
中村優一、濱田龍臣らはウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊…三大特撮を制覇!快挙を達成した俳優たち【特撮×推しメン×白書】
特撮ドラマにおける推しメンたちの活躍を振り返りながら、その後のキャリアを辿っていく【特撮×推しメン×白書】(月1連載)。
若手俳優の登竜門と言われている「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラマン」の“三大特撮ドラマ”。キャストの成長を一年間という放送期間の中で見守ることができ、一つの醍醐味となっています。さらに、すでに名を馳せているベテラン俳優や人気声優たちの新境地を見られることも。
そんな俳優や声優らの活躍を、長年特撮を見続けてきた筆者が当時を振り返りつつ、紹介する本連載。今回は、声優編に続き三大特撮ドラマすべてに出演するという快挙を成し遂げた俳優たちに注目します。
唐橋充:三大特撮ドラマで「侍キャラ」を演じた男
『仮面ライダー555』海堂直也=スネークオルフェノク役として特撮ファンの間ではおなじみの唐橋充さん。
同作では、敵怪人となるオルフェノクの幹部的立ち位置として活躍しながらも、どこか憎めないお調子者キャラとしても存分に魅力を発揮しました。オルフェノクの中でも最も人間らしい性格と言え、長年にわたりファンに愛され続けているキャラクターです。

海堂役としてだけでも『仮面ライダー4号』や『仮面ライダーリバイス The Mystery』といった作品の垣根を超えた活躍を見せている唐橋さんですが、『仮面ライダー555』放送終了から現在に至るまでの約20年間、様々な特撮ドラマで印象に残る演技を披露してきました。
唐橋さんのもう一つの代表的役柄と言えば、2008年から2009年にかけて放映された『侍戦隊シンケンジャー』の腑破十臓役も忘れられません。同役はシンケンジャーと敵対する外道衆の幹部の一人で、人間から転生した、いわゆる“はぐれ外道”と呼ばれる怪人。
浪人かと思わせる風貌と強き相手との斬り合いを求める精神は、まるで時代劇に登場する悪役かのようでした。
そんな唐橋さんは、2015年から2016年に放映された『仮面ライダーゴースト』では宮本武蔵役を、2023年放映の『ウルトラマンブレーザー』では宇宙侍ザンギル役を好演。三大特撮ドラマ制覇と共に、すべての作品で侍キャラを演じた唯一無二の俳優となりました。
その他、『ウルトラセブンX』(2007)のIT企業で働く冴えない男・タケオ役、『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』(2011)のちょんまげバンドマン役、『仮面ライダーセイバー』(2020)の富加宮隼人=仮面ライダーカリバー役などで活躍しています。
その武士道精神を体現した存在感は今後も特撮ドラマに欠かせません。
濱田龍臣:三大特撮ドラマでヒーローと悪役を演じた男
『ウルトラマンジード』(2017)で主人公の朝倉リク=ウルトラマンジード役を演じたことで有名な濱田龍臣さんは、それよりも以前に映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010)にて特撮デビューを飾っています。
同作で演じたナオ役は素直な性格をした少年で、ジャンボットという巨大ロボットに乗り込みウルトラマンベリアル率いるベリアル銀河帝国と対峙する役どころでした。

子役として何とも可愛らしい一面を魅せた濱田さんですが、何の因果か、この約7年後、今度はベリアルの息子であるウルトラマンジードとなる運命が待っていました。もともとウルトラマンになることが夢だったという濱田さんは、複雑な役どころを見事に演じ切り、悪のウルトラマンの息子として生まれ落ちた運命に抗うリクの姿を小気味よく体現して魅せました。
濱田さんはその他、2012年公開の映画『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』では、のちのゴーカイレッドことキャプテン・マーベラスの幼少期役に扮し、『仮面ライダーガッチャード 冥黒の黙示録 ラケシス』では銅神デュポン役を演じています。
特に後者は同作の悪役であり、それまでの幼いイメージから脱却する不敵な大人の演技を魅せ、新境地を開拓しました。
石黒英雄:三大特撮ドラマで強烈なインパクトを残した男
濱田さんと同じく「ウルトラマン」シリーズで名を馳せた石黒英雄さんも実は三大特撮ドラマを制覇しています。
石黒さんが特撮ファンの間で最初に有名になったのは、2007年から2008年に放映された『仮面ライダー電王』カイ役でした。劇中でも謎に包まれた存在として機能し、イマジンを使って歴史を改変しようとする冷酷な存在。
エキセントリックなその演技は、主人公である野上良太郎を演じた佐藤健さんに引けを取らないほどの強烈なインパクトを残したと言えるでしょう。

その後、石黒さんは2016年より『ウルトラマンオーブ』の主人公クレナイ・ガイ=ウルトラマンオーブ役に扮します。昭和の時代からタイムスリップしてきたかのような風来坊ぶりは、前出のカイとは大きく異なり、平成以降のウルトラマン像にはなかった新たなテイストを盛り込んだ演技を披露しました。
そして2021年には、『魔進戦隊キラメイジャー』のスピンオフ作品『ヨドンナ』にて悪役の鯨咲秀樹役に扮し、見事、三大特撮ドラマ制覇を達成しています。
ちなみに『ウルトラマンオーブ』で宿命のライバルであるジャグラス・ジャグラー役を演じた青柳尊哉さんも、「ヨドンナ」シリーズに出演しており、過去に出演した『仮面ライダー電王』映画版などと併せて、三大特撮ドラマを制覇しています。
村上幸平:三大特撮ドラマで独特な存在感を放った男
特撮ドラマで常に独特な存在感を放っている俳優といえば、多くの特撮ファンたちが、村上幸平さんの名前を挙げることでしょう。
村上さんといえば、2003年から2004年にかけて放映された『仮面ライダー555』草加雅人=仮面ライダーカイザ役で印象に残っているファンも多いのではないでしょうか。草加は同作の2号ライダーとして登場し、多くの謎を秘めたキャラクターでした。

