
『SAKAMOTO DAYS』でも注目。Vaundyの意外な“アニソン”を知ってる? Adoが歌う「超有名アニメ」のあの楽曲も実は…
週刊少年ジャンプにて絶賛連載中のマンガを原作とし、2025年1月から放送されたTVアニメ『SAKAMOTO DAYS』。オープニングを担当したのは、今まさに日本の音楽シーン最前線をひた走る超人気ミュージシャン・Vaundy!
主題歌「走れSAKAMOTO」はそのタイトルからも分かるように、まさしくアニメ『SAKAMOTO DAYS』のための1曲として大きな注目を集めました。普段はどちらかといえば、「Vaundyはドラマ主題歌・CMのイメージが強い」という人もいるはず。ですが彼は実は、これまでにたくさんのアニソンも提供しているんです。

そこで今回は、今やライブの定番ともなる1曲から驚くような知られざる1曲まで。
これまでVaundyが手掛けてきた数々の名曲アニソンを、ガチオタ兼約15年のミュージシャン歴も持つ音楽ライター・曽我美なつめがピックアップしてご紹介します。
『SAKAMOT DAYS』は韻を踏みまくった2番の歌詞にも注目
まず紹介するのは、冒頭にも紹介した最新曲「走れSAKAMOTO」です。元々自身も原作のファンだったと語るVaundyはこの曲の制作にあたって、主人公・坂本の“誰も追いつけない圧倒的強さ”を楽曲に強く込めたとも語っています。
爽やかさがありつつも、大勢の殺し屋とのスピード感ある戦闘を彷彿とさせる、楽曲のソリッドなバンドサウンドも印象的です。
アニメ放送時には使われていない、楽曲2番冒頭の韻を踏みまくった歌詞にも注目。主人公・坂本や『SAKAMOT DAYS』という作品の魅力を、短い中にぎゅっと詰め込んだフレーズともなっています。
また楽曲の公式MVは実際のアニメ映像とあわせて、歌詞の世界観も同時に楽しめるリリックビデオ的な要素もある動画に。具体的に歌詞へと落とし込まれた、アニメの見どころ要素も一緒にチェックできる点も大きなポイントでしょう。
さらに今回、追って公開されたスペシャルムービーも話題となりました。こちらはなんと楽曲にあわせて、『SAKAMOTO DAYS』の世界観にVaundy本人が登場。
諸事情でライブ当日(⁉)に商店の店番を任されたVaundyが、自分の命を狙い襲撃してきた殺し屋を華麗な身体捌きで鮮やかに撃退する、といったストーリーの映像になっています。実は彼自身がMVに登場するのは非常にレアなこと。
加えて細部まで原作へのリスペクトが光る演出や、動画のラストに登場するマル秘豪華キャストなど。見どころ満載の本ムービーは公開からわずか2週間でYouTube約600万回再生を記録し、今も大勢のファンからの注目を集めています。
またVaundyは今曲のみならず、アニメ第7話でスペシャルエンディングとして新曲「Somebody help us」も提供しました。放送後には作中の暗殺者集団・ORDERの所属人物たちにスポットを当てた、楽曲ノンクレジットムービーも公開されています。
原作の魅力を引き出した『チェンソーマン』『王様ランキング』
今回の『SAKAMOTO DAYS』と同様、彼はジャンプ漫画アニメの主題歌も過去に何作か担当しています。そのうちのひとつが、TVアニメ『チェンソーマン』エンディング曲「CHAINSAW BLOOD」is.
アニメ放送回ごとに毎回エンディング曲が変わり、総勢12組のアーティストが起用されるという異例のスタイルが大きな注目を集めたアニメ『チェンソーマン』。Vaundyが手掛けた「CHAINSAW BLOOD」は、記念すべきアニメ第1回のエンディングを飾った楽曲となっています。
今作に関しても元々原作の大ファンであり、“愛を込めて”制作したというVaundy。
迫力あるチェーンソーの駆動音から始まるイントロや歌詞の内容、ダークで血生臭さ漂うMVなど、今曲も物語の世界観を様々な角度から楽しめるナンバーに。アニメ放送終了から数年経った今でも、楽曲は彼のライブ定番の1曲として、大勢のファンに愛され続けています。
さらに彼の手掛けた名曲アニソンとして、欠かせないのはやはり「裸の勇者」。こちらは2022年に放送されたTVアニメ『王様ランキング』第2期オープニングとして制作された楽曲です。
耳も聞こえず言葉も話せない非力な王子・ボッジを主人公とし、熾烈な国同士の争いや王位継承戦の中で「本当の強さとは何か」を問う『王様ランキング』。
誰よりも小さな身体で、それでも自分の愛する人や国を守るべく奮闘するボッジの境遇と心情を鮮やかに描いた本曲には、大勢の視聴者が感動し心を打たれました。
アニメ好きの中では当時から名作と名高かったこのアニメ。Vaundyの主題歌が素晴らしい物語の魅力をより引き立ています。
“原作者に捧げた”と語る『ヒロアカ』と親和性抜群の『ドラえもん』
さらにここ数年のアニメ人気の盛り上がりにあわせて、近年はTV放送の作品のみならず映画でも話題となる作品が多数あります。そういったアニメの中には、Vaundyが主題歌を担当するものも。
直近で注目を集めた作品としては、やはり2024年8月に公開された劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』でしょう。
原作マンガにはない映画オリジナルストーリーで、次世代オールマイトを自称する敵・ダークマイトと出久たちヒーローとの激突を描いた本作。映画版の公開に際して、こちらも従来から原作の大ファンだったVaundyはオープニング・エンディングの両主題歌を提供しています。

