スーパー戦隊」シリーズ第46作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』にて桃井タロウ役を演じた樋口幸平さんis.

Blu-ray『暴太郎戦隊ドンブラザーズ ファイナルライブツアー2023』(TOEI COMPANY,LTD.)


樋口さんは同作において、謎多きキャラクターを演じており、かなりの異彩を放つ存在でした。出自不明の何者なのかもわからない状態で物語が進んでいくという、掴みどころのない難しい役どころでしたが、これを見事に演じ分けたその演技力にはもはや脱帽でした。

そんな樋口さんは、Jリーグのプロ育成選手として上京しながらも、怪我でその夢を断念せざるを得なかった過去を持っており、その経歴を活かして、第32回全日本高等学校女子サッカー選手権大会では応援リーダーに就任。自らの苦い過去も仕事に活かせる芯の強さを持っています。

俳優としては『体感予報』や『離婚弁護士スパイダー ~慰謝料争奪戦~』といった作品で印象の残る演技を披露しており、個性的な役柄も演じられる演技力とその芯の強さを活かして、これから俳優として階段を駆け上がっていくこと請け合い。まだまだ24歳の若手俳優である樋口さんの今後の活躍に乞うご期待!

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

50年もの長き歴史を誇る「スーパー戦隊」シリーズ。5人のヒーローがチームを組んで戦ってきたその歴史の中で、リーダーとなるキャラクターを演じてきた俳優と言うのは、わずか50人しかいません。(※「ルパパト」ではレッドが二人)

選ばれし存在である彼らは、強烈な個性と才能に恵まれ、主役の座を手にしたのです。ここで紹介した5人のレッド俳優たちが、今後も自らの個性を活かしたキャリア形成を行い、息の長い俳優人生を送ることを切に願うばかりです。

(執筆:zash)

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