「推しが愛しすぎていじめたい!」キュートアグレッションと誹謗中傷の境界線とは?【オタクの“あるある”を心理学で解説 #2】
偏愛カルチャーWEBマガジンとして、さまざまなコンテンツの魅力を届けているnuman。この度、オタクが推し活の中でなんとなく感じている“心の不思議”を紐解く新連載、「オタクの心理学~オタクの“あるある”を解き明かす~」をスタートします。
「なぜ推しに惹かれるのか?」「この感情の正体は何なのか?」――そんなオタクの心の内を、臨床心理士・公認心理師である二宮有輝先生の視点で紐解いていく本連載。今回は、キュートアグレッションと誹謗中傷の境界線について聞きました。
自分でも気づかなかった感情の正体や心の仕組みを知ることで、毎日の推し活がさらに楽しく、味わい深いものになるはず!
<プロフィール>
二宮有輝(にのみや・ゆうき)
臨床心理士・公認心理師/名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 講師。学生相談や公立中学校の常勤スクールカウンセラーでの勤務を経て現職。主に青年期の精神的健康およびwell-beingに関わる諸現象などについて研究を行っている。
「愛おしい」と「いじめたい」は表裏一体
――前回は推しを「かわいい」と感じる心理的な要因についてお伺いしましたが、今回はそうした愛情が行き過ぎてしまったケースについてお聞きします。SNSなどで「推しがかわいすぎてキュートアグレッションが起きそう」などと発言している人をよく見かけますが、「キュートアグレッション」とはどういった現象を指すのでしょうか?
二宮有輝(以下、二宮):
キュートアグレッションとは、「かわいい」「愛おしい」という感情が強くなりすぎたときに「少し冷静にならなければ」と自分の思考バランスを取るために、無意識的に攻撃性が出てくる現象だと言われています。「かわいいから守りたい」という庇護欲と「潰してしまいたい」という攻撃性が同時に存在するため、一見すると矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、ごく自然な現象なのだと思います。
推し活の文脈でこの言葉が使われているのは知らなかったのですが、赤ちゃんや動物などに対して「かわいすぎてぐちゃっとしたい」と比喩しているのは聞いたことがあります。
――キュートアグレッション以外にも、愛情から攻撃性が生まれることは、心理学的によくある現象なのでしょうか?
二宮:
愛情と攻撃性はまったく別々に存在しているのではなく、表裏一体です。例えば、赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲むときに乳首を噛んでしまったり、2~3歳の子どもが親を好きすぎるあまり腕などを噛んでしまったりするように、攻撃性と愛情は一緒になることが多々あります。
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