某所のインタビュー(※)によれば、映画の物語の幕開けを彩るオープニング「ホムンクルス」は劇場版作品そのものへ、エンディング「gift」はヒロアカ作品そのもの、そして原作者・堀越先生へ捧げる曲として作られたそう。
アーティストである自分と、ヒロアカ作品の一ファンである自分。その両立と価値観の差異に悩みながら、2曲を制作したと語っています。
重ねて映画本編や音楽そのものとあわせて、今作はMVも重要な見どころ。2曲共通でMVには俳優・山田孝之が出演しており、研究所で眠っていたホムンクルス≒人造人間として、迫力の演技を披露していることも話題を集めました。
「ホムンクルス」と「gift」両曲の映像で続き物の物語ともなっているので、併せて見ると考察が捗るかもしれません。
さらに改めて2024年を振り返ると、昨年春公開の『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』主題歌「タイムパラドックス」も、Vaundyが手掛けた楽曲の1つとなっています。

実は今曲は、彼にとって初のアニメ映画主題歌でした。またこれまで劇場版ドラえもん作品には数多くのアーティストが楽曲提供を行っていますが、2000年以降に生まれた男性歌手の中で起用されたのは、今回のVaundyが初めてだったんだとか。
楽曲には「ポケット」や「未来」といったドラえもんの世界観を反映するような歌詞もあちこちに散りばめられており、映画の物語との親和性もバツグン。
さらに楽曲MVには、人気俳優・染谷将太も出演。こちらもドラえもんの物語を彷彿とさせるストーリーとなっており、見ていて心がほんわかする映像となっていますよ。
実は…『ワンピース』のあの曲も提供!Ado版と聞き比べたい
いつの時代も子どもたちを魅了する人気アニメから、世代を問わず楽しめる名作アニメまで。幅広い作品を彩るVaundyの楽曲ですが、最後に意外と知られてないツウ向けのアニソンについてもご紹介しましょう。
まずはTVアニメ『SPY×FAMILY』2期エンディングの「トドメの一撃 feat.Cory Wong」。
アニメ『SPY×FAMILY』といえば、やはり1期主題歌のOfficial髭男dism「ミックスナッツ」や星野源「喜劇」の印象が強い人も多いはず。ですが実は2期の主題歌もAdo「クラクラ」と今曲という、非常に豪華なラインナップが組まれていたんです。
今回フィーチャリングで参加しているCory Wongは、現代のファンクギタリストとして世界的に注目を集める凄腕プレイヤー。国内に留まらず海外のツウな著名ミュージシャンをピックアップした異例のコラボに、当時は驚いた人もきっと多かったことでしょう。
また今曲のMVには、女優・長澤まさみも出演。ジャンルの枠組みを超えたユニークで豪華なタッグが、各所で実現した1曲ともなっています。
さらに意外と知られていないアニソンとして欠かせないのは、2023年公開の映画『ONE PIECE FILM RED』へと提供された楽曲「逆光」。映画内ではウタ役のAdoが歌唱を担当しているため、Vaundyの印象はあまりない人もいるはず。ですがこの曲は正真正銘、彼が作詞作曲を担当した1曲でもあるんです。
彼自身のセルフ歌唱版も、2023年11月にリリースされた2ndアルバム「replica」にて収録。以来ツアーやライブ、各音楽フェスなどでも、会場のボルテージを一気に盛り上げるアンセムソングとしてたびたび披露されています。
Adoが歌唱するウタ版とも、また少し異なる魅力が楽しめる本人歌唱版。ぜひ聴き比べて、その違いも楽しんでみてください。
多彩なカルチャー背景がVaundy楽曲の魅力に
日本の音楽シーン最前線を担いつつ、同時にたくさんの名作アニメにも主題歌提供として華を添えているVaundy。こうしてさまざまな曲をチェックしてみると、彼が音楽のみならずマンガ・アニメなど多彩なカルチャーへの敬意を持って、数々の楽曲を生み出していることがよくわかります。
これからもきっと、彼はアニメのみならずいろんな作品の物語へ寄り添う名曲を、次々と世に放っていくことでしょう。次は一体、どんな名曲が作り出されるのか。今後の活躍からも目が離せません。
(執筆:曽我美なつめ)
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