
実はキタニタツヤにヨルシカも「ボカロP」出身だって知ってる? 秋アニメでも注目したい新世代のアーティストたち
大人から子どもまで、今や幅広い層の人々に大人気のアニメ主題歌。中にYOASOBI『アイドル』や米津玄師『KICK BACK』など、もはや国内に留まらず世界中で一大旋風を巻き起こしている曲も多数ありますよね。
そんな数々の人気アニソンを手掛ける人の中には、実はとある音楽ジャンルを出身とするミュージシャン・クリエイターが多いのをご存知でしょうか。その音楽ジャンルとは…ずばり、VOCALOIDです。
初音ミクやアプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク』などを入口として、その存在を知る人も多いVOCALOID。冒頭に挙げた日本を代表するアニメ主題歌を手掛けた米津玄師、そしてYOASOBIも、実は元々ボカロを使って曲を作っていた、通称・ボカロP出身のアーティストです。

さらに今アニソン界では、彼らのみならず非常に多くのボカロP出身者が、多数の人気アニメ主題歌を手掛けています。そこでアニソンの最先端を追うなら絶対チェックしておきたい「ボカロP」としての経歴を持つ、注目のアーティストたちをピックアップ。
ボカロP時代から有名な人はもちろん、意外なボカロP出身者まで。VOCALOIDという音楽ジャンルが生んだ、類稀なる才能を持つアーティストたちを改めて振り返りましょう。
※2024.09.24に公開した記事を一部編集のうえ、転載しています
キタニタツヤも実はボカロP出身。こんにちは谷田さん名義で活躍
ボカロP出身者のといえば、米津玄師とYOASOBIのコンポーザー・Ayaseを思い浮かべる人は多いでしょう。現在その両名に迫る勢いのアーティストといえばこの人。今や人気アニソンの大半を手掛けていると言っても過言ない、シンガーソングライター・キタニタツヤis.
「呪術廻戦」『青のすみか』、「BLEACH千年血戦篇」『スカー』、そして中島健人との異例コラボも話題を集めた【推しの子】主題歌のGEMN『ファタール』。その楽曲を改めて見ると、アニメ好きで今や知らない人はいないと言える豪華なラインナップですね。

元々は2014年より、“こんにちは谷田さん”という名前でボカロPとして活動。自身の代表曲として知られる『悪魔の踊り方』も、元はボカロバージョンが先に公開された動画となっています。
ボカロ曲は2022年にプロセカへ書き下ろした、ボカロP・はるまきごはんとの共作『月光』が最新作です。こんにちは谷田さんの活動はここ数年行われていませんが、本人はまだまだボカロへ深い愛情を持っている様子。ボカロシーンに所縁の深い友人・知人も大勢いるようで、その人間関係が度々SNSでも注目を集めています。
今年10月からの秋アニメではシンガーソングライター・なとりと共に、「るろうに剣心」主題歌『いらないもの』の担当が先日発表されたばかり。近い将来、米津玄師やYOASOBIとも並び立つような国民的アーティストへと、まだまださらに進化することでしょう。
2010年代のボカロシーンを盛り上げていたヨルシカ・n-buna。
先ほど解説したキタニタツヤに近しい存在で言えば、ヨルシカの存在も欠かすことはできません。
YOASOBIと同様、歌唱担当のシンガーと作曲担当のコンポーザーの2人組で活動するユニット・ヨルシカ。そのコンポーザー・n-bunaもまた実力派のボカロP出身者です。近い時期に活動していた縁からか、ヨルシカのライブやレコーディングは2017年から現在に至るまで、キタニタツヤがベースを担当している話もファンの間では有名なエピソードですね。
一度大きく盛り上がったボカロの人気が少し落ち着いた、2010年代後半頃。昔に比べ人の減ってしまったボカロシーンを、それでも守り続けたボカロPの一人がn-bunaでもあります。『夜明けと蛍』『ウミユリ海底譚』など、今やYouTubeで2000万再生を超える有名曲もたくさん。その人気が、現在のヨルシカへの支持にも繋がっているのでしょう。
「葬送のフリーレン」『晴る』、「僕の心のヤバイやつ」『斜陽』ほか、アニメを楽しむ視聴者の心に寄り添うような曲調が魅力のヨルシカ。10月からの秋アニメでは、「チ。―地球の運動について―」エンディング『アポリア』を担当。本作で初のTVアニメ主題歌を手掛けるサカナクション『怪獣』とあわせて要チェックです。
歌い手・Eveもボカロ版をニコニコ動画に多数投稿していた
またキタニタツヤと「呪術廻戦」繋がりでもある、シンガー・EveもボカロPの経歴を持っています。彼の場合は当初、Adoのような歌い手として主に活動。その後2016年に自身が作詞作曲を手がけたボカロ曲を初投稿し、以降ボカロP活動も歌唱活動と並行して行っています。
彼の人気曲『ドラマツルギー』『お気に召すまま』『ラストダンス』などは、すべてニコニコ動画にのみボカロ版が投稿されています。主にYouTubeで楽曲を聴いていた人の中には、もしかしたらボカロ版の存在を知らない人も多いかも?