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村上さんの独特なセリフ回しや怪しげな眼差しが功を奏し、ミステリアスさにも拍車がかかり、現在に至るまで唯一無二の個性を発揮したと言えるでしょう。首が折れる音と共にフェードアウトという展開はあまりにも衝撃的でしたね。
そんな村上さんは、その後、2006年から2007年まで放映の『ウルトラマンメビウス』にて特撮にカムバック。勇魚洋というゲストキャラクターとして、たったの一話のみの登場でしたが、これがまた強烈なインパクトを残し、同作のゲストキャラの中でも頭抜けた個性を発揮Did.
さらに『動物戦隊ジュウオウジャー』ではバド=ジュウオウバード役を、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ではソノヤ役を演じ、見事、三大特撮ドラマを制覇。『仮面ライダー555』で脚本を務めた井上敏樹さんとのタッグもまた特撮ファンのひそかな楽しみでもあります。
中村優一:三大特撮ドラマで変身した男
特撮ドラマで変身するということは全人類の憧れかと存じますが、そんな夢を三度(みたび)叶えたというとんでもない男たちがこの世には存在します。その一人が中村優一さんです。
中村さんと言えば2007年から2008年まで放映された『仮面ライダー電王』にて、劇中の2号ライダーとなる桜井侑斗=仮面ライダーゼロノス役として魅力的な演技を披露したことで最も有名です。

クールでありながら、少し皮肉っぽい性格のギャップも魅力の侑斗は、ファンから厚い支持を獲得。中村さんは、以降の作品でもたびたび侑斗役に扮し、ファンの期待にこたえ続けています。
中村さんは「電王」以前に『仮面ライダー響鬼』にも出演。同作で演じた桐矢京介役としては、後に『仮面ライダージオウ』にも出演しており、「仮面ライダー」シリーズにおいて、後年異なる二つの役柄で活躍し続けている稀有な存在と言えるでしょう。
続いて、中村さんは、映画『ウルトラマントリガー エピソードZ』(2022)にて、ザビル=イーヴィルトリガーに変身。悪役ではあるものの、これで“ウルトラマン”にも変身したことになります。
さらに、2025年には『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』にて、ユニバース戦士のガオレッドにも変身。見事、三大特撮ドラマでの変身という快挙を成し遂げました。
谷口賢志:三大特撮ドラマでヒーローに変身した男
三大特撮ドラマに出演、さらには変身を遂げるだけでも難しいことですが、すべての作品で主要ヒーローに変身したことがある強者も中には存在します。それが、谷口賢志さんです。
谷口さんはまず1999年から2000年にかけて放映の『救急戦隊ゴーゴーファイブ』にて、巽ナガレ=ゴーブルー役に扮しました。常にクールなキャラクター像を発揮する傍ら、時には熱い面も見せる緩急の利いた役どころで、歴代ブルー戦士の王道を見事に体現して魅せました。

その後、約16年の時を経て、特撮にカムバックを果たした谷口さんは『仮面ライダーアマゾンズ』シリーズで、鷹山仁=仮面ライダーアマゾンアルファ役を演じます。持ち前のクールさに、今度は危うさやアウトロー感を加えて同役を表現。初変身時の生卵を喰らう場面は衝撃的でした。
決してヒーローとは言えないかもしれませんが、同作の仮面ライダーたちはそれぞれが自身の信念や正義のもと戦っているので、悪役とは言い難く、ある意味ではヒーローと言えるでしょう。
「仮面ライダー」シリーズに目を向けると、劇場短編『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』では悪役のバハト=仮面ライダーファルシオンに扮しており、また別の角度から仮面ライダーを解釈。強烈な悪役像を作り上げました。
そして2022年には『ウルトラマンデッカー』にて、先代(いや未来と言うべきか)のデッカーであるデッカー・アスミ役を演じました。主人公のアスミ・カナタの遠い子孫でありながら、カナタに変身能力を与えた存在という何ともややこしい役どころですが、先輩らしさも後輩らしさも双方を醸し出した見事な演技で、物語を大いに盛り上げてくれましたね。
これにより、谷口さんは主人公ヒーローであるウルトラマンデッカーに変身したことになるので、「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラマン」の三大特撮ドラマで、主要ヒーローに変身した唯一の俳優となりました。
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ケイン・コスギ、天本英世、石橋蓮司、佐野史郎…三大特撮ドラマを制覇した俳優たちの中には、錚々たる名優たちが名を連ねています。
彼らはいわば伝説の存在ですが、ここで紹介した6人の男たちも、日本が世界に誇る特撮の歴史に名を刻み、後世まで語り継がれることは間違いないと言えるでしょう。
(執筆:zash)
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