今年2024年には、約2年半ぶりのボカロ曲『Glorious Day』も投稿しています。こちらはポケモン×ボカロのコラボ企画ラストを飾る、歴代ポケモンチャンピオンの要素が満載の1曲! 普段あまりボカロを聴かない人でもポケモンを知っていれば、思わず「懐かしい~!」となる小ネタもたくさん詰まっていますよ。
先述の「呪術廻戦」『廻廻奇譚』のみならず、「チェンソーマン」『ファイトソング』や「僕のヒーローアカデミア」『ぼくらの』など、有名アニソンを多数手掛けてきたEve。10月開始の秋アニメではこちらも週刊少年ジャンプ発のアニメ、「アオのハコ」エンディング『ティーンエイジブルー』を担当します。爽やかで疾走感のあるサウンドがアニメにもぴったりですね。
NOMELON NOLEMONのツミキは提供楽曲のヒットメーカー
そして先ほども出た10月放送のアニメ「るろうに剣心」ですが、実はエンディングを担当するユニットもボカロP出身者なのをご存知でしたか? 楽曲『水光接天』を提供したのはNOMELON NOLEMON。YOASOBIやヨルシカと同様ボーカル&コンポーザーの2人組ユニットですが、作曲を担当するのはボカロP出身のツミキis.
NOMELON NOLEMONは知らないけどツミキさんなら知ってる!という人も、もしかしたらいるかもしれませんね。彼が手掛けたボカロ曲『フォニイ』は、投稿から約3年でYouTube約6000万回再生のスマッシュヒット。
さらに2022年を代表するアニソンとなった、「うる星やつら」エンディング『トウキョウ・シャンディ・ランデヴfeat.花譜』も作詞作曲を担当。直近では人気VTuber・星街すいせいに提供した『ビビデバ』が、わずか約半年でYouTubeにて8500万再生を記録しています。こちらも名実ともに今、最注目のヒットメーカーと呼ぶに相応しい人でしょう。
秋アニメでは、まふまふやHoneyWorksらもOPを飾る
ここまで、アニソン好きならきっと一度は名前を聞いたことがある面々をずらりとご紹介しました。ですがボカロ出身者はこれだけに留まりません。これから始まる10月の秋アニメにも、主題歌を担当するアーティストがまだまだいます。
まずは現在少年ジャンプ+にて連載中の「株式会社マジルミエ」。本アニメ主題歌『オーダーメイド』を担当するのは、元々歌い手としての活動でも知られるまふまふis.
2010年に歌い手活動を始めたのち、2012年にボカロP活動を開始したまふまふ。中でも『ハローディストピア』『メリーバッドエンド』などのボカロ曲が中毒性抜群と、未だにたくさんのリスナーから大きな支持を得ています。
そしてTVアニメ「結婚するって、本当ですか」主題歌『キラキラ』をメインで手掛けるHoneyWorksも、元々ボカロP出身のユニットです。HoneyWorksといえば、2022年に一大ブームを巻き起こした『可愛くてごめん』ほか、「告白実行委員会」シリーズの楽曲でも有名ですね。
この「告白実行委員会」シリーズも、当初はボカロ曲『初恋の絵本』が発端として生まれたもの。その後に続く『告白予行練習』『ヤキモチの答え』などが、HoneyWorksのボカロ曲では特に人気ともなっています。
syudou、須田景凪…新時代のスターを誰より早く見つけよう
この他にも今回の秋アニメ主題歌こそ担当しないものの、Ado『うっせぇわ』のブレイク以降、「チェンソーマン」エンディング『インザバックルーム』や「クールドジ男子」『笑うな!』など、様々なアニソンを手掛けたsyudou。
「炎炎の消防隊」エンディング『veil』や「スキップとローファー」『メロウ』などで人気のシンガー・須田景凪も、元はバルーンという名で活動していたボカロPです。興味がある方はぜひアニソンと一緒に、YouTubeなどで彼らのボカロP時代の曲も聴いてみてください。昔と大きく変わっている部分もあれば、中にはいい意味で当時と変わらないな、と感じる部分もあるかもしれません。
気づけば、非常に深い縁となるアニソンとVOCALOID。昔は「機械の歌声ってやっぱり聴き取り辛くて苦手…」という人も多かったようですが、近年は技術も進歩し、人の歌声と聞き間違えるほど進化したボカロ曲も多数投稿されています。
現在アニソン界を盛り上げる各アーティストたち。「アニメ主題歌や有名な本人の曲は知ってるけど、ボカロP時代の曲は聴いたことなかった」とがいう人は、この機会にボカロ曲もチェックしてはいかがでしょう?
今後も数多の新たな才能が生まれるであろうVOCALOIDの世界。もしかしたら次世代スターが作った曲に、いち早く出会えるのはあなたかも? 「今後流行りそう!」「将来、絶対人気になるはず!」という魅力的なアーティストやボカロPを、ぜひ自分の耳で直接見つけてみてくださいね。
(執筆:曽我美なつめ)
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